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第十一章3 『魔界の門③』

純は懐からスイッチを取り出す。それは、校庭にあるマネキンにくくりつけられた爆弾の爆破スイッチだった。スイッチを押す。眩い光を放ちながら、校庭にあるそれは爆発した。

純は一回深呼吸をして、周りにいる仲間たちに向かって叫んだ。


「さあ、敵は目の前にいる悪魔だ。奴等を殺して魔界の門が開くのを阻止する!そして、世界を救うのだ!」


「行くぞ、わんこ」

「言われなくても!」


「出陣!最強武神ギガレイヤー」

「喰らい尽くせ!現実召喚(リアライズ)!『猛き咆哮の白虎(ビーブラクション)』」


次々と戦闘準備に入る。


「へへっ。一番乗りは俺だー」


純の上空を大吾が飛んでいった。


彼は今、神箜第二学園の生徒会長、真島純としてここにいる。

二つの顔を持つ彼にとって、裏切るなんて行為は、日常的なものでしかなかった。そこには何の自責の念も感じないし、まして、人を殺した経験もある純に、躊躇なんて言葉は存在しなかった。


『裏切りの王』。それが彼の二つ名なのだから。


◇◇◇


運動場にいる悪魔たちの頬に、熱を帯びた風が当たる。

カイトは溜め息をついた。


「どうしたものかねえ」


爆発による衝撃など、単なる目眩ましでしかない彼らにとっての、目下の問題は、この事態をどう収集するかというものだった。


「わざわざあいつの遊戯に付き合ってやる義理はない。さっさと門を開いて帰還するだけだ」


そう助言を出したのは、ヤクザのような風貌の悪魔、ジャックだった。

彼は八人の悪魔の中でも二番目の年長である。彼の言葉からは、若者が一時の感情でバカをやっているのを冷めた目で見ている中年の愚痴のようなものが感じ取れた。

ジャックは煙草をふかしながら周りに指示を出す。


「大方、柱に何か細工をしたんだろうよ。ちょっと確認してきてくれ。カイトは北側にある二本、シャドウは南側にある二本を頼む。じじいは西側の二本。カグラとライトで東側の二本を頼む。そこの女は使い物にならなさそうだからな」


ジャックが視線をやった先には校庭の隅でうずくまる、シャーリーの姿があった。彼女は一種の対人恐怖症を持っている。こんな事態になれば、怯えてしまうのも無理のないことだった。


「了解した。ところで、ジャックはどうするの?」

「俺は一人でここに残って食い止める。各自、確認が終わって戻り次第、加勢するように」

「口を挟むようだけど、ジャックの固有スキルは戦闘向きじゃない」

「うるせえな。あんなやつら、固有スキルを使うまでもねえよ。こいつがあれば十分だ」


ジャックは愛用の大型の剣をカイトに見せつける。


「なめられたものだ。いくら数が多かろうと人間風情が悪魔に勝てるわけなかろう?」

「だな」


ジャックの指示通りに、彼以外の悪魔は、柱の方へと向かっていった。

その様子は純の目にも写っていた。


「ここまで予定通り……か」


「本当に柱の方は大丈夫かな?」


純のそばにいたほのかが心配そうに呟く。


「言っただろ。柱の方は心配ない。八本の柱にはそれぞれ、八人の元素融合体(エレメントハイブリッド)が待機している。一対一ならおそらく負けることはない」


純はそう言った。


(まさか、一人で残って戦う選択を選ぶとはな。なめられたものだ。ジャック、ここが貴様の死に場所だ!)


ジャックと純はお互いに、鋭い視線を交わしあった。

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