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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
9章 ダンジョンアタック開始編
81/170

9回

 視界には一面に荒野が広がっている。ゴツゴツした岩が隆起し、岩の陰には雑草が所々に生えていて、生き物の生存の難しさを顕にしているようだ。乾いた土を踏み歩き、時折足の裏を小さな痛みが襲ってくる。粗い石だ。


 8階層での何度目かの舌打ちを僕はやっとの事で呑み込む。ダンジョンの中で荒野ってなんだろうね……。照りつける太陽って、ここ洞窟じゃないんか? 何度目になるかわからない疑問も飽きてきた。


「そろそろか?」


 赤髪が不意に立ち止まる気配が後ろから声と共に届いた。うん、そろそろかもしれない。微かに聞こえるカサカサする音は、進行方向の左手に見える岩の向こうではないかな?


 範囲指定の対象を探ってみる。視認できる訳では無いけれど、目を解錠し、捕捉は完了した。


 サソリだ。


 12匹、いや、12体。デカい。


 油断はしない。サソリは岩を迂回せずにジャンプした。噂通り、情報通りに滞空時間の長いジャンプを敢行したんだ。コレって、良い的にならないのかな? 落ちてくるスピードが遅いって事だよね?


 ゲルトレイルはすぐに指示を出した。


「サリア、氷! リリア、岩!」


 凍らせて岩で砕くって事ではない。魔法は物理に反映されないんだ。魔力の塊をぶつけるだけだ。冷たさや硬さ、重さは伝わるのに、跡が残らない。魔力の終焉と共に消え失せる。不思議だ。火も、焼くことができるのに、拡散はしない。


 魔法がぶつけられたサソリは滞空時間とは関係なく、重力のままに落ちてきた。跳躍も一種のスキルか、魔法なのだろうか? 確認するすべはないけれども、そういうことなんだと思うんだ。


 ドサドサと落ちてくるサソリは11体。まだ魔石に変わっていないことから、生きていることはわかる。最後のサソリがこちらに向けて降りてくるところだ。ゲルトレイルの投斧がサソリの腹へと直撃したものの、あっさり弾かれたんだ。なるほど、彼らの対空時間は長かろうが、物理では余裕なのだろう。あんな硬さがあるのなら、弱点にはなりえない。


 サリアラーラとリリアリーリのそれぞれの魔法が最後の1体を射抜いた。


 おおぅ、活躍してない……。トドメは僕が刺しておこう。ついでに魔石も取る。


 フライングスコーピオンの魔石:毒効果


「毒効果」? 自分が毒になりやすいのか、相手に毒を盛るのか? イマイチ効果がわからない。サソリのことを思えば、相手に対するものだろうと推察はできるけれども。


 防御力に解錠を施し、節間を狙って刺す。ブロードソードを逆向きに構え、地面にめり込むくらいに上下運動を繰り返す。幸いにもすぐにキラキラとその場で消えて魔石に変化してくれるから、無残な骸を眺める必要がないのは正直ありがたいよね。


 積極的に【鍵】を使ってスキルアップを図っていきたいところだけれど、いかんせんどうやったらレベルが上がるのかわからない。今はひたすら使い続けていこう。


 荒野を歩く。


 ベルトに提げた水筒も残り少なくなってきている。ポーターって本当に重要だと思ったんだ。パーティーで活動するのに、荷物を持ってくれる人の有り難さを痛感した。ポーターが時折重宝され、需要があるのにもしっかりした理由があるんだなぁ。いざ自分たちがダンジョンに入ることになって気づいた。いや、気づいてはいたんだ。駆け出し冒険者には過ぎたものだと諦めていた。でもお金があるのなら惜しんでいる場合ではないのかもしれない。


 ここにも落とし穴がある。駆け出しがポーターを雇っても、足元を見られたり、荷物を持って逃げられたり、ポーターが駆け出し冒険者より強かったり、ランクが上だったりすると、いろんな意味で危険なんだ。だからポーターは高ランクになって経験がランクに見あって来た頃が雇い時なのかもしれない。


 どんどん進む。乾いた土を踏み均し、小石を蹴飛ばした。


 カーン。


 乾いた音がする。小石が何かに当たったのはわかった。


「……ん?」


 ズモモモモ。


 地面が一部芹上がり、柱のような砂に埋もれた何かが隆起しだす。徐々に物体から砂が流れ落ち、その姿を顕現させていく。


「アレク!」


 落ち着け……行動施錠(ロック)


 からの……鑑定。


 人喰いサボテン:レアモンスター。弱点・火。


「火だ!」

「「ファイヤ」」


 ゲルトレイルから名前を呼ばれるだけで、一連の流れができあがりつつある。鑑定、弱点看破、攻撃までの流れは今までで1番スムーズだった。みんな満足気に少しの手応えを感じている。


 キラキラと輝きを散乱させて、人喰いサボテンは魔石へと姿を変えていった。


 いくつかの普通のサボテンの魔物を討伐しながらひたすら進む。寄り道もせず、ただただ次の階層へと足を進めた。気になる洞穴のような部屋や谷間、小高い丘に宝の匂いがプンプンしていたけれども先を急ぐ。


 9階層へ。



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