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5 レイミル・リング・ルクセン その1

 


 この国の第一王女レイミル・リング・ルクセンは王位継承権第三位だ。


 幼少の頃から兄二人と比べられ、蔑まれてきた。


 王族にはスキル継承の儀式とは別に、3歳で「適正の儀」と呼ばれる宝珠に触れる機会が与えられる。その適正に応じたスキルを磨くよう英才教育を施されるのが、ルクセン王国の王族のしきたりだ。


 適正を知ることで、12歳で得られるスキルをある程度予測させて、誘導するのが目的だ。そうやってスキル、ジョブを固定させるように働きかけていく。自身の適性スキルを予め知って、アドバンテージを得るためだ。


 王族はそうやって強力なスキルやジョブを得やすいように、そして権威、威光を維持する事ができるように物事を推し進めてきた。


 実際、公爵家も同じような方法でスキル、ジョブを次世代が得やすいようにしている。一般とは隔絶した力の差が生じるのは最早当たり前のことだ。しかし、各公爵家や王族はその事をひた隠しにしているために、秘密は守られたままである。


 女が王位を継ぐことはないわけではない。しかし、今代の王は第一王子と第二王子のどちらかが王位を継げば良いと考えていた。


 それは誰もが知る周知の事実で、王女のことを殊更大事にしたものの、王族としての教育をあまり受けさせないように育てた節がある。


 幼いながらに感じていた劣等感、疎外感、蔑視の視線。自身に向けられる甘い対応さえ王女はそれを良しとはしなかった。自ら勉学に励み、周りを黙らせるために努力した。


 しかし、3歳で受けられるはずの「適正の儀」を自分が受けていないことを知った10歳で、彼女の心は壊れ始める。


 12歳で得られたスキル【掌握】によって、自分の置かれた状況を皮肉にも掌握してしまったのだ。


 自分には王位を継ぐ者としての価値がない。


 兄たちの侮る目。


 へりくだるように見せながら、自分を見下げる周りの視線。


 期待されない事への不満と不安。


 いつしか彼女は空気を読めるようになった。【掌握】がもたらす恩恵と障害。それは自分の置かれた立場がどのようなものかをはっきりと理解させるのに十分すぎた。


 残酷なスキルだった。


 自分には価値がないという思いを拭い去ることは難しい。


 そして15歳で得られた【召喚士】のジョブ。


 王位継承権が確実に自分のものにならないことを悟った。いや、悟らざるを得なかった。周りを納得させる材料が尽きたからだ。これでは誰も納得はすまい。


 任命されて、側近くに仕える騎士たちが10人、彼女のもとに集まった。誰もがエリート街道をそれた者たちだった。唯一ルクセンドリームと言われる栄光を手にした平民上がりの騎士もいたが、その騎士もまた、王の側近とはなれないのだ。自分が王になるわけではないのだから。


 彼女はしかし諦めるつもりはない。王族の禁書庫で歴史を学び、近年の出来事を漁った。自分が周りを見返すための起死回生の一手を得るために。


 そして彼女は辿り着く。


 17歳になった今年こそが自分を王にするための重要な年であることに。





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