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あなたへ...2016年1月

コーヒー

作者: あずま

帰ってきたら

お湯にインスタントコーヒーを溶かして

砂糖を入れて

牛乳を入れて

レンジでチンして

ホットコーヒーを作る


それを飲んでから

あなたの放課後が始まったね


毎日

おいしそうにコーヒーを飲んだね


お母さんの作るエスプレッソのカフェオレより

インスタントの方がおいしいといってたね


あなたのインスタントコーヒーは

あの4月22日からずっと飲まれることもなく

台所にあって


いつの間にか湿気って

色が変わっていた


今日は

賞味期限の切れたスティックのコーヒーと一緒に

色の変わったインスタントの瓶を片付けた


お父さんは出かけてて

誰もいなかったから

泣きながら

去年の夏で賞味期限の切れた

コーヒー達を片付けた


仏壇のあなたには

ずっと新しいコーヒーをあげていたから

いつの間にか

黒くなっていた

インスタントコーヒーに気がつかなかった


粉を捨てながら

捨てるしかないと思いながら


切なくて

一人で泣きながら

捨てていた


あなたの思い出を捨てるようで


でも

あなたのコーヒーの色が変わっていくのも切なくて


ねえ

片付けて良かったのかな


ずっとそこに置いて置いたら良かったのかな


食べ物だから

捨てられたけど


あなたの肌着をどうしよう

あなたの靴をどうしよう

あなたの服をどうしよう

あなたの教科書をどうしよう

あなたの部屋をどうしよう


見ていれば切ない


けれど、

こうして片付ければ後悔してばかり


思い出には賞味期限なんかないから

ずっと置いて置いていいのかな


置いていない方がいいのかな


でも


そんなことより


あなたに会いたい

あなたに聞きたい

あなたがどうして欲しいのか

あなたに聞きたい

あの日からもうすぐ8年


今も何にも

捨てられない


教科書も

洋服も

肌着も

マンガも


ねえ

帰ってきて



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