5の巻
短いです。
12歳の頃の過去話
「じゃあ皆さん、恨みっこ無しですよ! ほんとですよ? 後から返せも聞きませんからね? わかりました?」
「わーったよ! 何度も言うな!」
「もう聞き飽きましたよ……」
「ギルド長並に長かったな……」
なんか失礼な物言いが聞こえた。僕は【鷹の爪】に何度も念を押す。要らないと言った宝を貰うんだ。一瞬で解決するって条件で。そして、念書を書かせる。さらに聖女の【真実の審判】まで使わせて誓わせる徹底ぶりに5人は唖然としたし、辟易している。
だから6階層前の階段へとやってきた。
相変わらず彼らは進めないようだった。そこで待たせてから僕は6階層へと足を踏み入れ、6階層入口を登録。それから登録済みの宝の部屋へと【八卦神門】越しに転移する。
目の前には山と積まれた範囲指定された宝たち。これらを自分ごと妖精界へと飛んだ。
大忙しだ。
また6階層へと移動して5階層へ戻る。
「お待たせ」
彼らの目には僕が6階層へ行ってしばらくしてから戻ってきたとしか見えなかっただろう。怪訝な顔を隠さないでいる。
「さぁ、どうぞ」
僕は道を譲って【鷹の爪】を6階層へと誘う。彼らは恐る恐る入口へ向かった。リーダーがいつも弾かれていた5階層出口に右足をゆっくりゆっくり差し入れようとした。僕は久しぶりに悪戯心が抑えられなかったんだ。
そっと近づいてリーダーの両肩をバーンと叩きながら。
「わっ!!!」
と言った。
「うおわあああああ!!」
ドンガラガッシャーン。
またコントみたいな音がしている。ドレクスラーは出口からだいぶ離れた所へ後退してずっこけたんだ。タハー。やっちゃった。
「なんか、ごめん!」
僕は怒られたくなかったから直ぐに6階層へと逃げたんだ。向かう時リーダーが"アレクセイ! コノヤロー!!!"って怒鳴っていたから、もう怖がることなくここへやってくるだろう。緊張が解けたようで良かった良かった。
さ、もう僕はお役御免でいいよね? じゃあね。【鷹の爪】。
きっと彼らはもっと上へ行ける。最速ランクAも夢じゃなくなったよね。
頑張れ!
宝は必要な時まで預かっててあげるから。
あんなに言質をとって誓わせても宝を貰う気は無いアレクセイでした。




