エピローグ『自分達の居場所』
二学期が始まった。
学園の生徒会室には、相変わらずと言って良いほど、よく部外者が集まる。
「おい、真美。部外者は出ていけ!」
いつも通りのやり取り。しかし、今日は違った。
真美は、にしし、と笑うと純に言い返す。
「残念でした。二学期からは私も関係者です。夏休みの仕事を手伝った功績が認められて、なんと、副会長補佐に命じられました!」
「まあ、それはすごい。もっとも、副会長補佐なんて役割も存在しないんだけどな!」
「ほのか先輩、会長が私をいじめますっ!」
いつも通りの賑やかな生徒会室。
真美は勝手に生徒会室に馴染んで、何か文句を言うと、すぐにほのかを盾に使う。(卑怯だ)
田春小鳥、通称タルトちゃんはお菓子を頬張っている。(おいしそう)
ほのかはそんな中でも不満ひとつも言わずにせっせと働く。(有能だ)
そして、もう一人。
「へえ、あんたって、普段はこんなことやってたんだ」
ライトが口を挟んでくる。
ライトは、あの一件以来、なぜか妙に純になつき始めた。これは、純の持つ王の地からのせいかもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、純にとって大事なことは、彼女も部外者であることには変わり無いということだった。
「一体全体、お前はなんでここにいる?さっさと帰れ!」
「いいじゃん。つれないなー。私達は一緒にあんなことやこんなことした仲じゃん」
ライトは口を尖らせて、くるくると回る椅子に乗って、くるくると回っていた。ライトの不透明な言い回しに、一抹の悪意を感じる純であったが、そこには触れないことにした。
しかし、そのライトの言葉に反応した人物が一名いた。
「ちょっといいかな、純。私がいない間に彼女と何があったの?ねえ、教えてよ、ねえ」
「ほのかは何で、そこまで食いついてくるんだよ!」
ほのかは少し怒ったような顔になっていた。純はいつもとは様子の違うほのかを見て、首をかしげる。それは、ライトと純が仲良くすることに対する彼女の嫉妬だということに、純は気づかない。だから、純にとってはほのかの真意がわかりかねていた。
ねえ、ねえ、と迫ってくるほのかに対し、純はどうしようもなく困りはてる。
「あ、そうだ。ほのか。もうそろそろ約束の時間だよ」
純はこの場を乗りきるために、時計を指してほのかに言った。時計はもうすぐで午後五時を指そうとしていた。
「そうだった。今日は仕事を早めに切り上げなくちゃ。でも、さっきの話の続きは、また別の機会に聞かせてもらうからねっ!」
ほのかは荷物を整理して、帰る支度をしはじめた。純も鞄をもった。
「じゃあ、真美。あとは任せたね」
「わっかりましたっ!いってらっしゃい、ほのか先輩」
そういって、純とほのかの二人は生徒会室をあとにしたのだった。
◇◇◇
校門前
「あ、来たよ。遅いよ二人とも!」
そこに待っていたのは純とほのか以外の守護神のメンバーだった。あの日以来、八人は十年のブランクを埋めるかのように頻繁に会っていた。
遅い、という言葉に対し、ほのかは自分の時計で時間を確認する。五時を十分以上過ぎていた。
「もう、純のせいだよ。生徒会室の時計が遅れてるのをそのまま放置しとくから」
「あれ、電波時計だぞ。それに遅れたのは時計の見間違いじゃなくて、ほのかが……」
「あーっ!ち、違うもんっ!そ、そういうのじゃないもんっ!」
ほのかが言わせまいと必死に純の声を掻き消す。
そのやり取りを、他の人たちは面白そうに眺めていた。
「ところで、今日はどこに行くつもりなんだ?」
「そうだな……。じゃあ、俺たちの秘密基地にでも行ってみますか」
「あそこはもう壊れてるだろ?」
「わかんないよ。案外残ってるかも」
八人は並んで歩き出す。
誰もが嬉しそうな表情を浮かべていた。
本当に守るべき大切なものがここには存在していた。
ー完ー
これから改稿作業に移ります。変更点などについては後に活動報告に載せる予定です。




