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第十一章2 『魔界の門②』

神箜第二学園の運動場に集まった、八人の悪魔たち。人の気配のしない学校で、これから彼らが行おうとしていることは、魔界の門を開く、ということだった。


「本当に誰も来ないんだろうな、ジョーカー?」

「もちろん。俺はここの生徒会長だったんだ。今日は原則として誰も来てはいけない日になっている」

「ならいいんだが。じゃあ、始めるか。フェンリル!」


ゴゴゴ、という地響きとともに運動場に姿を現す、フェンリルの入ったクリスタル。その大きさは実に校舎の二階に相当するものだった。


「長かった。実に長かった」


フェンリルは地に響くような声で、そう漏らした。

偶発的に発生する時空の歪みに対して、こちらから意図的に発生させた時空の歪みを組み込むことで、次第にその歪みを大きくし、魔界と人間界が空間の移動ができるくらい近い距離まで接近するのを待った今回の計画。

その最後の仕上げが終われば、彼らは故郷へ帰ることができるのだ。


「術式、起動」


フェンリルは唱える。フェンリルが今いる場所を中心に、八本の柱が町中にたてられている。そこを頂点として八角形の魔方陣を展開し、この場所に魔界の門を開く。その準備ができた。


「さあ、魔界への帰還を。術式、展開」


眩い光が運動場を包み込んだ。

このまま、術式展開は成功するかに思えた。

しかし、何が起こったのか、術式は正常に作動することなく、次第に魔方陣は消えていく。


「何が……起きている?」


その場にいる一同は困惑するしかなかった。ただ一人、ジョーカーを除いて。


「くくく。はははは。ここまで上手くいくとは」

「ジョーカー。どういうつもりだ。何をした?」


不気味な笑いを浮かべるジョーカーに視線が集まった。この事態を引き起こしたのは、この男に違いないと、誰もが思っていた。そして、その点を否定することなく、ジョーカーの口から信じられないような言葉が放たれた。


「魔界の門を開く前に皆さんには死んでもらおうと思いまして」

「何を言っている」

「つまり、魔界に帰るのは、俺一人で十分だと言っているんだ」


その発言を受けて、カイトはジョーカーに警告するように言った。


「血迷ったかジョーカー?七体一だ。勝ち目はない。死ぬぞ?」

「七体一?冗談を。こちらにはこんなにも仲間がいる」


カイトは辺りを見渡す。

すると、見えたのは、誰もいないはずの校舎の影から続々と姿を現す、光流、詩、和音、孝樹、大吾、その他大勢の仲間たちだった。そして、その中には、真島純の姿もあった。


「どう言うことだ!」


カイトが、目の前にいるジョーカーの仮面とマントを剥ぎ取る。そこにあったのは、ただのマネキンと顔の部分にくくりつけられた、携帯電話だけだった。しかも、マネキンには更に爆弾がくくりつけられている。


校舎の方にいる真島純は、携帯電話越しに言った。


「俺は裏切り者の王様だ。貴様らを殺して俺は魔界で新しい王となる!」


純は携帯電話の電源を切った。

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