7の時
閑話を「鍵屋無双~サイド~」へ移動しましたので、話数減っています。がこちらが最新話です。よろしくお願いします。~サイド~の方に本日ゲルトレイル視点をアップしています。
夕陽が僕達の視線を細めさせる。リリアリーリがガバっとこちらを振り向き、Vサインを送ってきた。頷いてサリアラーラの方を見ると彼女は指を4本立てている。僕はサリアラーラの方へ走り、ゲルトレイルはリリアリーリの方へ走った。
予め決めていたサインだ。侵入者の数を指で、多いなら手を上に高く上げる。コレだけ。
鉤縄が4つ、関所の壁の欄干に掛けられたところだ。12メートルくらいの高さを誇るこの壁を忍者のように登ってくる者達がいる。彼らよりも、僕はこの鉤縄が欲しい。また物欲が出てしまった。カッコイイよね、鉤縄。
登ってくる者達が10メートルくらいのところで、僕は彼らに行動施錠を掛けた。しばらくそのままでいてくれたまえ。
サリアラーラに目で合図を送る。彼女は首を縦に振って関所の中へと駆けて行く。リリアリーリとゲルトレイルの方はゆっくり上がってくる者達をじっと待っている。
行くべきか迷ったが、堪えた。彼らは強い。妖精もいるし、大丈夫だ。そう自分に言い聞かせて、固まっている4人を鑑定る。
ジョブ【斥候】
ジョブ【盗賊】
ジョブ【戦士】スキル【忍び足】
ジョブ【メイド】スキル【隠密】
メイド!? あ~、スキルで選ばれたのかな……。一応「隠密」も施錠しとこうな。よし、じゃあメイドから話を聞くことにして、あとの3人は兵士たちに任せよう。僕はメイド以外の鉤縄へ油を浸して、垂らす。メイドは行動解錠。急に動けるようになった彼女は一瞬驚いた様子だったけど、一気に2メートルを登りきった。
そしてあっさり捕まる。動けなくして、鉤縄のロープを彼女に巻き付けておいた。
門から兵士たちが勢いよく出て、こちら側に回って来る。いいタイミングだよねぇ。油が伝ったロープを掴む手は、ギトギトになっているだろうか。徐々に滑り落ちていく彼らの高さが地上から5メートルくらいのところまで達すると、僕は鉤縄の根元から愛剣で断つ。
その様子を見ていたぐるぐる巻きメイドが目を見開いた。きっとあの高さから落とされたと勘違いしているんだろうなぁ。ニヤついてブロードソードを握る僕の目と合うと彼女は顔を真っ青にして歯をガチガチと鳴らし始めた。
4つの鉤縄の金具を手に入れた僕はご機嫌だ。すぐに【門】で妖精族の我が家へ送る。どこ○もドアならぬ、どこで門。超便利です。
「サリア、ありがとね」
息を若干切らせながら戻ってきた彼女を労う。サリアラーラは事態を把握すると、リリアリーリの方へと駆けて行った。流石妹思いは相変わらずだ。
壁を登るって大変だよね。昔消防士の訓練を見たことあるけど、凄いとしか思わんかったもん。体力削られても平気そうにしていた消防士のカッコ良さったらもう。
ここではジョブやスキルで難無くやってしまえるんだから不思議だ。そう思考したところで魔法の激突音が発生した。
目をやるとリリアリーリの妖精魔法、リンカーラの妖精魔法が交互に展開された後のようだったが、サリアラーラの精霊魔法が相手の魔法と激突したのが、先程の音だった。相手に魔法使いがいる。しかも熟練の。
ゲルトレイルは柄の長い斧を振り回して、牽制している。こちらはほぼ互角。
僕も加勢のために走る。
グレンマー(45歳)
火魔法使い
スキル:【無詠唱】
ジョブ:【魔法使い】
なるほど、魔女達が手を焼いている訳だ。魔法威力なら彼女達が圧倒的な強さを誇るのだけど、【無詠唱】で数を撃たれると確かに対応するのが難しいのかもしれない。負けるとも思わないけど……。
事実、衝突した魔法は相殺されている訳ではなくグレンマーの方へと僅かながらにダメージが入っているようだった。じゃあ失礼して。
【無詠唱】施錠。
彼は太極拳のような感じで掌をこちらに向けつつ押し出している。だんだん空手の訓練のようなスピードに昇華していっているのだけれど。きっと無詠唱で魔法を出しているつもりなんだろうね。
出ない魔法に焦り、汗が額を流れている。
彼が詠唱を思い出すより早く、僕はアレを思い出した。良いのがあるじゃない。ポンと拳を手の平に乗せた。
目の前には正座させられている縛られメイドと、対魔のロープで生け捕りにされ、項垂れた魔法使い。ゲルトレイルに辛くも負けた戦士が横たわっていた。
さあ、どうやって聞き出そうかな?




