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10の時

 6人の捕囚たちの所属は見事にバラバラだった。おのずと引き出される答えは該当しない公爵家のみ。フラクシス公爵家は当事者だ。残る公爵家、南西に位置するマサテュール公爵家。


 図らずも幽閉されているマグニアス伯爵の所属する公爵家だ。ますます匂う。僕達が関与し、調べるのはここまで。


 バーミル伯爵に完了サインを貰い、帰りは4人で同じ馬車に乗り込む。


「終わったねぇ。お疲れ様!」


 元気よくリリアリーリがそう言うと、場の緊張は解けた。どうやら尋問の場で力が入っていたようで、ようやくそれも抜ける。


「3人ともありがとな。助かったよ」


 笑顔を向けると3人がした三者三様の反応が面白かった。ゲルトレイルは誇らしげにサムズアップ、リリアリーリは笑顔を返してくれて、サリアラーラは目が合うと茹でダコになっているし。


 僕は銀貨を5枚ずつそれぞれに渡した。思いがけない大金が手に入り、それぞれがほくほく顔をしている。僕は【管理人】のせいで大金を見ても動揺はしないと思う。お金で感動できない体になってしまった。あ、施錠したら感動戻るかな? まあいいか。


 王都に帰れば、僕はマサテュール公爵家について調べなければいけない。乗りかかった船だ、マグニアス伯爵の潔白を証明するのは闇組織が動いているだろうからいいとして、1回マサテュール領に行ってみよう。


 つらつら考え事をしていたら眠っていたみいたいだ。頭に心地よい感触にだんだんと覚醒していく。上を向くと幸せそうなサリアラーラの顔があった。ぅえ!? どういう状況だ!? 膝枕!?


 バッと身を起こすと目の前にいた男女にクスクス笑われる。サリアラーラの方は残念そうにしていた。なにこの公開処刑。恥ずか死ねるんですけど!?


「あー、あれだ、なんかごめん、サリア。重くなかった?」

「大丈夫よ。アレクセイはまだ疲れてるんじゃない? まだ寝てていいんだよ?」


 なんとなく膝へどうぞの小さいジェスチャーが見える。僕はブンブンと首を振った。勿論横に。そんな様子に前の2人はさらに笑う。距離が近いの気のせいか?


 なんかサリアラーラにしてやられるのが悔しい。随分と楽しそうだ。だからだろうか、こんな関係もいいかもしれないと自然に思えたんだ。


「ゲルト、また地下に行くから頼める?」


 おう! と言ってから、彼は真剣な表情で僕に向き直った。なんだろう? 諌言か? わからん。とりあえず姿勢を正した。


「アレク、お前が良いならなんだけどな……」

「ん? うん」


 言い出しずらそうで、告白前の勇気を振り絞るような雰囲気に、こちらまで緊張が伝わる。魔女の2人もなんだか固唾を飲んで注目していた。


「俺たちでな……」

「うん……」


 何を言うつもりだ? "間"が長い。サッと言えないのか? こっちまで変な汗が出てきた。ストレス係数、何ヘクトパスカルだ? 単位違う? いや、知らんけども。なにこの重い空気。


「パーティーを結成しないか?」


 ドヤ、言ってやったぜ! というしたり顔をしたゲルトレイルを思わず凝視した。魔女2人もようやく息を吐く。なんだろ、僕が寝てる間にでも打合せしてたのかな? なんとなく疎外感を感じつつも、納得した。いつも雇う側と雇われる側で壁を感じていたから、この壁を乗り越えに来たんだろう。嬉しいことしてくれるんだから。


「商人と冒険者で?」

「冒険者抹消した訳じゃないだろ?」


 まあね。でも僕は鍵屋だ。ようやく軌道に乗り始めた商売を手放したくはない。パーティーに所属してしまえば、活動的に足を引っ張る事になるし。お払い箱、追い出され、追放、解雇などなど成り上がり系主人公やるのもめんどくさいんだよなぁ。2足のわらじでやっていけるのか……。うだうだ考えがあっち行ったりこっち行ったりする。メリットデメリットが僕を余計な思考へ導いていきそうだ。


【鷹の爪】のようなパーティーに憧れている。あんな関係が理想ではある。このままの状態では到底たどり着けないのは解る。ゲルトレイルと魔女の2人は僕にチャンスをくれたんだ、と考えてみた。胸にすっと入ってきた。彼らをいつも上から見ていた気がする。だから思い至らなかったんだ。彼らとパーティーを組もうって考えに。


 言い出してくれたゲルトレイルには感謝を。


「えっと……じゃパーティー名は【冷やかし客】で?」

「「「嫌だからね!?」」」


 おお、ハモった。


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