4興
本日2話投稿
「ハッハッハッハ。どうよ?」
「うん、見事なゴリ押しだな」
「うん、見事に確保できたな」
「ええ、お見事でした」
「はぁ、見事に楽ができるわね」
【鷹の爪】だ。
何だこれ? 【鷹の爪】と合流した我々【虹色の翅】は豪快なリーダー、ドレクスラーの愉快なドヤ顔を見せられているところだ。王都最強のパーティーを前に緊張していた僕以外の3人は事態についていってはいないようだ。
それはそうだろう。僕は【鷹の爪】との絡みをあんまり話したことがないからね。それに彼らの人に対する威圧感を生で見たのは初めてなんだ。自動施錠のおかげでなんの影響も受けなかったんだけれど、相当な覇気が込められていたに違いない。屈強な冒険者たちにはそれほど威力はなかったみたいだけれど、後ろの方の席についていた者たちの殆どは身動きできないような感じだったし、変な汗を流していたり、青ざめていた者もいたんだよね。
「ということでアレク、頼むな! それと【虹色の翅】のみんなもよろしく頼む。もちろん報酬は山分けだから安心しろよ?」
室内での威圧感はどこへやら、ドレクスラーは屈託ない笑顔を僕たちに向けてサムズアップしている。
「アレクセイ、あんたの見立てだと、あたしたちと比べてどれくらい?」
ものすごいアバウトな質問だけれど、女盗賊エチュレーラの問いかけは僕たちの実力についてだ。
「正直に言うとね。とても強いよ? 僕抜きで純粋にダンジョンに潜ったら、単独でミノタウロスは倒せるし、そうだね……エチュレーラが罠を解除してくれるんなら、同じ階には行けるんじゃないかな?」
「おいおい、どんだけだよ!? 期待の新星現るってやつか?」
「だけど僕たちには経験が足りないからね、実際には半分も追いつけないんじゃないかな?」
「ふーん」
ジトッとした目をなんとかしてほしいが、本当のことだ。経験さえ積めば、とことんまで彼らに追いつけるだけのポテンシャルは持ってるはずなんだよね。なんてったってこっちには【魔女】【魔道・極】が二人もいるんだから。赤髪は一緒に行って【斧】を上げていけば良いんだし。追いつけない要素がないんだよ。
【鷹の爪】の配置位置、つまり城の地下に連れて行かれる。彼らは特別に地下に要請されていたんだ。国からね。ご指名なんだって。
幾分ジメジメした場所なんだ。ここもきっとどこかで【獅子の咆哮】の元アジトに繋がっているんだろうな。
カコーン……カコーン……。
遠くで小さな小さな破砕音が聞こえた。
緊張が一気に伝わる。
「来たか」
一斉に武器を構えた。
ガラガラと壁が崩れるような音を最後に、地響きが地下通路に木霊する。
ドドドドドド。
「火だ!!」
赤髪が叫んだ瞬間、リリアリーリと彼女の肩へ飛び出した妖精リンカーラが特大の火炎放射を前に放出したんだ。
熱気だけが後方の僕たちに流れてくる。
押し寄せる何かに向けての最大火力を放出した魔女の妹と妖精の思い切りの良さに、【鷹の爪】は度肝を抜かれているね。言ったでしょ? 強いよって。
でも、後続は絶え間なくやってくる。
ドドドドドド。
続くはサリアラーラと精霊。
先ほどとは質の違う炎のうねりが前方へと放たれていった。
しばらく押し寄せる音が止んだ。
「たまげたなぁ」
さほど驚いた声音ではなかったけれど、才賢の魔道士ライバーは平坦にそう言った。そして自身の杖の先を左の掌で包んでは離し、包んでは離すを繰り返していた。きっとウズウズしているんだろうなぁ。
ドドドドドド。
今度は俺ね、と言わんばかりに前に躍り出たライバーは、杖の先を前方に向ける。そして魔女たちにウィンクした。なんかイラッと来るなぁ。
そして、彼は一言だけ呟いた。
「バード」
杖から飛び出したそれはそれは小さな小鳥が、火の粉を散らしながら回転して前方へと進んでいく。
進むごとに大きくなる火の鳥はやがて鳳凰と言うにふさわしい威厳と火力を放出しながら進んでいったんだ。
魔女たちの炎の魔法に引けをとらないどころか、圧倒するほどの火の暴力が、未だ姿すら見えない、押し寄せているはずの何かを焼き焦がしていく。
今度は【虹色の翅】が唖然とする番だった。
何この火力。
そう言えばライバーの魔法見るの初めてかも。メッチャクチャな火力なんだ。反則だよねぇ。酷すぎるよねぇ。ドヤ顔からの疲弊には苦笑したけれど、彼に状態解錠をかけておいた。疲れを軽減できただろう。
「前哨戦は快勝ってか?」
「油断はするなよ?」
肩に担いだロングソードをトントンと肩たたきのように上下させたドレクスラーの独り言に、聖騎士ディーバが注意を促すが、これも彼らの日常だ。
「ゲルト……」
僕の呼びかけに、赤髪の戦士は視線だけ向けて頷いた。【軍師】が導く答えを得るべく、思考を巡らせる。
「この先、もうちょっと広いみたいだ、移動するか?」
僕たちだけなら遠慮せずに指示を出すゲルトレイルだが、サポートとしてついてきている事を鑑みて、控えめな主張を試みていた。決断を下すのは【鷹の爪】のリーダーだ。判断を仰ぐ。
「利点は?」
「近接戦には狭すぎるだろ?」
簡潔なやり取りでドレクスラーは口端を上げてすぐに受け入れる。
「うっし、移動するぞ」
このあたりの潔さが【鷹の爪】の美点だね。傲らず最善を導き出すのに、格下の相手の意見も受け入れるんだから。変わっていると言えば変わっている。
押し寄せてきたのは情報通りゴブリンだった。
静になるまで、およそ3時間くらいだろうか?
魔石を集めると革袋が4ついっぱいになった。大小様々なゴブリンの魔石はその数200を超えるだろう。連絡役に僕はギルドの会議室へと飛んだ。
お読みいただきありがとうございました。




