ペットショップ
町から外れたある通りには、いたるところに怪しい店が並んでいた。
一人の男はその通りを何食わぬ表情で歩いていた。
常連なのだろうか?
ある店の前で立ち止まり、古臭いドアを開けた。その上の看板には「山田動物店」と書かれていた。
「いらっしゃい。」
男は店主の声にも反応を示さず、犬や猫のコーナーをスタスタと通り過ぎ、ある生物のコーナーまで移動した。
「あんたも物好きだね~。」
店主の掛け声にも、さほど表情を変えずゲージに入れられた”動物”達を眺めた。動物達は男を睨むようにして何かを吟味する男を見続けた。男が真剣に眺めているのを見て、店主は
「もう買い替えるのかい?」
といった。
「大きいのはだめだ。すぐ死にやがる。」
目線はゲージに入った生物のままで、静かにそう言った。
「つまり?」
「子供だ。できるだけ小さなものを一匹頼む。」
男の要件を聞き終えると店主は困った表情を浮かべこう言った。
「今だと一番小さいので2歳しか置いてないよ。」
「構わん。それを一つ。」
薄気味悪い笑みを浮かべて男はそう言った。
ゲージからまだ生まれたばかりの小さな赤ん坊を取り出すと、店主は同じく小さな袋にそれを入れて男に差し出した。
「2000円だよ。」
安いもんだと言わんばかりに、男は財布から札束を二枚取り出し、レジにおいてある皿に並べた。
「まいど。」
ほんの15分前と同じように、古臭いドアが開く音がして袋を抱えた男は、うす暗い通りを何食わぬ顔で通り過ぎて行った。
あのペットショップには犬や猫の他に何が売られていたのだろうか…?