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『【鍵】レベルが足りません』


 脳内のメッセージに愕然とする。王都から南のフラクシス公爵領城塞地下だ。【八卦神門】の祭壇に上がった僕は、盤上に刻まれた【八卦神門】の模様に手をかざしたんだ。


 盤上から光の柱が上がり、天井を突き刺す。淡い光が広がった。そこまではよかったけれど、何事もなかったかのように光が消滅したんだ。なぜ……。


【怠惰の蛇】や【獅子の咆哮】の情報、斡旋を受け、フラクシス公爵領城塞地下に来ることが出来たのは僥倖だったものの、結果は散々だ。公爵からの許可を取りつけ、この地下に入れたのはいい。だけどこの祭壇から力を受けることはできなかった。


 スキルレベルが足りない。


 上げれば済むことなのかもしれないけれど、どこまでなんだろう? スキルの上限は? 一体何が条件で上がるんだ? マサテュール公爵領城塞地下で得られた【保存】は何故すんなり得られたんだろう?


 この調子で全ての城塞地下へ行き、全ての力を漠然と得られるものだと思っていたんだ。そして1番障害物の少ないはずのフラクシス公爵領でまさかの躓き。


 この場所を登録して【門】をいつでも使えるようにセットした。レベルが上がったら試しに来よう、そうしよう。


 トボトボ部屋を出ると、サリアラーラ、リリアリーリ、ゲルトレイルが待っていた。心配そうにこちらを伺っていたけれど、僕は首を横に振って無言で応えた。


 造りはどこも一緒なのかはわからなかったけれど、この場所もまた地下牢の先にあったんだ。階段を登り、城の1階へと戻る。城の管理を任されている子爵が僕達を待っていた。見学のお礼を述べて僕達は城を後にする。


 随分長い道を定期便の馬車に乗り王都へ帰ってきたけれど、次にどこへ行けばいいのか皆目見当もつかない。手当たり次第に行ってみるかな? 報告、連絡、相談をパーティーでやりますかね?


 いつものように勝手に3人が僕の家へと入っていき、くつろぎ始めていた。いや、別にいいんだけどね? 一緒に住むって決めたから。でもさぁ、この子達(年上)遠慮なくねぇ? と思う今日この頃。


 料理を手がけて振る舞うサリアラーラを"お母さん"ってからかっていたら、【怠惰の蛇】の遣いの人が来たんだ。渡された封筒を開け始める。我先にと手紙の内容を見ようと僕の周りに集まった3人に苦笑しつつも封から取り出した。


『ヴァレント殿


 いかがお過ごしだろうか。こちらは引き続き調査続行中だよ。今はコルトー城塞都市を調べている。期待していたまえ』


 コルトー公爵領か……どんなとこだろう? 東にあたる領地だ。どうやら【怠惰の蛇】は南西のマサテュール公爵領から反時計回りに調べて行っているらしい。という事は今回は……。


『デラーマ城塞都市についての情報を送る』


 という事みたいだ。この領地は南東にある。


 北・・・ドヌマン

 北東・・・ギランテッサ

 東・・・コルトー

 南東・・・デラーマ

 南・・・フラクシス

 南西・・・マサテュール

 西・・・バハルマルト

 北西・・・エンドレット


 王都ルクセンを囲む公爵領はこの通り。8人の公爵達が足を引っ張ったり、協力してどこかを蹴落としたり、色々と暗躍しているそうな。僕は各城塞地下にある祭壇を目指しているんだ。【門】に纏わるスキルやこの世界を知るために。


【怠惰の蛇】はデラーマ城塞都市見学用の紹介状を入れてくれていた。一体どこでこんなもの手に入れるんだろうね? 用途として地下牢が一般的な城塞地下に入れる権利なんてどうやって手に入れるんだ? 意味がわからん。闇の組織の底力を垣間見たね。ビックリだよ!


「次はデラーマかぁ……」


 なんだか感慨深げな様子のゲルトレイル。なんかあるのかな?


「ひょっとして?」

「うん、デラーマ出身だよ」


 リリアリーリが尋ねるとゲルトレイルの方が即答した。デラーマ出身なんだって。なんで王都在住なんだろ? まぁ、今はうちの半居候だけれども。


『注意が必要だ。理由はわからないが、地下に行くなら「ついでに地下牢の状態を確認して欲しい」との事だ。入ってもいいが、出る時に確実な安全が確認できない限り地下牢の扉は開けられないと何度も念を押された。かなり危険なのではないか? それでも行くなら止めないし、後回しでもいいと思うが』


 とまぁ、不安が残る言葉で手紙は締めくくられている。行くでしょそりゃあさ。

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