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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
3章 冒険者 妖精の秘境編
25/170

6話

説明回


場をぶち壊したアレクのせいでこんな回が必要に。

 ことは少し前に遡る。


 リリアリーリ失踪事件の真相だ。


 リリアリーリは姉が買い出しに出かけている時に妖精と出会う。


「ねー! リリアリーリ! 私たちを助けてー!」


 その出会いに驚いたのも束の間、突然の申し出に更に驚かされる。なぜか名前も知られていた。目の前の妖精はとても可愛らしかったが、焦りを隠さないでいた。


「どうかしたの?」


 事情を聞いてみることにした。どうやら彼女達の女王が囚われてしまったのに、救う手立てがないんだと言う。でもリリアリーリにもそんな強さは無い。あるのは内包する魔力と少しの魔術スキル。これでどうやって戦うと言うのか。


「だいじょうぶー! 王がリリアリーリに妖精魔法授けるー!」


 彼女には魅力的な提案だった。思えば姉にいつも劣等感を抱いていた。姉は優秀な精霊魔法士だ。魔力の高い2人だが、圧倒的な違いがこの精霊魔法だ。自分の魔力を養分に、精霊が大きな力をもたらしてくれる。同じ環境にいながらどうしてこうも違うのか、いつも悩まされていた。


 姉は決してリリアリーリを見下さなかったし、これからもないだろう。いつも妹優先の人なのだ。少しは自慢したり、高飛車になったり、自分を馬鹿にしてくれたら、姉の事を憎んだり、対抗したり、張り合ったり出来たのに。リリアリーリはそう思う事があった。


 姉は姉としても優秀すぎた。リリアリーリにとっても理想的な姉そのものだ。だからこそ自分という存在がわからなくなっている。自信を持てないでいた。


 だが、目の前の妖精はチャンスをくれると言う。妖精王が妖精魔法を授けてくれるらしい。妖精達を助ける事がどれだけ難しいものかわからず不安もあるが、渡りに船だ。私は姉の横に並び立ちたい。そう思った。いや、それが呪いのように付き纏っている自分の考えだ。


 私は強くなりたい。


 これがリリアリーリの1番の願い。


 彼女は妖精に頷いた。"私で力になれるなら"と。


 大喜びの妖精は向こうで困らないようにと、この部屋の全てのものを持って行けと提案してくれた。少し悩んだ。姉が心配するハズだ。それを伝えてみる。妖精は首を振って自信ありげに告げる。


「ここにリリアリーリの魔力を登録しておくー。だからいるってわかるよー!」


 なんとクローゼットに自分の魔力の残痕を残しておけるという。徐々に小さくなるけどー、と言った妖精の言葉は彼女の耳にフェイドアウトしていった。


 強くなれる! もっともっと。姉に近づける! リリアリーリは胸の高まりを抑えることは出来なかった。


 結界門を潜ると、周囲にはたくさんの妖精達と先頭に立つ彼らより少し大きい妖精が出迎えてくれた。女王を救うため、まずは妖精魔法の習得から始まった。



 ーーーーー



「ここが妖精族の巣か」


 灰色の肌をした男がフェアリーゲートを潜ってきた。片手にボロボロの妖精を1人握りこんで。


 彼は魔界に住むはぐれの魔族だった。かつて窃盗の罪で魔王城に捕まり、追放された経緯を持つ。魔界の森を彷徨い、たまたま見つけた魔力の異変に気づいたそこは、妖精族の結界門が張られている、大きな木の根元だった。


 不思議に思って観察していると、そこから妖精が出てくるところだった。すっと手を出すと簡単に捕まえられた。魔界の瘴気にあてられた妖精の反応は鈍っていたのだ。不運としか言い様がない出来事だった。


 妖精は当然抵抗した。ありったけの妖精魔法をぶつけたが、掌だけで受け止められ、消される。力無く項垂れた妖精だった。そして、その妖精の魔力を利用して、結界門を突破して来てしまったのだ。


 妖精王はこの世界の王だ。結界の張られた場所には意識がいつでもどこでも向くようにできている。異変に直ぐに気付いて、クィーンと部下を遣わした。自分に次ぐ力を持つ彼女にこの世界で解決できないものはこれまで1つも無かったから。


 しかし事態は悪い方へ悪い方へと向かっていた。手に握られた同胞を解放するために、男に掛けられたロープを外し、クィーンが人質になるよう条件が付けられる。彼に魔法は通じない。いや、妖精の魔力と相性が悪いようだった。魔法に対して極度の恐れを抱いているようだったから。しかし彼らの魔法は通じない。


 男はそれがわかるとニッと口端を上げた。


 そして、クィーンを人質に取りつつ、ダンジョンへ向かった。そこがいい隠れ家になると言われて。


 男は色々な事を妖精族に要求するようになった。食事をもってこい。住む場所を綺麗にしろ。着るものを準備しろ。様々なことを言って負担を強いた。


 妖精王はこの屈辱と、辛い日々をただ指をくわえて耐えるような者では無かった。手段を探し続ける。


 そして見つけた。自分たちの希望。リリアリーリ。


 彼女は門をくぐると自分たちの要請に快く応じてくれた。



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