No.3
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「バカヤロォォォ!!!」
耳につんざく罵倒がダンジョンの地下5階層で鳴り響く。
男は膝を付いている荷物持ちの青年の前に躍り出て、今にも振り下ろしそうな斧を構えるミノタウロスにドロップキックをかました。
手放される斧。
同時に倒れるミノタウロスと叫んだ男。
すぐさま男が立ち上がりざま中に舞う斧を掴み、ミノタウロスの頭へと投げるように振り下ろした。
ガツ……
斧は眉間を捉え、地面にまで到達する。
ポーターの一人を失った瞬間でもあった。
ーーーーー
王都の朝は早くやってくる。人々が起きて活動する時間が早いのだ。まだくらい時間にけたたましく鐘が鳴るのもその要因の一つである。迷惑な話だ。
でも今回の依頼には、はた迷惑な鐘にも感謝していい。西門集合の時間指定が早朝だったから。明確な時間が定められておらず、王都の城塞にある日時計と時の魔道具という道具を目安に騎士団の若者が日に6回鐘を鳴らす取り決めがある。
僕は西門1番に到着したようだ。約束の時間に遅れることを嫌う日本の営業マンさながらの行動である。特に待っててイライラすることは無い。今回の初仕事をとても楽しみにしているから。
門番の男の人との会話も弾む。
「坊主は今回が初仕事なのか! 頑張れよ!」
元気いっぱいに応援された。大きく頷いておこう。門番が知っている【鷹の爪】の情報を聞き出す。曰くとても有名な冒険者パーティーらしい。
若く、強く、最速で冒険者ランクを上げている王都冒険者ギルド始まって以来の成長株だそうだ。依頼達成率も驚くほど高く、駆け出しの頃にしたミス以外はほとんど成功させている。
門番のおっちゃんの主観だが、彼らのプロフィールを教えてもらった。
リーダー、ドレクスラー。王都最強の剣士。
頭脳、ライバー。才賢の魔道士。
鉄壁のパラディン、ディーバ。
至高の聖女、リナフレア。
女盗賊、エチュレーラ。
なにこのラインナップに色眼鏡っ!? 厨二全開の高評価に聞いたこっちが恥ずかしくなる紹介だった。唖然とする僕の反応をいい風に解釈したおっちゃんは誇らしげだった。いや、それ、あんたの厨二心に対する愕然とした反応なんだからねっ!?
そうこうしているうちに今回のメンバーらしき人々が集まってくる。ドレクスラーは全員を満足そうに見渡して出発を宣言した。
西門を出てまっすぐ進めば直ぐにダンジョンの入口が見えてくる。この辺り最古のダンジョンで、周辺に建てた街が今の王都に発展したから、近いのだ。すぐに到着するとはいえ、自己紹介やらメンバー紹介を通してお互いを知る機会はあった。
ポーターだから一回切りの付き合いになることもあるだろうから、深い関係を築こうとする者はいないし、媚を売る者もこの度は見られなかった、というのがギルド職員の報告にあったそうだ。ま、問題はそれどころのことじゃないってことだけれど。
そんなこんなであっさりと4階層まで進む。初めての依頼、初めてのダンジョンに興奮していたが、あまりにもあっさり進むものだからポーターサイド4人と共に僕は油断しまくっていた。
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