2限
本日2話投稿です。
3日の休みをダラダラと過ごしたんだ。体の疲れも状態解錠で癒えているものの、精神的にゆっくりしたかったし。
ダンジョンから帰ってきたすぐに、召喚で呼ばれたから体が休みを要求したんだよ、きっとね。だけど、赤髪や魔女たちには退屈な時間だったようなんだ。それぞれの用事や準備をしっかりやっていたみたいだ。
そして会議の日がやってくる。パーティー【虹色の翅】としての活動をどうするかだ。ダンジョンに行くか、僕の用事である各城塞地下に行くか、クエストを受けるかを決めないといけない。
「俺としてはダンジョンに行きたいと思っていたんだが……」
赤髪はみんなを見回してそう言った。続きがありそうな様子にみんなで彼に顔を向ける。
城塞地下の情報はまだないから選択肢は狭められているんだよね。普通のクエストか、ダンジョンに。そう言えばまだ普通のクエストうけてないなぁ、パーティーでは。
「アレク、お前に3通の手紙が来てる。その内容次第で行き先が変わるかもしれん。開けてみてくれないか? 全部ギルドで預かってきたものなんだが」
懐から取り出した3つの封筒を僕に手渡してくるゲルトレイルからそれを受け取り、裏側の差出人を見て、最初の文字で顔を歪めたのが自分でわかった。この汚い字よ。
姉だ。
これは後回しでいい。もう2つを扇状に広げて一気に差出人を確認する。一つはマグニアス伯爵、公爵代理からで、もう一つは聞き覚えのない名前の付された手紙だ。なんだろう、あやしいな。
ゲルトレイルはパーティーリーダーとしてギルドによく顔を出すから、メンバーの伝言役までさせられている。本人は楽しんでいるようだから無粋なことは言わないけれどね。だからギルド経由の手紙を彼から受け取ることが多いんだ。彼のことをこっそり郵便屋と呼んでいることはご愛嬌である。
僕はとりあえず知人のマグニアス伯爵の手紙を開けた。
「ん~と、なになに? あ~、そう言えば言ってたっけね」
「何? どんなこと?」
僕の呟きをひろったリリアリーリがすぐに反応を返してきたから思わず顔を彼女に向けて言った。
「うん。引っ越しの話だよ。いずれマグニアス伯爵領に引っ越そうかと思ってね?」
その段取りが済んでいるためいつでも顔を見せてほしいとのことだ。店舗も同じ規模のものを用意できているし、奥の部屋はこちらより広いものを用意してくれているらしい。なんとここより大きな家を改装して、わざわざ同じ店舗の面構えに仕立ててくれているんだとか。
一度【獅子の咆哮】のところでどんな段取りか確認しておきたい。闇組織の彼らとマグニアス伯爵は繋がっているから、きっと僕がシーダーのところへ行くことは予想済みだろうしね。手間を省くことも大事だし、行ってみるか。
「アレクは王都を出て平気なの? お姉さんがいるんじゃ?」
心配そうにサリアラーラが声をかけてきた。うん、確かにそうだけど、姉には全然会っていないんだよね。姫騎士所属とかなんとか言ってたし、忙しいのだろう。こうして手紙をくれるのは律儀なことだと毎回思うんだけれど。如何せん字が汚いのが許せん。
「結局、こんな手紙でしかやり取りがないんだから、場所が違っても一緒だよ? 会えるわけでもないしね」
素っ気なくそう返すとサリアラーラはなんとなく寂しそうにした。この姉妹はとても仲が良いから、会えないときの辛さを考えているのかもしれない。一緒にしないでほしい。精神的には生まれたときから大人の僕だ。心配は無用というものだよね。ただ、記憶を施錠した後のアレクの環境に引っ張られて涙もろくなることもあるけれどね。
「じゃ、もう一通を開けてみるね」
すごく丁寧に綴られたアレクセイ・ヴァレント殿へという宛名書きと、差出人の字の綺麗さをどうか見習ってくれないかな、ミーナ。
さてさて、誰だろうね? このお人は。
手紙の封蝋を開けようとしたその時、店舗の入口からガラの悪そうな声の主が大声を張り上げて僕を呼んだのが聞こえた。
お読みいただきありがとうございました。




