3の巻
12歳の頃の過去話
「相変わらず、仕組みがわからん……」
6人で歩くダンジョン帰り旅。なんの妨害も無く安全にお宝を運ぶ簡単なお仕事です。ボソリと呟いたのはおなじみの才賢の魔道士ライバー。
冒険者パーティー【鷹の爪】とのお宝運搬クエストだ。ギルドは通していない。かなり危険な冒険だったから、ギルドは関与しなくなったのだ。ギルド長が失敗を気にするらしい。今は止めてくれとお願いされているのだとか。だから収納の魔道具のリュックは貸し出して貰えなかった。
ではなぜ6人かと言うと、僕の【鍵】スキルでダンジョンの呪いを施錠してなら大丈夫なのか、という話になったそうだ。無論、なんのスキルか話してないから"アレクのスキルなら"という感じで。何度も誘われて仕方なく付いてきた。今回から持ち出した宝を均等分けするからと、メンバー全員に頭を下げられたんだ。やるしか? ないよね~。
実は宝の特殊部屋、ちゃんと空にしないと、次の階層に行けないらしい。足止めを食らって、探索をドンドン他の冒険者達に抜かれて行っているんだって。贅沢病患者がここに5人もいる。医者ぁー!
実はこのダンジョン、地下60階層以上に及ぶ未踏破巨大ダンジョンなんだ。彼らは20階層に到達したやり手の冒険者パーティーなんだけど、たまたま見つけた5階層の特殊部屋のせいで20階層はおろか6階層にすらに行けないらしい。
意外とシビアなお宝部屋だった!?
だけどね、この宝山、どうすんの? 彼らは途方に暮れている。こんな上層で燻る者達じゃないんだから。
地道に持ち出していくしかない。僕には解決策がある。言わないけど。聞かれもしないことをペラペラ喋る気は無いし、聞かれてもはぐらかすし。
魔道具のリュックが無いせいで、6人で持って行っても高が知れている宝たち。戦闘もあるし、全員が持つ訳にはいかないから持ち出す量はさらに少ない。実に効率の悪いクエストだ。やらない訳にもいかない。彼らはダンジョンアタックに嫌気がさしていた。
「すまんなアレク、こんなのに付き合わせちまって」
退屈そうにしている僕を見て、申し訳なさそうなドレクスラーに言ってやる。
「気にしないで、報酬のためだよ、ウシシ」
しっかり歯を見せて笑ったら、メンバーがみんな安堵のため息を吐いていた。この特殊部屋のせいで最速ランクAになるのも絶望的だそうだよ。あと一つ、依頼達成で試験を受ける資格を手にできると言うのに。うわー、なんか可哀想になってきたな。
「もう宝要らんから、次へ行きてぇよ!」
「もう飽きたよね、流石に」
「はァ……もう5階層嫌いだよ」
「……」
「っつうか、特殊部屋嫌いだー!! 何がダンジョンドリームだよ!! 夢壊してるじゃんよっ」
うわー、もう完全病気だよ。誰か助けてあげて!
あ、助けてあげたらいいのか? いいよね? ダメ?
うーん。
「じゃあ、宝はもう要らないの?」
質問にはあっさり答えが返ってくる。
「要らん」
「要らないわ」
「必要ない」
「うん」
「要らないですね」
見事に全員一致。台詞揃えろよー! 妖精達のようにさ。そうもいかないのが人間の面白いところだけどね。
「ふ~ん、そっか。要らないんだ?」
そう返した僕を5人は不思議そうに見ていた。
「なんとかしてあげようか?」
結局こうなるんだよね。【鷹の爪】は僕に、期待を込めて頷いた。
こうして高ランクパーティーは僕の金蔓になった。
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