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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
7章 冷やかし客にご用心編
59/170

5刻

 これが【八卦神門】?


 8つの門に付されたそれぞれの名前。明らかに漢字だ。この世界の誰がこれを読めるんだろう……。奇妙な印にしか見えないんじゃないだろうか?


 しかもだよ? 2つの四字熟語をバラした8つ。これ中国人の転生者じゃなくて、日本のゲーマーが考えたんじゃないか?


 僕は今、マサテュール公爵家の城の地下にいる。地下牢を抜けた先にある、閉ざされた広間の中。中心には8角形の祭壇が8方向から上へ伸びる階段の最上段に据えてあった。


 階段を登り祭壇の前に立つ。周りを見渡せば、入口に施された門の模様と残り7つの門の模様が均等に配置されてぐるりと1週。


『雷門を解放します。解錠しますか? はい/いいえ』


 否定する意志も無く、僕の脳は勝手に「はい」を選択した。なぜ聞いた!? なぜ応えた!? 混乱をよそに脳内はメッセージが続いている。


『雷門が解放されました。【八卦神門】のレベルの上昇を開始します。雷門を一時的強制施錠します。スキル【保存】を付与しました』


 祭壇が光った。


 祭壇の上にある【八卦神門】の図が施された盤面が、淡い光を帯びる。光の柱が上り、一気に天井を突き刺した。


 僕の全身には【保存】のあれこれが駆け巡っている。スキル起動の仕方、発動条件、使用時の硬直時間、保存の中の()()()()のイメージが脳内を3D動画の再生よろしく展開された。


 ああ、スキルやジョブを解錠した者達はきっとこんな感じで驚き惑っていたんだろうな。ふとジャンヌやその仲間、シーダーの部下達の様子を思い出して、自然と口端が上がった。


 ーーーーー


 時は5時間前に遡る。


 マサテュール公爵家の城への侵入決行日だ。パーティー【冷やかし客】とはもちろん別行動中で、【怠惰の蛇】のスキル保持者4名と共に彼女達のアジトに身を潜めている。


「それでアレクセイにやってもらいたいのは、牢獄にいる仲間の解放の手伝いなんだ」


 要するに牢獄の鍵を開けるのが、僕の仕事だ。警備を掻い潜る方法まで綿密な計画がある様子。中に入るのはこの5人だけ、だけど仲間が城内外にたくさんいるらしい。メイドや武官、文官、騎士に料理人など様々なネットワークを持つ。


【怠惰の蛇】は闇組織とは別の次元で重要な役割のある大組織なのかもしれない。表に裏に色々な人々が動いているのが薄らわかった。それでいてまとまりのある行動をどうやって網羅しているのかは謎だね。


 ジャンヌは僕に簡潔な内容を示す。仲間の手筈で中に入るのは元々の計画にもあったそうなんだけど、どうしても鍵がネックだったんだって。どんなに伝を頼っても、牢番に繋がる事だけはできなかったのだ。突然現れた僕と招待状で事は一気に進む。渡りに船、水を得た魚よろしく組織は動いた。


 そして。


 牢までたどり着いた時、事は起こった。


 ギィィィーーーーーー、ガターーン。


 帰りの道が塞がれたのだ。牢へと降る階段の入口が閉ざされる。僕には何の問題もなかったけれど、ジャンヌ達にはショックは大きい様だった。裏切られたのかさえ確認する術がない。だから進むしかなかったんだ。


 牢にいる救出予定者をあっさり出すと、僕達はさらにその先へと足を進める。こうして辿り着いたのが、今いる部屋の前だ。


 ぼくは【門】を起動、この場所を登録して、全員でアジトへと飛んだ。


 城内の守備隊は今頃、階段前で僕達をじっと待っているんだろう。残念だけど、そこには誰もいないよ。後で行くけど、それも部屋の内側で施錠(ロック)するからね。


「アレクセイの協力に感謝する」

「どういたしまして。任務完了って事で?」


 頷かれる。そして僕は金貨8枚だけを抜き取った革袋ごと金貨92枚をジャンヌの目の前にドンっと置いた。


「ジャンヌ、仕事を頼める?」

「何をさせる気かな……」


 こんな大金で、という副音声をしっかり拾ったけれど、嬉しそうな顔をしているあたり、なんでもやってくれそうだなと思った。さん付けしなかったのも効果があったみたいだね。


 可能な範囲でここ以外の7公爵家の城の見取り図か情報を頼んだ。


 僕はあの部屋へと急遽戻らなくてはいけない。


【八卦神門・雷門】と漢字で書かれた部屋が僕に何かを語りかけているから。


 こうして僕は【保存】を手に入れた。

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