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幼なじみのギャルは通い妻したい

新作やでぇ! 良ければ評価ブクマよろしくです!

 

 「ケンちゃん、ご飯できたよ! とりゃっ!」


 突然、俺の腹に重みがかかり、俺はグエッと轢かれたカエルのような声が出た。

 俺の上に乗っかる向日葵のような笑顔をした目の前の幼なじみを引き剥がして、俺は呆れたように言った。


 「いって・・・・・・凛、いきなり飛びかかってくるなよ。死んだらどうする」


 「え、ケンちゃん死んじゃ嫌! まぁでもその筋肉なら死ぬことないか」


 「いや少しは反省しろよ・・・・・・」


 俺、荒木健人(あらきけんと)は筋トレ脳筋馬鹿野郎の高校2年生だ。さっきのしかかってきた重さも本当は特に問題ないほど鍛え抜かれたこの身体は、俺の趣味特技座右の銘である筋トレによるものである。

 身長は185cmほどあり、冴えない顔だが妙な威圧感があることから、高校生にしてはかなり老けてるとよく言われる。我いと悲しき。


 そして、この俺の部屋に来て「飯だー!」と叫び散らかすのは姫野凛(ひめのりん)。俺と同じ高校2年生で、昔から家が隣同士の幼なじみだ。


 凛はいわゆる『ギャル』という人種に区分され、染めた金髪に青いリボンでまとめあげられたポニーテールが特徴的で、ぱっちりとした瞳に、着崩された制服。胸元が見えそうなワイシャツはやめてほしいものだ。


 そんな凛が、なぜ俺の家にいるのかというと、俺は筋肉をいじめることしか取り柄がないため、料理家事洗濯が全くもって出来ない。両親も単身赴任でこの一軒家には誰もいない為、世話焼きの凛がいつも、料理や洗濯をしに来てくれている。


 正直、なんかとてもヒモ感があって申し訳ないというか虚しいので何度か断ったのだが、「ケンちゃんはあたしがいないと家がゴミ屋敷になるから!」 と図星を突かれ、もはやこれは日常化した光景となった。


 「とーにーかーく! 朝ごはん出来たから! さっさと着替えて食べるっ!」


 「はいはいわかったよ・・・・・・」


 「ちょぉーッ!? 何脱ごうとしてんの、バカっ!」


 俺が着替えようとベッドから身体を起こし、寝巻きを脱ぎ始めると、凛はなぜだか慌てた様子で顔を隠した。


 「はぁ? お前が着替えろって言うから着替えてるんだろう」


 「ふ、普通女子の前で着替える!? 変態!」


 「いや、昔からお前俺のちんちんくらい見てただろ、何着替えくらいで恥ずかしがってんだ?」


 「〜っ!! バカっ! ケンちゃんのアホ〜!」


 ぷんすかしながら凛は顔を真っ赤にして部屋を出ていった。何怒ってんだあいつ・・・・・・。

 俺は制服に着替え終えると、下へ降りリビングへ入る。

 すると、何やら良い匂いが鼻腔をくすぐる。


 「やっと着替えた? 今日はチーズエッグトーストだよ! 召し上がれ」


 「よっしゃあ!! 大好物きたァ! 愛してるぜ凛!」


 「あ、愛してる言うな!」


 俺は大好物を目の前にし、興奮状態に陥った。何やら凛が照れてるがそれどころじゃないため、俺はいただきます、と言いチーズエッグトーストにかぶりついた。


 「うんんまぁ! 凛、お前料理の腕上げたな?」


 カリッとジューシーなチーズと中のふわっとしたトーストの食感が良いアクセントになって、めちゃくちゃ美味い。


 「えへへ〜、どういたしまして! ケンちゃんに喜んでもらいたくて!」


 「嬉しい、いや超嬉しいぞ! ありがとう!」


 俺の満面の笑みに、凛も嬉しそうな顔を浮かべ、一緒に朝食をとる。

 もはや熟年の夫婦のような光景に、俺はふと頬が緩んでしまう。



 ***




 昔から変わらない幼なじみに、俺は『恋心』を抱いている。



 変わったといえば、見た目が派手になったくらいで、明るくて優しくて世話焼きなこいつが、俺は堪らなく好きだった。


 その気持ちに気づいたのは、幼稚園の頃、俺がまだ身体が小さくて弱虫で、年上にいじめられていた時だ。


『やーい、チビ助! 悔しかったらかかってこいよ!』


『うわぁぁん! 痛いよぉ』


『おい! ケンちゃんをいじめるな!』


 そこに現れた救世主(ヒーロー)。それが凛だった。

 活発で男と混じって遊んでいた勇ましい彼女は、年上相手にも物怖じせずに俺の為に立ち向かってくれた。

 それが何よりも嬉しかったのだ。


 そこからは、俺は自分を変える決心をした。

 いつまでも凛に守ってもらってばかりだった俺は、身体をとにかく鍛えて大きくし、自分に自信が持てるようになった。


 このことはまだ、凛には言っていない。

 だが、どうせ凛の事だから気づいているだろう。(気づいてない)


 なら、ここまで仲良くてなぜ付き合わないのか?


 答えは、凛がギャルだからである。


 別にギャルが嫌いなわけではない。凛はギャルだからきっと、男に困っていないだろうし、彼氏もいるだろう。

 そんな凛に今更告白したところで・・・・・・というのが俺の辿り着いた答えだ。

 だから、俺は今日も幼なじみをする。


 「凛、何か困ったことあったら言えよ。今度俺に彼氏さん紹介してくれよな」


 「え、どうしたのいきなり? てか、彼氏なんて・・・・・・いないし・・・・・・」


 そう呟いて、何だか寂しげに俯く凛。

 もしかして、何か地雷を踏んでしまっただろうか・・・・・・。今後凛に男の話をするのはやめておこう。


 「わ、わりぃ。なんでもないんだ。変な気回してごめんな」


 「そ、そう。まぁそれよりさ! 学校行くよ!」


 目の奥はまだ寂しげだが笑顔でそう言う凛に、俺は曖昧な返事をした。




 ***



 私の名前は姫野凛。幼なじみのケンちゃんの家によく行って通い妻みたいなものをしている。

 今日も朝起こしに来たら、いきなり悪態つけられてしかも目の前で着替えるって!

 そんなに私女の魅力無いかな?と不安になる。

 通い妻をしてるのは、幼なじみだから? 違う。恋人だから? 付き合っていない。


 私は昔から、ケンちゃんに恋心を抱いている。


 あれは確か、中学生の頃。

 私が駅前の塾に通っていた時、帰りがいつもより遅くなってしまい、やむを得ず近道を使った。裏路地に回った時、スカジャンを着たいかにもヤンキーみたいな3人組とぶつかってしまい、因縁をつけられてセクハラまでされそうになった。


『姉ちゃんよぉ! 俺ら怪我しちまったのよ! オラに慰謝料分けてくれ!』


『てかこいつ可愛くね? オラの如意棒が伸びきっちまったぞぉ!』


 ハチャメチャが押し寄せて来て、腕を掴まれたその瞬間、私の幼なじみ(ヒーロー)は現れた。

 中学に上がってからやたらと身体が大きくなったケンちゃんは、ヤンキー3人組をボロ雑巾のようにシバキ上げ、道の片隅にポイっと捨てていた。

 ちょっとやり過ぎのように思えるが、私にとっては紛れもないヒーローだった。


 それまでケンちゃんとは幼なじみとしてしか接してこなかった私は、初恋をしたのだった。


 助けてくれたお礼を私がしようとしたら、「別にたいしたことしてない」などと言い、強がってる姿も何だかカッコよく見えた。


 それから、私は自分を変える努力をした。


 風の噂で聞いた、『ケンちゃんはギャル好き 』をもとに、私は完全なるギャルと化した。ピアスも開け、メイクもし、可愛くなる努力ならなんだってした。


 そ、れ、な、の、に!


 この朴念仁(ケンちゃん)ったら! 今日も私に彼氏がいると思ってるし、男遊びしてる風に言ってくるんだもん! ホントやになっちゃう! ま、まぁ私も素直になれない部分は無きにしも非ずなんですが・・・・・・。

 私は自分の感情がすぐ表情に出るタイプだから、あまり寂しさを隠すのは得意ではない。


 それでも、私は今日も笑顔でいる。




 ケンちゃんの好きな、私でいるため。

 絶対に惚れさせてやるんだから!


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