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3話目

 


「というわけで、執事長クバイトさんが君たちのリーダーだよ。まぁ、普段通りだね」


 一同に介した会議室ならぬ応接室。一通り、クバイトさんの強化について話し、パーティーを組んでもらうことにした。彼らは優しく導いてくれる執事長にかなり懐いているから、今後の活動をワクワクしているみたいだ。僕にはミーシアがとことん盛った洗脳の効果なのか、尊崇というような距離があるんだ。グスン。


「パーティー名は、うーん、【戦う執事達(バトルバトラーズ)】なんてどう?」


 戦う執事達。素晴らしい。


「「「ええええええええええ」」」


 うわー、ブーイングの嵐。そんなにダメかな? クバイトさんは満更でもなさそうなのに。ジェネレーションギャップ? というか、君たち嫌なことははっきりしすぎてない? 僕との距離感あるのに、否定する時は遠慮なくない?


 おずおずと遠慮がちに手を上げる勇者が一人。


「はい、リック。なにかな?」


「あのぉ、アニキ。パーティー名、俺達で決めたらいけませんか?」


 リックは僕のことをアニキと呼ぶ。なんか知らんけど、僕のことは全員違う呼び方で、でも共通して『兄』と言うように言い含められている、もちろん洗脳者のアイツにだ。


「いいよ。でも期限は今日の夕食までな。それと気に入らなかったら【戦う執事達(バトルバトラーズ)】決定です。よろしいですね?」


 ちょっと威圧気味に敬語だ。敬語で話されると彼らは一瞬で背筋を伸ばすから面白い。執事長クバイトさんが『目上の人が敬語で話す時は大概危険』だといつも言い聞かせているらしい。なにそれ面白い、って思ったからちょくちょく使っている。


 ミーシアが帰った後、僕は彼らを呼んで、一度だけ手合わせしたことがある。やる気に満ちた彼らの鼻っ柱をちょっとボッキボキのベッキベキにへし折っておこうと思ったからだ。最初が肝心だって聞くし? 上に立つ者が弱い、なんて思われたくないっていう、僕の小さなハートが囁いてたんだよ。「なめたらいかんぜよ」ってさ。


 1対1と全員対僕で模擬戦をしておいた。


 男の子には行動施錠して顔面キック。


 女の子には行動施錠してドスを目の前にちらつかせる。


 全員には行動施錠からの【魔弓師(マジックアーチャー)】のスキル、微弱に抑えに抑えた【矢の雨(レインシュート)】をお見舞いしておいた。


 近接戦闘? やるわけないよ? 彼ら強いもん。


 そして、呆然とする彼らの横に置いてある岩に向けて、これまた【魔弓師】のスキル【爆ぜる矢(バーニングアロー)】を放って見せてあげると、爆散した岩の様子に声を出せなかったとか。


 だからなんだけどね、僕に時折、恐怖の感情を見せるのよ。距離感の理由だったりするんだなコレが。なんだ、自業自得じゃないか……。いいもん。なんか目にゴミが……。


 ちなみに僕の魔法生成した矢は魔力の塊だから、対象に当たれば、もう消える。この世界の魔法の原理に沿っているから、物理には反映されない。才賢の魔道士ライバーの鳳凰も魔法貫通みたいなのが発生して、範囲魔法にはなっていたけれど、やっぱり周囲に焦げ跡はなかったし。


 はぁ、ずいぶん思考がそれた。夕食までの期限でパーティー名を一生懸命考えてくるみたいだ、7人で。クバイトさんは【戦う執事達(バトルバトラーズ)】でいいって言ってるから、戦力外だそうだ。何気に僕と執事に失礼だぞ、君たち。






 結局彼らのパーティー名は【漆黒の翅】だそうだ。【虹色の翅】とお揃いで、というのがこれまた憎いね。また、執事とメイドの服も黒で統一されているからか、彼らのトレードマークというか、基調色? というところからのネーミングだそうだ。


 よく考えられている。適当につけた【鷹の爪】やそのアドバイスを受けて適当に決まった【虹色の翅】とえらい違いだ。12歳の7人の知恵が冴え渡っていた。女の子のクワトとヒカリが最終的に考えた名前なんだって。いろいろともめたようだけど、【~の翅】は決まっていたんだとかなんとか。





 一人で食べる食事が嫌で、僕はクバイトさんに全員で食べたいって再度お願いをしたら、あっけなく却下された。ガーン。なんでよ!?


 マグニアス伯爵の紹介で食品を扱う商人がいつも納品に来るため、それを断ることはできないし、自分たちの賄いを主に食べさせるわけにはいかないんだと。そして賄い料理をダイニングに出すつもりもないって……。そんなの他の人にはわからないんじゃない?


 そう言ったけれど、そればかりは譲れないらしい。僕はもう、一人は嫌だなぁ、と悲しい顔と上目使いにクバイトさんをなんとか説得しているんだけれど、聞き入れてくれない。主に仕えるものの矜持がどうとかこうとか? 意外なところで凄いこだわりを見たなぁ。


 あまりにも食い下がる僕の意見に、ついに妥協案を出してくれたのが、意外にも子供たちの一人、メリーヌだった。彼女は僕のことを「お兄様」と呼ぶ。


「ではお兄様の食事を極々少量にして、すばやく食べてから、食堂にお兄様がいらしたらどうでしょう?」


「それだ!!」


 そうすれば、食費はだいぶカットできるし、マナー講習、といっても執事教育の方だけど、それをないがしろにしないですむ。商人との繋がりも切らずに済む上に、僕が寂しくなくなる。コミュニケーションを取る場所って食卓テーブルだと思うんだよね。庶民としてはさ。




 こうして僕は温かい環境を手に入れた。


 おかげで緊張していた彼らも僕との距離が少し近くなったと思う。うん、思いたい。そうだよね? 違うの?




まだ、魔物掃討戦にいかんのかい

゜(ノ`Д´)ノ彡┻━┻


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