1話
プロローグ的な話
「「な、な、な!? どうやって入ってきたの!?」」
「えっと、あっちの方からちょいっと……」
「「えぇぇ!?」」
小さな小さな翅人が何匹か、何人か? どっちでもいいけど、慌てていた。来た方向を指さすとさらに狼狽している。可愛い。なんかわちゃわちゃしてる。
「あの!! リリアリーリを知りませんか!?」
僕と翅人たちとの会話を遮って、魔女サリアラーラはズイっと前に出てきた。リリアリーリというのが妹の名前らしい。魔女は必死の形相である。クローゼットから転移して、草原に出、かなりの道のりを歩いた僕達を出迎えた光景は、泉の前の翅人の遊び場だった。
翅人達はリリアリーリの名前を聞くと全員が慌てだす。
「「し、し、し、知らないよー!! 私たちの隠れ家に招待なんてしてないよー!! あんな優しい子は知らないよー!!」」
ブンブン翅を鳴らしながら、聞いてもいない情報をもたらしてくれた。ここは友好的にお礼を言っておこう。
「優しいから、お世話してくれてるのか~、ありがとうね」
「「なぜバレたー!?」」
とても可愛い。ガックリと疲れた精神と体を奮い起こし、横にいるサリアラーラは優しく尋ねる。
「リリアリーリは元気でいる?」
「「うーん、今はわからなーい!!」」
とりあえず、無事でいるのかと安堵しかけたところで情報が途切れる。
「どうしてわからない?」
「「んー、言えなーい!! ブガイシャに情報ダメー!!」」
おおう、意外なセキュリティだな。あっさり口にすると思ったのに。どうしようか? サリアラーラに目を向ける。彼女は頷いた。
「私はリリアリーリの姉です! 部外者なんかじゃない!! 妹を返してください。大事な家族なんです」
魔女は大粒の涙を零した。
「「えぇぇ!! 泣かないでー!!」」
「「どーするー!! どうしようー!?」」
泣いているサリアラーラの周りを慰めるようにブンブン飛び回っている翅人達はきっと優しい種族なのだろう。新しい癒しを発見したなー。進まない話も全然苦にならないほんわかさだ。
魔女のためには進めないといけないから、仕方なく進行してみよう。
「じゃぁ、長とお話させてくれません?」
一斉にピタリと止まった翅人達の息の合い様に頬が緩むが、じっと待つ。彼女たちは円陣を組んだように顔を寄せ合い、相談を始めた。
後でわかったことだけれど、この翅人達が妖精族だったらしい。ミニマムサイズ(10センチ位)の人の姿に玉虫色の綺麗な翅が生えた感じだ。サリアラーラ曰く、もの凄い魔力を内包しているらしい。あんなちっさい体のどこに? という事だが、そもそも形あるものでもないから、魔力の膨大さを大きさに例えること自体がおかしいのかもしれないな。一言で片付けよう、うん。ファンタジー。
こうして、妖精と僕達のファーストコンタクトはなされた。




