表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もと天使たちの過去話  作者:
麗しの黒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/64

過去

かなりの残酷表現が出てきます。

すみません、としか言いようがないですorz

 華やかなパーティー会場。

 この日、蘭雪は両親と一緒に夜狼の影武者として出席していた。いろいろな大人たちと和やかに会話をしている両親を見ながら周囲を警戒する。


 このパーティーに出席している大人たちは全員武器をクロークに預けた上でボディチェックまで受けているため丸腰だった。夜狼の恰好をした蘭雪は子どもということで簡単なボディチェックしかされなかったので、こっそりナイフと銃を持ち込んでいた。

 ただ、今回のパーティーは新しく組織に入った一団との親睦会であったため、さほど危険はないと言われていた。それでも蘭雪は自分が夜狼の代わりに出席した時点で、最悪の事態を想定していた。


 そして事件は起きた。


 和やかにパーティーが始まり、酒が入った大人たちに酔いが回り始めた頃、建物の外から怒号と共に銃声が響いた。

 いきなり窓から飛び込んできた銃弾の嵐に大人たちが倒れていく。


 蘭雪は素早く反応して両親をテーブルの下に引きずり込んだ。


「くそ、警備のやつらは何をしているんだ!」


 父親の言葉に夜狼の格好をした蘭雪が銃を持つ。母親は銃弾が腕をかすめたらしく出血した腕をハンカチで押さえていた。


「確認してきます」


「無理はするな」


「はい」


 銃弾が途切れたところで、蘭雪は低い姿勢のままテーブルの下から走り出した。

 窓側の壁に背中をつけて、壊れた窓から外を覗くとマシンガンを持った数人の男達が建物を取り囲んでいる姿が見えた。


「この人数なら問題ない」


 蘭雪はそう判断すると、会場の端にあり大木で隠れている窓まで移動して外に出た。トランシーバーで連絡し合っている男の一人に銃の照準を合わせる。


 そこで室内から激しくドアを蹴破る音がした。


「しまった!」


 蘭雪が急いで窓から室内を見ると、ドアから入ってきた男達が倒れている人や物陰に隠れている人に向かって一斉にマシンガンを発射した。


「お父様!お母様!」


 自分の叫び声で目が覚める。黒曜石の瞳が大きく開くと同時に体が飛び起きた。全身から冷汗が流れ、肩で大きく息をしている。


 蘭雪の尋常ではない様子に向かいのソファーに座っていたディーンが慌てて立ち上がる。


「どうした?」


 ディーンの声を聞いて自分のいる場所を確認した蘭雪は、自分が寝ていたソファーを見て大きく息を吐いた。


「私は……寝ていたの?いつの間に?」


「十分ぐらいしか寝ていないぞ。それより、顔が真っ青だ。大丈夫か?」


「平気……」


 そう言いながら、蘭雪はフラフラと洗面所に行った。冷水で顔を洗い、鏡に映った自分の白い顔を見る。


「なんで今頃……」


 記憶の奥底に封じていたはずの、あの事件。あの銃撃の後、目の前で両親の首を落とされ、その後の記憶はない。


 銃撃事件を聞いて黒狼が駆け付けた時には、蘭雪が銃撃してきた男達を全滅させ、その死体の上で両親の生首を手に乗せて笑いながらクルクルと踊っていたという。

 そして黒狼はそんな蘭雪の姿を見て、跡継ぎを夜狼から蘭雪に変更した。


 蘭雪は鏡に両手をついて俯いた。


「狂ってる。あいつも、私も」


 両手を握りしめ、両瞳をきつく閉じる。すると、少年の声が頭の中で響いた。


『なに眉間にしわ寄せてるの?可愛くないから止めなさい』


 笑顔だったのが、慌てたり、困ったり、すぐ笑顔に戻ったり。淡い金髪を揺らしながらコロコロとよく変わる表情と、全身を包み込むような柔らかく温かな雰囲気。


 少年が連れ去られて一時間も経っていないのに、蘭雪は何年も会っていないかのような感覚になっていた。


 体の一部が欠けたような空虚が蘭雪の心を占める。


「……アイタイ……」


 それは蘭雪が初めて思った感情だった。そこに朱羅の声が響く。


「蘭雪、行くぞ」


「わかった」


 蘭雪はいつもの無表情で洗面所を出て行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ