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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
3章 冒険者 妖精の秘境編
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7話

 結局、魔族の拘束が決め手となり、事態は収束した。


 もう一息でクィーンは無事に救出に至る所だった。リリアリーリの魔法が魔族へ通じていたから。しかし水を差した奴がいる。


 僕だ。


 なんかごめんね。


 リリアリーリの高潔さも、サリアラーラの姉妹愛も、妖精族の決死の覚悟も、魔族の抵抗も、みーんな僕が引き起こした「対魔のロープ事件」(妖精族はそう言う)に持っていかれたらしい。


 あまりの衝撃にだれもが唖然としていたんだ。あ、このロープ、元々魔族が縛られてたんだって。犯罪者らしいよ、魔族の。ヤバいやつだったんだ。でもロープくれたし、良いやつだと思うんだけど……あそうか、普通自分が縛られたものは好き好んで持っておかないか。


 無事にリリアリーリは妖精魔法を習得できたようだ。良かったね。今はサリアラーラと喜びを分ち合っている。本当にいい姉妹なんだろうね。


 詳しくはわからないけど、妖精達との繋がりができて、リリアリーリはかなりの程度妖精族の恩恵を受けられるようだ。


 僕は妖精王との面会を楽しんでいる。彼は由緒正しい妖精族の王で千年近く生きているらしいんだけど、とにかく可愛いんだ。喋り方も良いし。そんな彼は僕に望みがないか聞いてくる。図らずもクィーン救出の立役者になってしまったから、出さない訳にはいかないんだって、報酬。


「王様。僕はいつでもここへ遊びに来たいんだけど、いい? リリアリーリのクローゼットを使う権利が欲しいと思います!」


「お主、自分が言ってる事の非常識さに気づいているのじゃ?」


「ん? ダメってこと?」


 僕はガックリと肩を落とす。慌てる妖精王。


「そうじゃないのじゃ! いつでも大歓迎なのじゃ! じゃが、女の子の部屋のクローゼットをいつでも使うのは非常識なのじゃ! リリアリーリに決定権はあるのじゃ」


「ぅえっ!?」


 !? 僕は頭を抱えた。それはそうだ。なんという権利を主張したんだろう!? 穴があったら入りたい。恥ずか死ねる! ギャーっ!


 リリアリーリは横で顛末を聞いて大爆笑していた。サリアラーラもクスクス笑っている。


「じゃあ、リリアリーリさん。僕にあのクローゼット売ってください」


 リリアリーリはびっくり顔をこちらに向けた。え? 驚くところじゃないよね?


「い、嫌です! 私がいつでもここに来るための手段を手放す訳ないじゃないですか! そもそも私のための妖精族ですよ! 譲れません!」


 ぇぇぇぇ! 酷いよ。独り占めするなんて。じっとり睨みつける。あ、いい事思いついた!


「では、仕方ありませんね。貴方のお姉さんと交換しましょう」


 悪魔の所業。鬼畜の言葉がすっと出る。僕も悪よのぉ。あんぐりと口を開けてサリアラーラはこちらを見た。リリアリーリも怪訝な顔に。


「実はですね、貴方のお姉さん、ここに来るために、僕に全てを売ったんです。命さえも。だからあの小屋も半分僕のものなんだけど、それ全部とお姉さんを、クローゼットと交換してください」


 我ながら胸糞悪い交渉の仕方だ。だけど、知って欲しかった。リリアリーリが望んで起こした行動は、姉の人生を変えるものだったってことを。本当はクローゼットなんていらない。僕はここに来る手段を()()()()()()()()()()()


「どういうことお姉ちゃんっ!?」


 サリアラーラはここに至るまでの経緯を妹に説明した。しどろもどろになりながらも、涙をいっぱいに瞳に溜めて。見ていられなかった。僕の姉もこんな気持ちでギルドに報告していたのかと思うといたたまれない。


 リリアリーリは、どれほど心配をかけていたかを知り、姉の決断に泣いた。自分の浅はかな考えのために姉の人生を棒に振らせた事に衝撃を受けたんだ。2人は抱き合ってわんわん泣いた。


「……あのさ、王様。これどうしたらいい?」

「……自分で考えるのじゃ」


 冷たいよ、妖精王。うーん。どうしよ? これできっと魔女の好感度は下がったはずだからいいとして、この後収拾つけられるかな? 2人が落ち着いてきた頃、彼女達に聞こえるように妖精王に語りかけた。


「王様。フェアリーゲートの向こう側ってちゃんと行ける?」


「ん? あ~、行けるのじゃ! あれ以上は余の結界範囲で意識を向けるのが面倒なのじゃ!」


「そっか。じゃあフェアリーゲートの向こうの土地を僕に譲ってくれませんか? この広場の半分もいらないんだけど」


 僕は宴が催されているこの広場、小学校の体育館位の広さを指してお願いしてみた。


「うむ。向こう側は特に問題ないのじゃ。じゃが、ゲート近くならこっち側でも良いのじゃ。お主が来たらすぐ分かって便利じゃし」


 それもそうか、と思う。妖精王に来訪が知られれば、何かと妖精さん達が近くに来てくれるかもしれないし。いいね。


「じゃあ、ゲートのすぐ横にくれますか? それを報酬にください」


「交渉成立じゃ。改めてクィーン救出の功に報いようぞ! よく我らを助けてくれたのじゃ! 人間の3人に心からの感謝を送るのじゃ」


 王がそう言うと、妖精達は一斉に翅を鳴らして飛び踊る。隊列を組んで螺旋に飛び上がっていく様子はまさに美しく圧巻だった。感動するってこういう事なんだろうって思えるほど、心が揺さぶられたんだ。


 ここへ来て良かった。


 全てが報われた気分だった。



ちなみに魔族は手を拘束されたまま魔界に還されたんだって。

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