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ep06

 ミーナライト・ヴァレント(15歳)

 学生

 職業:【剣士】

 スキル:【剣術】


 姉を鑑定眼で読み解く。大した情報はない。多分解錠の具合が弱いのかもしれないし、こんなもんかもしれない。あるいは知りたいという堅い意志が関係しているのかも。大して興味が無いから今はこのままでいいと思っている。


 僕もついに12歳になった。王都で暮らし始めて3年だ。姉はジョブ継承を終え、無事に【剣士】のジョブを得た様子。僕はスキル継承の儀式の年だ。


 そろそろ身分証を作らないといけない。今までは姉の付き添いで学院の寮生活をしていたが、スキル継承に伴って、自立しないと行けなくなる。寮生活も姉の学院生活終了と共に終わりを告げるから。


「アレク、お姉ちゃんは王都警備隊配属になりそうなんだけど……」


 いろいろとめんどくさい事を考えないといけなくなってきた。


 まずはスキル継承。既に【鍵】というスキルを持ってるから、新しいスキルを継承するのか? それともこのままか?


 このままの場合、スキル継承の儀式の際、【鍵】スキルを施錠しておいて、儀式直後に解錠。


 新たなスキルを継承する場合もとりあえず【鍵】スキルは施錠。戦闘系のスキルが万が一でも発現してしまえば、国に自由を奪われるか、冒険者になるかだ。その時は戦闘系のスキルは一気に施錠して、【鍵】を解錠。もう珍しがられるのを耐えよう。


 職人系のスキルが発現した場合も考えておかないと。国に束縛されかねないスキルは施錠するという方針で行こう。


 無難に【村人】になれるスキルだと安心なんだけどなぁ。


「ミーナ、就職内定おめでとう」


 これから住む場所も確保しないとね。冒険者の宿が安いって聞いている。そのためには冒険者登録しておかないと。3年間無為に過ごしていた訳では無い。王都の大人達を鑑定し、大抵のデータは集めた。僕にとっては生きやすい環境だ。鍵屋の需要はきっとある。同業者がいないからね。同じ系統のスキルは盗賊が持ってるから、印象が悪いんだよ。勝った。


「ありがとう。それでね、お家のことなんだけど……」


 目の前の姉と目を合わせる。僕は至って真面目な顔をした。背筋を伸ばし、姉の言葉を待つ。


 姉は今後、この宿から出ることになる。つまり僕も強制退去だ。学院卒業だから当然だろう。姉は僕を気遣いながら村へ帰るよう促してきた。姉は王都警備隊駐屯施設寮に入ることになる。そこは男子禁制だ。


「大丈夫だよ。冒険者登録しておくつもりだから。卒業までにスキル継承を済ませるからそれまで待ってくれる? 僕は王都でやりたい事を見つけたから。ミーナは王都警備隊頑張って」


 盛大に驚かれた。きっと彼女の中では僕はまだまだ子供なのだろう。いつまで経っても姉は姉。心配される存在なのは少し面映ゆいが、悪くは無い。


 姉は涙ぐんで頭を撫でてくれた。


「寮に出れるようになって、独り立ち出来るようになったら迎えに行くからね」


 そんな甘いことを言うミーナに、僕は首を横に振った。


「ミーナ、僕を甘やかしちゃダメだよ。暫くは訓練とかお仕事で忙しくなるんだから、自分の事だけ考えてればいいよ」


 言葉とは裏腹に僕の頬には一筋の何かが伝っている。ミーナの顔がぐにゃりとしていてはっきり見えなくなっていた。


 姉は僕を包み込んで一緒に泣いてくれた。思えばずっと一緒に過ごしてきた家族が旅立とうとしているのだ。寂しさが胸を締め付ける。産まれてから記憶を施錠した5年間にアレクが培った家族の絆が、私の意識を凌駕しているのかもしれない。いい傾向だと思う。自分を私と表現するのも随分久しぶりだ。きっと、大きく感情を揺らしたのが久しぶりだからだろう。両親も僕達を王都へ送る時、こんな気持ちだったのかもしれない。


 僕は抱きついて離れない姉の背中をトントンと触れて、距離を空けた。


 さあ、次はスキル継承の儀式だ。


 この時、僕は人生を揺るがすイベントへと思いを馳せた。

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