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「彼女はミーシア。しばらく? うん。しばらく一緒に暮らすからみんなもよろしくしてやってね?」


「「「はーい」」」


 夕食の席に着いたのは僕とミーシアの二人だけだ。クバイトさんと他7名は僕たちの給仕に控えているらしい。みんなで食べたいと思ったけど、そうもいかないみたいだ。


 返事の仕方を『間延びしないように』と注意を受けている様子は微笑ましい。


 ある程度の食事を終えて、デザートに突入した。生クリームたっぷりのプリンが出される。カラメルソースがほろ苦く、少し甘めの生クリームと絶妙なハーモニーを奏でていて、ほっぺが落ちそうになるってコレだねって思った。


「あの、7人いる男女3:4……アレク様で4:4……もしかして」

「ん? なんか知ってるの?」


「まさか……」


 ミーシアは震えているみたいだ。なんだいったい。一人忙しいやつだな。


「あの、お名前教えてもらっていいですか? 皆さんの」


 リック(12)

 ブライト(12)

 ヨンザ(12)


 メリーヌ(12)

 ジョアンサ(12)

 クワト(12)

 ヒカリ(12)


 こんな感じだ。


 というかお前、鑑定()ろよ。教えたろ。


「いえ、直に聞くのが醍醐味じゃないですか! ご本人の声を聞きたいじゃないですか! ね? 感激です!! 物語ではなくご本人ですよ!!」


 ね? っていわれてもなぁ。意図がさっぱり読めない。


「ねぇ、アレク様。この際ですから前倒ししましょう!」


 何を!?


「この方達はアレク様の未来のパーティーです。でも【虹色の翅】を救いに行くわけですし、未来は変わる! 遠回りする必要ないですって!」


「あのな、ミーシア。ちょっと不思議なんだけど、聞いていい?」

「なんでしょう? なんでも聞いてください!!」


 いちいちうるさい。声が高い上にでかいからかな……。小型の犬みたいにキャンキャン言ってるイメージにぴったりだ。


「お前、僕のこと詳しすぎない?」


 はっきり言ってホラーだよね。突然来てガンガン未来を壊していく存在なんだから。知られすぎている。歴史書かなんかに載ってるのかな?


「だって、通い詰めましたから」

「図書館に?」

「いえ、門に」

「あー」


 理解したよ。そういうことか。


「アレク様ったら酷いんですよ? 毎回毎回『はじめまして』って言うんですから」


 それは僕も経験あるから、なんとも言えないけどね。通い詰めて何を話してたんかね?


「根掘り葉掘り、武勇伝を聞きまくりました。詳細までバッチリここに納まってますよ」


 彼女は自分のこめかみに人差し指をトントンとして笑った。


「全部覚えてるんだ?」


「忘れませんよ? 【保存】してますから」


 何気に恐ろしいこと言ったな今!? 【保存】をそんな使い方するのか! なるほど。彼女から学べることは多そうだ。


「武勇伝って言うからには、そこそこ成功してるように思うんだけど、それでもミーシアは来てくれたんだ?」


「はい!! アレク様、遠い目をしてましたから」


 わたし、なにかしたかったんです!! 【鍵】の使い方をたくさん教えていただきましたから!! そう述べる彼女の瞳は嬉しさと切なさを両方表しているように見えた。


「よし! そうと決まれば明日から面接です!! 皆さん! 頑張りましょうね!!」


 何をだよ。


「「「はい」」」


 よくわかってなさそうな子供たちはとりあえず間延び無い返事をした。後ろで満足そうに頷いているクバイト氏を見て、僕が苦笑するハメになるとはね。どんな事態にもぶれないクバイトさん、流石です。




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 朝食を終えて、ミーシアとの二人会議が始まる。面接前の打ち合わせをしましょうと、誘われたからだ。彼女は本来の歴史を掻い摘んで教えてくれた。身の毛のよだつ話もあるが、どうするかと聞かれた僕は怖気づいたので辞退した。彼女はヘタレだと由耶することもなく、『賢明だと思います』と流してくれた。あまり知りすぎても良くないことかもしれないと思い直したようだった。


「アレク様、7人のスキル、ジョブですけど」

「うん」

「適正全部ぶっこみましょう!!」


「は? 全部!?」


 いきなり何言ってんだこいつは!? ここはスキル1つ、ジョブ1つの世界なのに。赤髪でさえこっそり【軍師】を付け足したのに、大騒動にならない!?


「そうです。どうせアレク様が自重するのやめるんですから、今から前倒ししても大丈夫ですよ、きっと。ね? やりましょう?」


 こいつはアレか、ルールブレイカーか。ていうか僕は自重しなくなるの!? なんだか恐ろしい未来を聞かされた気がする。やっていいの!? いやぁ、ワクワクするけどさ。


「とりあえず必要なやつだけでよくない?」

「えええ」


 口をとがらせてブーブー言い出した。なんか押され気味だ。少なからず恩義を感じ始めているからかもしれない。


「いいですか? 彼らは孤児で、見捨てられた存在でした。なんとか伯爵が救ってくれて、アレク様に引き渡された」


「マグニアス伯爵ね」


「そうその伯爵です」


 ほんとに脳内に僕の武勇伝【保存】されてるのかね?


「冒険者ギルドへは一つだけの登録をさせて、後は適性検査の水晶出されたら困るから、そのときだけ他の【スキル】【ジョブ】は施錠しておいたら完了ですよ」


 ドヤ顔&サムズアップにイラッとしたから脳天チョップしておいた。まぁ、それは僕も思いついている手段だし。


「面接で、わたしが洗脳しておきますからご安心ください!!」

「おっそろしいこと言うな!? やめような!?」


 大丈夫ですよ、ただただアレク様の良いところとか、お世話になっている方に対する礼儀とか、アレク様に対する思いとか、そういうのを教えてあげるだけですよ? コンコンとね? そうそう、コンコンとね? と言ってあらぬ方向を見ながら目が逝っている。ヤバイよこの娘!? 知ってたけど。


 なぜコンコンとを2回言ったし。


 まぁ、今は召喚中で【鍵】が使えなくて、彼女頼りではあるから、任せてみるのもいいかもしれない。僕がやったんじゃないって言うからいいよね? 逃げるなって?





 王都最強のパーティー【鷹の爪】の実力をあっさり超えるパーティーがこの日誕生したことをまだ誰も知らない。



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