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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
3章 冒険者 妖精の秘境編
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8話

 今僕は自分の土地を確認している。


 妖精の世界の。


 魔女リリアリーリの部屋にあったクローゼットから結界門を通り抜けた先にある、フェアリーゲートの傍だ。


 先のクィーン救出の報酬として僕は妖精王からこの土地を貰い受けた。境界用の杭なんて無いけど、【(キー)】スキルの範囲指定がここへ来て効果を発揮してくれる。木の棒で引いた線を範囲指定してから、僕と僕が認めた者以外の侵入を施錠(ロック)する。これで土地確保完成だ。便利すぎる。今は妖精王と僕しか入れない。


 魔女姉妹は入れなくて悔しそうにしていた。フン。クローゼットをくれないんだから当然の報いだよね。フフフン。


 それはそうとリリアリーリは結構人懐っこい。僕の事を最初からアレクと呼ぶ。彼女もまた紫の髪だが姉と違い、緩やかなウェーブがかかっていて、ショートカットだ。眼は藤色でお揃い。顔立ちは姉が美人系なら妹は小動物のような可愛い系だ。彼女は姉の対極をなす白を基調とした装いを好んでいるようだった。


「王様。この土地、大事にしますね」


 来れないのにどうやって? という不思議そうな顔で首を傾げる妖精王は本当に可愛い。妖精達も揃っている。はぁ、ほんとシアワセだ。


 3人揃ってこの世界をあとにすることになったんだ。1人で帰ってもよかったんだけど、やはり女の子のクローゼットがどうしてもネックになるよね。恨めしい限りだよ、はァ。先に帰ってなんかされるのも嫌だし、後に帰ってもいきなり女の子の部屋だしでどうしようもない。お互いの気持ちを汲んだ結果だ。


 帰りはリリアリーリの部屋の荷物がいっぱいすぎて時間がかかったんだよ。女の子の荷物はどうしてこうも多いのか、理解が及ばない。永遠の謎である。


 ようやく全てが片付いて、妖精達の力を借りた僕達は小さな魔女小屋に帰ってきた。相変わらず殺風景な部屋はリリアリーリの荷物で生活感が戻ってくるのだろう。今は片隅に追いやられている荷物たちを見てふっと笑みが自然と零れた。


 サリアラーラとリリアリーリの2人は自分たちの家へ帰ってきた途端、気が抜けたように座り込む。


「二人ともお疲れ様、じゃあ僕はこれで」


 帰ろうとした僕を2人は慌てて止めに来た。


「「待って!」」


 揃った声に僕はまた笑顔になる。さっきの妖精達みたいだ。


 サリアラーラはいつかの美味しいお茶を出してくれるようだ。キッチンの方へと消える。それを確認したリリアリーリが真面目な顔を僕に向ける。


「アレク、あのね、お姉ちゃんの事だけど」


 彼女の申し出はこうだ。クローゼットごと自分を含む全てを差し出す代わりに、姉の負債(姉自身)を取り消して欲しいと言うものだった。この姉妹は本当に……。


 打算で色々考えることがめんどくさくなってくる。もういっそのこと全て帳消しでもいいよね? ダメ? 僕は深く深くため息を吐いた。呆れた時のサリアラーラのように。


「あのね、この際だからはっきり言うよ? よく聞いて……」


 僕は君たち引きこもりなんていらない。自由に生きたいんだ。無一文で僕のところに来て、一体何をするの? 僕の身の回りの世話? それで僕が君の生活費を稼ぐの? お金が欲しい訳ではない。いるけど。この世界の奴隷でさえ、主人がその衣食住を保障するのが決まりなんだよ? 僕にその責任を負わせないでほしい。いい迷惑だ。


 君たちの覚悟は尊いし、尊敬に値する。家族愛も見た。感動もした。だけどね、払えもしないものを掛けるな! お金が無いなら稼いでから出直せ。簡単に命なんて差し出すな。人に負担を強いる事を少しでも考えたのか。僕には大き過ぎる荷物だよ。


 できたお茶を持ってきたサリアラーラが途中で加わるのを横目で見ながらも、僕は続けた。


「だから、今回のことで僕は貴方達からは何も必要としないし、要求もしない。わかった? 僕はまだ子供で、駆け出し冒険者なんだよ? そんなのに命預けちゃダメでしょ」


 最後は少しだけふざけ気味に言っておく。あんまりシビア過ぎるのは性にあわないからこれでいい。いいったらいい。


 相変わらず甘い対応だと自己評価しつつ、今度は本当にお暇しよう。立ち上がって小屋から出た。2人も着いてくる。見送ってくれるようだ。


 ドアを開け、外に出ると、白い光の塊が勢いよく僕の横を過ぎていった。危ねぇ、なんだよー! 目で追うと光はサリアラーラの周りをふよふよと回り出す。あぁ、精霊か。きっと帰りを待っていたんだろう。


「お、お姉ちゃんから邪悪な気配が……」

「リリア、大丈夫っ、邪悪な気配がっ」


 締まらねぇぇぇ。やっぱり精霊と妖精はものっそい(もの凄く)仲が悪いようだ。どうすんだよこの2人。この先が気になるけれど、僕には関係の無いことだ。折り合いを着けるのは2人の問題だし。さっさと退散しよう。


 この2人が、精霊と妖精の仲を取り持つ存在になればいい。


 そんな未来を思いながら僕は家路に着いた。


 いい事したなぁ、今日はぐっすり眠れそうだ。



魔力不安定をアンロックされ、精霊の影響力から一時的に抜けていたサリアラーラと妖精の影響力を纏っているリリアリーリの魔力的反発が発生


どうなる、魔女姉妹!?

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