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[ 怜 ]

理不尽な事は本人に準備が出来ていなくても、勝手に訪れる。

一寸先は闇、では一寸前から選択できたのだろうか?

既に決まっているのだろうか?



「お母さん行ってきまーす」

元気な声を上げ玄関を急いで出ていく。

夏休みも終わり今日9月1日から2学期の始まりだ。

幼い少年は、家の前の下り坂を走り200メートル先のある友人宅へ急いだ。

学校に通うようになってからは一緒の登校班だったからだ。


「おはようございまーす」

少年は元気良く玄関先に出ていた友達のお母さんに挨拶をした。

「あら、れいくんおはよう、ちゃんと起きれて偉いわね」

「ちょっと待っててね、さとしー」

そう言ってお母さんは家の中に入っていった。

「…おはよう…」

眠たそうな目を擦りながら、さとしが玄関から出てきた。

左の後頭部の髪が跳ね上がって寝癖になっている。起きたばかりなのだろうとすぐにわかった。

「おいさとし、いつまで寝てるんだよ?ちゃんと夏休みの宿題持ってきたか?」

さとしはぎょっとしてランドセルに中を探そうした時

「ちゃんと昨日入れておいたわよこのおバカ」と後ろから現れたお母さんがさとしの頭を小突いた。

さとしは苦笑いをし僕は高らかに笑った。

まぁさとしの忘れ癖は今に始まった事はないので、1週間に一度くらいのペースでこの流れが始まる。

「さとしは本当に忘れものが多いんだな」

そんな事をしみじみ思っていた。

「ほら遅刻するわよ」

お母さんに言われ、二人は急いで坂を下った。

遠くから気をつけてねとさとしのお母さんの声が聞こえる。


坂を下りきったところで二人は並んで歩きだした。

「おい今日席替えだな」

とさとしに話かける。

「あー誰と隣の席になるんだろうなぁ」

近頃の小学校がどういう仕組みなのかは知らないが、私が小さい頃は毎回義務教育が終わるまで新学期になると必ず席替えをしていた。

れいは、ちょうど今年4年生になってから、席替えの時を心待ちにしていたのだ。

なぜかというと同じクラスに好きな子がいたからだ。

さとしは、れいの好きな子が誰なのかを知っており、授業中にれいがその子を見てると後ろから肩を叩いておちょくっていたのだ。

そのせいでいつも授業中怒られていた。

「でもさぁ、絶対先生隣にしてくれないだろうな、あんなに見張られてたら先生にもバレてるよきっと」

れいは少し不満気な顔つきで言った。

「そうかなぁ、そこまで考えて席替えするかなぁ、だって誰と隣になりたいか一学期の終わりに書いたんだろ」

そう、一学期の終わりに二学期の席替えの希望を書いて提出したのだ。

「そういえば、なんでさとしは田中を選んだの?」

田中みひろ、学年で一番勉強ができると噂の女子だ。それ以外に特徴という特徴はなく、れいの中では勉強がすごくできる子ぐらいの印象しかなかった。席も離れていたので話す事は一切なかった。

いや…たった一度だけ、れいが風邪をひいて病院から学校に遅刻して登校した時に偶然田中と学校の正門で一緒になった。

大した会話はしなかったが、こんな優等生がという先入観からか、珍しかったので今でも記憶に残っている。


「んーなんでかなぁ、なんとなく気が合いそうな気がしたんだよね、でもなんか、なんとなくだな」とさとしは笑いながら言った。

そんな事を話しながら、気がつくともうすでに学校の入り口が見えてきた。

「おはよー、おはようございます」

所々で挨拶する生徒達の声が聞こえる。

れいは学校に近づくにつれ口数が少なくなっていった。

そんなれいを横目で確認し、れいの肩を少し強めに叩く。

「そんな緊張しなくて大丈夫だって、クラスは同じなんだから隣じゃなくても同じ班になれる確率は高いだろ」

れいはそこまで頭が回らなかったが、確かにそうだなと思い、気が落ち着いたようだった。

キーンコーンカーンコーン…

学校の鐘と同時にれい達は教室に着く。

れいは横目で好きな子の方を見て

「あーやばいまた緊張してきた」

そういって机にうなだれる。

さとしはれいの背中をポンポンと叩きながら大丈夫だよと笑った。

数分後…

ガラガラガラッ

「おはようございまーす」と担任の京子先生が教室に入ってきた。

「おはようございます皆さん、夏休みは元気に楽しく過ごせましたか?」

「過ごせたー」

「過ごしました」

「宿題が終わりませんでした」

と皆に声に紛れてカミングアウトする人もいた。

「さあ皆さん、今日は二学期の始業日ですが、皆さんが待ちに待った席替えの日です」

皆も楽しみにしていたのだろうか、ざわざわと周りが騒がしくなる。

「席替えの席順は始業式が終わった後に黒板に貼っておきますので、始業式から戻ってきたら席順を確認し1時間目の授業の前に席の移動を済ませておいてください。

「はーい」

と大勢の生徒は返事を返す。

れいはというと、緊張のせいか心ここにあらずといったところだった。

「さあ皆さん廊下に並んで体育館に向かいましょう」

そう言って先生は廊下に出て行った。

皆は、各々順番に教室から廊下に出る。

れいも皆に続き廊下に出ようとした。

その時ふと視線が気になって後ろを振り返っったら、好きな子と目がバッチリ合った。

心臓がバクバクしてるのを感じた。


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