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鍵屋無双 ~いや、すごい強いですよこのスキル~  作者: TAKUTOJ
3章 冒険者 妖精の秘境編
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3話

「禍々しい邪悪な気配がする」


 なんだいきなり物騒だな。声の主に目を向けると、魔女サリアラーラは武者震い、あ、いや身震いしていた。こっちを見てまた嫌な顔をしていたから訂正しておく。女の勘って凄まじいね。


「そうか~? そんなの感じないけどなぁ」


 森全体を鑑定()る。


 妖精の森

 妖精王が治める由緒ある森


 うん、至って普通だと思うけど。しかし妖精王か、ロマンだね。エルフの王ってことだよね? 会ってくれるのかな? 人族(ファンタジーで人間を表現するよね?)と仲が悪い設定がよくあるけれども。なんか囲まれて弓を構えられるヤツ、テンプレ起きないかなー。ゾクゾクしてきた!


「私には辛い環境みたい。全身がヒリヒリするもの」


 心底嫌そうに顔を歪めるサリアラーラ。美人が台無しだね。魔力的ななにかかな。僕にはさっぱりわからん。


「1人で行ってこようか?」


 その提案は首振りだけで却下された。言葉で言えよ。口あるだろう? あ、今辛いのか。うーん、どうしたもんか。ま、いい。進もう。さっき決意した"見ておいてあげよう"的なものをポイっと捨て、森へ突入。


 森林浴っていいよね! マイナスイオン全開だ。隣の魔女と違って僕はすこぶる元気です。いろいろな虫や鳥、偶にリスを見かける。おおう! 大自然の恩恵を生で見られるなんて、オラ幸せだー。テレビでしか観たことないかんね。


「アレクセイはなんか、楽しそうだね……ハア」


 おいおい、そんなにため息ばかり吐いていると幸せが逃げるって言うぞ? 言葉にすると凹まれそうだから言わないけどさ。


 陽が燦々と輝いている開けたところに出ると、大きな岩が僕達を迎えた。岩の陰に身を寄せるとそよ風が頬を撫でる。


「休憩」


 短い言葉で頷き合い、しゃがんだ。サリアラーラは随分疲れているようだ。日光浴が足りないのじゃない? 普段からあのジメジメした小屋に住んでるから健康的ではないのかも。体力無いし。魔力的ななにかの問題もあるから決めつけるのは可哀想か。


 久しぶりにサリアラーラの状態だけ鑑定してみる。


 状態:魔力不安定

 対象:自分

 状態:疲労

 対象:自分

 状態:信頼

 対象:アレクセ⚫▼■


 もういい。必要な部分だけ見れないのかな……あ、できた。情報制限して鑑定すればいいのか。『対象:自分』のとこだけ見よう。心臓に悪い。


 あ、もしかして疲労に解錠掛けたら疲れ取れるのかな? やってみる? あー、実験台になって貰おう! そうだ。こっそり報酬に入れといてやるんだ。貸し借り無しにしておいたら僕の精神が楽になるよね。なんかこのままいけばこの子、僕の奴隷になりかねないし。怖っ、何その未来。そんな甲斐性僕にはありませんよっと。


「アラーラさん、ちょっといい?」


「なにその残念そうな呼び方!! やめてぇ!」


 あ、やっぱダメだったか、てへっ。


「ごめんごめん。試したいことがあるんだ。ちょっといい?」


 怪訝そうな顔をしたけど、サリアラーラは静かに頷いた。僕は彼女の頭に手を置いて詠唱の真似をする。オリジナルでやってみます! あ~厨二心がやばい。これじゃ門番のおっちゃんを笑えない。でもそれでいい。鍵屋らしくいってみよう!


「我が眷属の鍵の子らよ、彼の者の疲れを癒せ……解錠(アンロック)


 魔女は目を見開いた。そして両手の掌を見つめてから僕をマジマジと眺める。成功かな?


「どお? 元気でた?」


 コクコクと頷く。まだ自分に起きた事象が信じられないようだが、僕も解錠(アンロック)のえげつない能力に驚く。ヒーラー要らなくない? サヨナラ聖女のお姉さん。盗賊女もいらない。あちゃー、【鷹の爪】とは持ちつ持たれつじゃなくなりそうだ。友達付き合いでいいか。


 サリアラーラの疲労はすっかり無くなっていた。これでしばらく歩けそうだな。"魔力不安定"も解錠しておくか。なんかヒリヒリするみたいだし。


「何をしたの!?」


 ようやく意識が復活したサリアラーラが勢いよく尋ねてくる。うーん、言うべきか言わざるべきか。秘密なんだけどな。命懸けてここまで来たし、少しだけ教えてやろう。なんか上から目線で嫌だけど仕方ない。


「他言無用だよ? 僕の【鍵】スキルの力。クローゼットを開けたのもコレ。さっきレベルが上がったから試してみようと思ってね。実験台にしてごめんね」


 サリアラーラはふるふると首を振ってから、誰にも言わないと誓った。重いよ、その信頼。まあ、言わないでくれるんに越したことはないか。


「そういえばまだヒリヒリする?」


 こっそり魔力不安定の方も解錠しておく。彼女は一頻り自分の魔力を調べた後、こちらを向いた。


「いいえ。すごく元気になった気がする」


 それは良かった、と言って笑ったら彼女の顔はボッと茹でダコになった。


 ……やっちゃったか。


 しばらく休憩した後再び歩き始める。サリアラーラは僕の服の袖を掴んで言った。


「……ありがとう」


「おぅ!」


この時、この癒しが僕達の未来を切り開いた。



確信犯なアレクセイ「違うし!」

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