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幼なじみギャルは妬きたい②



 目的の地、生徒指導室を前にし、扉をノックして入る。


「失礼します」


「荒木くんね、そこに座りなさい」


「はい」


 スミレちゃんにそう言われ、俺は真ん中にあるソファーに腰掛ける。

 その向かい側にスミレちゃんが腰掛け、ふぅ、と一息ついて話し始めた。


「で、何故ここに呼ばれたかは分かっているわよね?」


 威圧感のある低い声で、俺を睨みつけながら問いただされた。

 おぉー、怖ぇ‥‥‥。覇王色出てんじゃん。


「はい、サラダチキンが美味しかったからです」


「ちっがーう!! 授業中にサラダチキンを食べた事が問題なの! 味とか関係ない!」


「あ、いつものスミレちゃんだ」


「学校でスミレちゃんって呼ぶな! そ、その勘違いされるでしょーが!」


 さっきまでの威圧感と言い、厳格な風貌が一気に崩れ、スミレちゃんは頬を赤らめて俺に抗議してくる。

 これが淡路スミレの本性、ポンコツである。


「勘違いとは何だ? スミレちゃんは俺と変な妄想しているのか?」


「し、してないから! ばかじゃないの!? 健人のバーカバーカ!」


 大人気なくバカバカ言ってくるスミレちゃんは、いつもの真面目な雰囲気とは違ってギャップ萌えしてしまう。


 そう、俺とスミレちゃんは親戚で、昔から家族ぐるみの付き合いが長い間柄なのだ。

 俺からしたらスミレちゃんなんて『真面目な教師』というか『天然残念アラサー女』としか思っていない。

 いつ結婚すんだろこの人‥‥‥。


「あーっ! 今絶対失礼なこと考えた! 宿題増やすよ!?」


「か、考えてましぇん」


「思い切り噛んでるよね!? ひどくない!?」


「まぁまぁ落ち着けって独身アラサー」


「せめて隠せバカバカ!」


 うガーッと虎のようにスミレちゃんが可愛く睨みつけて、ポカポカと胸を叩いてくる。

 うーん、実にツッコミが激し可愛い。

 こんなに可愛いのに何故貰い手がつかないんだろう?

 あ、残念女だからだった。


「まぁそれはいいとしてさ」


「よくないっ!」


「スミレちゃん、俺に用事あるでしょ?」


「うっ、ま、まぁそうだね」


 ただ、サラダチキンを食べたくらいで生徒指導室にわざわざ呼ぶはずがない。

 いや、呼ばれても仕方ないのか?これは‥‥‥まぁそれはいいとして、大体スミレちゃんの考えていることはすぐ分かる。


「そ、その‥‥‥お弁当一緒に食べよ?」


 可愛く首を傾げて、おねだりされる。

 だが、


「スミレちゃん‥‥‥先生達の間で浮いてんの?」


「う、うるさいっ! 人付き合い苦手なの知ってるでしょ!」


 そう、この女、人付き合いが超のつくほど苦手なのである。

 おかげで彼氏いない歴=年齢、初恋も無し、友達も無し、ナイナイ尽くしの孤独ライフを送ってきている。

 まぁ、恋人いない暦=年齢は俺も言えたことではないが。

 いい加減、人付き合いというものを学んで欲しいものだ。


「スミレちゃんさぁ、もう27でしょ? そろそろ人付き合いとか彼氏とか作らないとまずいんじゃない?」


「25だし! 変なとこ盛るなっ! ま、まぁ確かに焦りは感じている‥‥‥」


「そうそう、周りに良い人いないの? 例えば東雲先生。あの人イケメンだし優しいじゃん」


「東雲先生って誰‥‥‥?」


「怖ぇよ! 同じ学校の教師の名前くらい覚えとけよ!」


 いや、さすがに同僚の名前覚えてないのはまずくないか‥‥‥。スミレちゃんのこの先が思いやられる。


「だってぇ、学校だと生徒か健人しか関わり無いし‥‥‥」


「俺と生徒を別々にするなよ‥‥‥」


「健人は健人だもーん。あたしの唯一信頼してる人っ!」


 そう言われ、俺は一瞬ドキッとする。

 たまにでかい爆弾ぶち込んでくるから怖ぇよこの人‥‥‥無自覚なのもまた怖い。

 どうして俺にはこう接せるのに、他はダメなんだろうか‥‥‥。


「それ言うとなんか変な意味になるぞ」


「へっ? あっ‥‥‥」


 急に察したのか、顔を赤くして俯くスミレちゃん。

 やめてくれよ、こっちまで恥ずかしくなる‥‥‥。


「と、とにかく飯食おうよ」


「そ、そうだね」


 なんだか微妙に気まずい空気の中、食事を終わらせ、俺は生徒指導室を出ることにした。


「じゃ、俺行くから」


「ありがとねー、健人!」


「おう、じゃあなアラサー」


「アラサー言うなぁーっ!」


 必死に抗議するスミレちゃんを無視し、扉を閉めた。

 振り向くと、見慣れたギャルがそこにはいた。


「お、お前なんでここに?」


「ケンちゃんがスミレ先生にうつつ抜かしてないか確認しにきた!」


 そう言ってドヤァとした顔を浮かべ、胸を張る凛に、俺は呆れた様子で答える。


「お前、まだそんなこと言ってるのか‥‥‥。スミレちゃんは俺の親戚だって、いつも言ってるだろ?」


「親戚でも結婚出来ちゃうじゃん! 求婚されたらどーするのさ!」


「その時は貰ってやろうかな」


 と、俺が冗談目かしく笑いながら言うと、


「っ〜〜! ケンちゃんのバカーっ!」


「おい! 走るとコケるぞ!」


「うるさいっ!」


 俺を罵倒しながら走ってどこかへ行ってしまった。

 また何か地雷踏んでしまったのか‥‥‥。

 女心とは、分からん。


「あぁ〜、あらぴーやっちゃったね」


「なんだ西条か、うるせえ。あいつがおかしいんだよ」


「まぁ、姫っちも天然で真に受け易いとこあるけどさ〜、そこは男としてどうなのよ?」

 

 若干引いた目でこちらを見てくる西条。


「なぁ、西条。今日放課後暇か?」


「えっ、えっ!? ま、まぁ空いてるけど‥‥‥急にどしたの?」


 俺の突然の提案に、何故か驚いたように頬を少し赤らめながら答える西条。

 なんだこいつ熱でもあんのか?


「女心ってもんを、教えてくれ。あとお前顔赤いけど熱? 保健室までお姫様抱っこしてやろうか!」


 そう言って力こぶをムキッと出すと、西条ははぁ、とため息をついた。


「ほんと、そういう鈍感で無自覚なところが怖いんだよなぁ‥‥‥」


「ん? なんか言ったか?」


「なんでもないっ! 今日放課後玄関でね、それじゃ!」


 そう言い残して、西条は足早に去っていった。

 くそ‥‥‥保健室までお姫様抱っこして筋トレしようと思ったのに‥‥‥。



 女を筋トレの道具にしようとする、最低な荒木健人だった。





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