7 レイミル・リング・ルクセン その3
3話目
当然その場は紛糾した。
「ふざけるな!」
「冗談じゃねぇ!」
「バカにすんな!」
数々のヤジは当然彼女ではなくギルドマスターに向けられたわけだが。王族には逆らえないが、ギルドマスターになら不敬罪にならなくて済むから。
板挟みになったギルドマスターは、自身の髪の毛が最早円形の皮膚がお目見えするほどのストレスを抱え、顔は青に染まったという。
王女はどこ吹く風で言った。
「あなた達、冒険者の未来を守るためですよ。さぁ、解散なさい」
力自慢の冒険者たちは、怒り狂った。
魔物共に遅れを取る自分たちではないと。
王都の地下へ自分たちも行くと。
しかし王女は敢えて忠告を続ける。
「それはおよしなさい。後悔してもしりませんよ」と。
火を付けるだけの結果になることも織り込み済みなのかもしれなかった。しかし彼女は決して嘘をついたわけでも、冒険者たちを侮っていたわけでもなかった。
だれにも気付かれない彼女の真意とは……。
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「姫様、あの様に煽っては、却って冒険者たちを怒らせるだけでは……」
「困ったものねぇ。でも警告はいたしましたわ」
「警告……で、ございますか……?」
「そうよ?」
なぜ、騎士たちすら自分の気遣いを理解しないのか? そんな事を考えたが、彼女はすぐに移動を開始する。
また召喚の間へ。
「ミーナライト・ヴァレント」
「はい、ここに」
「王宮へ行って、お兄様達の行方を聞いていらっしゃい。地下ならすぐに戻ってきなさいね。そうでないなら、お兄様達に『冒険者たちが地下に行くかも』という情報をあげなさい。地下に行くようならそれで良し、行かないならそれもよし。それからここへ帰っていらっしゃいね」
「かしこまりました」
踵を返す騎士、ミーナライト・ヴァレントの姿を一瞥して王女は召喚の部屋へと9人の騎士と共に入った。
「姫様、これから一体何を……?」
「フフ。あなた達はこれからここに来る者たちを押さえてくれればそれで良いのですよ。もっとも、押さえる必要もないと思いますけれど。フフフフフ」
半刻もせずに銀髪の騎士の帰りを確認したレイミル・リング・ルクセンは目の前の魔法陣を起動した。
幾何学模様の魔法陣が光り輝く。
それはそれは莫大な光を放出し、8方向へ飛び出していった。
「ようこそ『勇者様方』」
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