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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
9章 ダンジョンアタック開始編
75/170

3回

「ここからだね……」

「うん……」


 ゴクリと喉が鳴る。僕の愛剣が火を噴いた。文字通りじゃないよ? 活躍したって意味だよ!


 耐久施錠したブロードソードを両手に構え、ぶん回す。迫り来る蜥蜴を豆腐のようにカットしていった。


 沼地のような地形のフロアに来てからというもの、蜥蜴ばかりを討伐しているんだ。こいつの魔石が30個いるんだって。誰がって? ギルドだよ。需要に合わせてランクアップの条件が変わるみたいで、今は蜥蜴の魔石がいるらしい。30個も取らせるってどうなのよ!?


 まぁ、これでゲルトレイルのランクがDになるのなら文句はないんだけれど。多過ぎない?


「コレもクズ魔石らしいから、多くはないんだってよ」


 赤髪が蜥蜴の魔石を摘んで言う。


 クズ魔石。価値のあまり無い魔石のことだけれど、全く価値が無いわけではない。庶民の電池みたいな役割を果たすんだ。電灯を灯したり、火を起こしたり、何らかの動力になっている。


 だからダンジョンではあまり無駄が無いんだ。入れば、帰れば、生きてさえいれば稼げる。弱い魔物からでも確実に魔石が取れるから。1~10階層で生活を立てている冒険者は多い。


 そんなこんなで蜥蜴と戦っているところなんだ。ゲルトレイルと僕で。魔女達はまだ出番は無い。といっても、誰かが戦っている時に出番なんて来ないんだ、まだ。この階層の魔物では弱すぎる。連携とか全然取れる気がしない。攻撃を仕掛ければ一撃で沈んでしまう相手にどうやって連携を取ればいいのかさっぱりだ。


 わざと打ち漏らすとか? ナイナイ。恥ずかしいんだよね、弱すぎる相手を打ち漏らすとか。だから彼女たちには魔石の回収をお願いしているんだ。普通は戦闘終了後にみんなで集めるんだけれど、如何せん魔石が小さいから、取り損ねることもあるんだよ。せっかくだから戦闘していない彼女たちに、常時魔石を取ってもらうんだ。回収そびれも少なくていいよね!


「27!……28!……」


 討伐しながら前へ前へと押し進む。進まないと回収係が巻き込まれるからね。拾いながら彼女たちは数を教えてくれている。後2匹のところで、静けさが辺りを包む。おいおい嘘でしょう? 殲滅とか、ないわぁ。あと2匹分の魔石どうするよー。


「休憩……するか」

「そうだね……」


 残念感が半端ない。あんなに居たのに、蜥蜴ちゃん。逃げたのか? 同じ立場なら僕もまぁ逃げるわな……なぜか感情移入したらしっくりきてしまった。うーん、困ったね。


「ところでアレク、お前結局ミスリルソードは手に入ったのか?」


 お、ゲルト君思い出したのかい? 僕はダンジョンに入る前に武器屋に行ったからね、気になってたんだろう。ゲルトレイルは仕込み斧もあるから用意周到で武器屋には用事がなかったんだっけ。相変わらず着替えの用意が多いけど。


「コレだよ」

「ん? ひのきの木の棒?」


 そう見えるんだよねぇ、これミスリル製のドスなんだよォ、ドヤァ。あれ……無反応? ドスなんて知るわけないか。しょうがない、種明かしといこう。


「ここをこうするとね……」


 スっと刀身が姿を現す。鍔の無い刀。


「仕込み剣!?」


 今度は物凄く驚いてくれた。いいよいいよ、その反応を待ってた!


「コレは刺す用なんだよ」


 もちろん刀鍛冶なんていないから、片刃の剣を頼んだんだ。オーダーメイド。武器屋に僕の知り合いの鍛冶屋さんを紹介しての発注だ。直接行かないのか? うん、強面だからね、お客さん少ないから彼。だから少しお金がかかっても、取引先を広げられるでしょ? 鍵屋やってるとね、コネクションも大事だって学んだから。その助けになれれば良いなと思ったんだ。


 矯めつ眇めつドスをいじくり回して抜いては収めて感嘆の声を上げるゲルトレイルは本当によく分かってるなぁ。僕はもう1つのドスを取り出す。そして赤髪の前にそっと"ひのきの棒"を差し出した。


「いる?」

「え……?」


 ゲルトレイルの目は棒と僕の顔を何度も行き来している。あ、コレ欲しいパターンだな。この"仕込み"系統の武器ってそそる人にはそそるんだよね。長剣持ってる僕が言うのも変だけど、目立たない武器にえらい魅力を感じませんか?


 僕はサッとドスを右にスライドさせてみた。そして上に下に左にとやるとゲルトレイルはゲンナリしたんだ。目で追ってたのに、途中でやめよった!? コイツには猫属性は無いみたいだ。つまらん。どっちが諦めたかはさて置き、僕はゲルトレイルにドスをあげた。ことの他彼の唇は緩んでいたから喜んでいるんだろう。


 やり取りを見ていたサリアラーラは物凄く羨ましそうにしていた。なんだ? リリアリーリが説明してくれる。


「あ~、アレク、あのね。お姉ちゃんも欲しいんだって」

「ドスを?」


 二人して同時に頷いたから面白いよね。リンクでもしてるのかな? 双子でもないのに息ピッタリだ。護身用の武器を調達するのに、結局僕に着いてきたリリアリーリ。僕のオーダーメイドに興味を持ったから、彼女も同じ物を購入した。僕のお金で。だからこの際全員分のドスを勝手に作ったんだ。いるか要らないかは本人の判断に任せるつもりで。余ってもスペアにするからいいんだ。断られたら凹むけどね!


 ゲルトレイルに試した猫属性試験をサリアラーラにも施した。こちらは完璧に釣れた。うん、可愛い。よろしい。


「はい、サリア。大事にしてね」


 呆れられる前に彼女の目の前にドスを持っていく。彼女は受け取ると、抱えたまま胸の前でしっかりと握りこんでいた。


「うん、大事にする」


 はにかんだ笑顔はやばいな。うんやばい。見ていられないや。


 休憩を終えて周りを見ると、蜥蜴が何匹か沼周辺に戻ってきていた。


 5階層でのギルドの依頼をこなして僕達は6階層へと足を進めた。



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