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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
9章 ダンジョンアタック開始編
82/170

10回

 9階層だ。


【鷹の爪】と10階層から逆走してきたことがある。だからある程度把握している。


「懐かしいな」

「だねぇ」


 ゲルトレイルもポーターの時を思い出しているんだろう。あの時初めて赤髪と一緒に仕事したんだから、思い出の場所でもあるね。


「どういう事?」


 サリアラーラが興味深気に尋ねてきた。掻い摘んでポーター時代のゲルトレイルとの邂逅について話す。【鷹の爪】と10階層から逆戻りでこの階層へ来たことを懐かしい気持ちで振り返った。


「二人ともあの【鷹の爪】と知り合いだなんて、よく考えると凄いことよね……」


 王都随一の冒険者パーティーと懇意にする低ランク冒険者なんて珍しい。


「俺は知り合いだなんて言えるほどの関係じゃないぞ? ポーターで仕事を受けただけだからな」


 残念そうに言いながらも、有名な冒険者パーティーと行動を共にできたことを誇らしく感じていることは、その態度からよくわかった。


 僕にとっては誇りでもなんでもない。王都で顔を合わせればダンジョンに誘われて、ダンジョンで会えば驚かれて、うん、まぁ友達みたいなものだね。ランクA特権の推薦状をくれたおかげでランクアップできたから感謝はしているんだけれど、お互い様な部分も多い。僕のスキルが無ければ彼らは今も6階層で悩まされていたことだろうし、Aランクにもなっていなかっただろう。


 "隠し部屋"とか特殊なものを発見できたり遭遇できたりするのは運の要素が多いと思うんだけれど、なんとなくダンジョン側の意思? そんなのがあるように感じることがあるんだ。ダンジョン攻略に近付きそうな冒険者達を尽く罠にかけている気がする。宝を取らせて時間稼ぎしているんじゃないだろうか? どうせ亡くなった冒険者達の遺品がダンジョンの魔力で昇華されたものだから、痛手もくそもなければ資金を必要としているとは思えないし。


 そんなこんなで僕達【虹色の翅】には今のところなんの妨害も無い。10階層までしか進めないってのもあるけれど、そんな事情はダンジョン側の知ったことではないだろうし。ノーマークなんだろうね。


「アレクセイは随分親しいようだけど?」

「まあね、友達みたいなもんだよ」

「凄いねぇ」


 魔女2人がしみじみと感想を言って感嘆のため息を洩らした。


「何言ってんの? "魔女姉妹"とパーティー組んだ奴って事で嫉妬を向けられることもあるんだよ? 【虹色の翅】でいる方が今や凄い事なのかもよ?」


【魔道】を得た2人の姉妹は王都でちょっとした有名人なんだ。凄いスキルとジョブを得た稀有な姉妹。【魔女】もかなりのレアスキルのようで、彼女達が森に引っ込んでしまったことを惜しく感じている者は多いんだって。貴族やギルド、王家でさえ着目していたんだとか。姉のミーナでさえ、【剣術】スキルを得た直後に色々な斡旋を受けていたんだから、頷ける話ではある。


「へぇ」

「あらら、なにその無関心振りは?」

「うーん、実感がないわね」


 素っ気ない。心底興味ないのかもしれないけれど、無頓着過ぎないか?


「あ~、アレクあのね」


 疑問が顔に出ていたようで、リリアリーリが横から話に入ってくる。【魔道】を得た頃の彼女達へのアプローチ合戦が苛烈を極めていたらしく、うんざりして心を閉ざした結果、自らに蓋をしている状態らしい。我が領地の筆頭魔導師にどうかと多くの公爵家や伯爵家が魔女獲得に乗り出していたそうだ。森へ逃げたのはそんな事情もあるらしい。


「森にいる時はそういった煩い事から逃げてたって事ね。おかげで生活するのはちょっと大変だったけど、いい修行にはなったと思う」


【魔道・極】にまで昇華させていることからもその努力は伺い知れるんだけれどね、逆にそれしかする事なかったんじゃないかな……うわ、思考読まれた!? 睨んできたし(笑)


 道を探すでもなく、あっさり9階層は終わりを告げた。しゃべってるだけで終わってしまった。ある程度の魔物が襲ってきはしたものの、取り立てて特筆すべき強さを持つ魔物はいなかったんだ。


 さて10階層はどうするんだろうか。一応ここまで足を踏み入れれば到達報告ができる。


「帰るか」


 リーダーの一言で方針は決まった。じゃあ帰ろう。確かに水ももう心許ないし、帰り時ではあるんだよね。一応10階層にしか出ない魔物の魔石を持ち帰らないと、到達の証明が出来ないから、戦闘は避けられない。まぁ、やりますけれどね。


 階段を降りたところで出会した魔物をあっさり片付け、僕達は家へと帰った。




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