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本日2話投稿
午前中に鍛冶工房、彫金師工房への挨拶を済ませ、商業ギルドに向かう事にした。
相変わらず街は賑わっている。まだ避難勧告が出されているわけではないし、当然といえば当然なんだ。いつ出されるんだろう? 地下はもう魔物は出るのか? シーダーは、自分たちも引き払うと言っていた。出来るだけ早く、とも。
あるいは魔物の出現はまだ先だろうか? 街にパニックが起こるとすれば、ギルドや多くの機関が機能を失うことになるのかもしれない。そうなれば移動なんてできないかもしれないし、討伐依頼が強制されるかもしれない。城門が閉ざされでもしたら大変なことになるし。
いや、避難勧告なんだから、ここはもう空っぽになるか。戦場と化すんだろう。騎士団や兵士、軍隊がここを占拠して魔物と戦うことになる。
【虹色の翅】はどうなるんだろう。マグニアス伯爵領に行けたとして、はたして討伐戦に非参加とか可能なのかな? みんなが戦っているときにのうのうと暮らすのか? そんなことが許されたとして、人として大丈夫か? 力があるのに参加しないとか。
うん。
ないな。
総力戦になるのなら、きっと戦うことになるんだろう。そう覚悟しておくことが重要に思えてきた。そのうえで基盤をマグニアス伯爵領でしっかり築くんだ。戦略的撤退なイメージを持っておけばいい。
なんかスッキリしてきた。
僕にできることは何か。もうはっきりしている。マグニアス伯爵が求めていることは、王都が混乱するだろうこの機会しかないはずだ。あの御仁、恐ろしいな。
相変わらずビジネス会社風のしっかりした作りの商業ギルドに足を踏み入れると、これまた事務員風の受付嬢が応対してくれる。
「ヴァレントさんですね。今回の御用はどういったものでしょう?」
丁寧な所作に毎回感心させられるんだよね。
「実はマグニアス伯爵のはからいで旧マサテュール領に引っ越すことになりまして、そのご報告と、現店舗の扱いをどうするか相談にあがったんです」
「なるほど。では担当の者を呼びますので、ヴァレントさんは応接コーナーの3号室でお待ち下さい」
こちらをどうぞ、といってカードを渡される。渡されたカードはドアのケース入れに入れることになっている。こうして使用している部屋がわかるようにしているんだって。
僕はお礼を言ってから3号室へ向かった。
応対してくれたのは僕に店舗を斡旋してくれた人で、今回も親切に色々と手を回してくれるという。商業ギルドのマサテュール支部において円滑に登録ができるよう最大限助けてくれるそうだ。
ここまでしてくれるのもマグニアス伯爵の息のかかる僕に対して失礼がないようにとの配慮なんだって。さすがは商人。店舗はとりあえず商業ギルドが買い取りしてくれるそうだ。
正直助かる。維持費がどうしても嵩んでしまうからね。
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無事に用事も終わり、店舗への帰り道。
久しぶりの人物に声をかけられた。
「アレクセイ君」
振り返るとギルド監視員のアーノルドがいた。
「‥…お久しぶりですね」
本当に久しぶりなんだ。あんまり冒険者ギルドに行かなかったのもあるけれど、シェイナやギルマスがいなくなってからもほとんど見たことがなかったから、移動したのかと思っていた。僕の見解を正直に伝えると、彼は首を縦に振った。
「その通りだよ。私は今はドヌマンにいるからね」
ドヌマン……。一気に警戒心が出てしまった。
アーノン・ドマール(45)
ジョブ:【剣士】
スキル:【家事】
ドヌマン公爵令嬢付き執事
まさかね。
「そんなに警戒しないでくれると嬉しいんだけどね。そうもいかないかな?」
早すぎない? 冒険者ギルドに出したところだよ、お貴族様へのお返事の手紙。今朝ゲルトレイルが出してくれたはずだけど。
「どういったご用件でしょう?」
「察してくれていると思うんだけどね。改めて君にお願いしに来た次第だよ。お嬢様の商談に応じてもらおうと思って」
僕が出したはずの手紙は彼の上着の胸ポケットからかすれもせずスッと出される。
「一応お伺いしますが、差出人はアーノルドさんで、商談相手はドヌマン公爵令嬢様という感じでしょうか?」
「おや、所属を言っていないのにわかるんだね?」
はぁ、やられたか? まぁいい。肩をすぼめるだけに止めておいた。
「こんな人が多いところではあまり大ぴらにできないんだが、要約するとそういうことだ。君も慎重に事を運んでいるようで、安心したんだが、仕事を断られるわけにはいかなくてね。事情は歩きながらでも?」
そういって僕の横に並んで歩き始める。
僕は聞かされた内容に思わず天を仰いだ。
お読みくださりありがとうございました。




