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第六章3 『純vsドラゴン』

一方、純は苦戦を強いられていた。


(こんな戦力でどうしろと?)


純の味方はレベル3以下のボーンの力を持った数人しかいないという状況。対するはドラゴン二体。せめて光流と同じ力を持った詩や飛行能力を持った孝樹がいればまだ策もあったかもしれないが、それもない戦力で正面からぶつかって勝機があるとは純にも思えなかった。


(ここはおとなしく逃げるか?他のモンスターが片付いてから最後に回した方が得策か?)


幸いにもこちらから攻撃を入れていないため、ドラゴンは純たちを攻撃の対象としている素振りは見せていなかった。純は頭の中を整理する。今現在確認できる状況は、目の前のドラゴンが二体。そして先ほど空中に飛び立って今も戦闘状態であるヒッポグリフとおそらくは大吾であろう人影。元素融合体が追いかけて行ったケルベロス。そして姿は見えないが向こう側で別に戦闘が行われている様子が音や光などからわかる。最優先すべき事項はおそらくの元凶であろう光流の捜索。それはほのかたちに任せてある。それを踏まえたうえで純は決断を下す。


「みんな聞いてくれ。今のまま戦ってもおそらく話にならない。他のグループと合流するまで手は出すな。いいな?」


その場にいた人々は異を唱えることなく純のいうことを受け入れたかに見えた。ただ一人を除いては。


「失礼ですが、あなたはどういう立場でいらっしゃるのかな?別に僕はあなたのことが嫌いってわけじゃない。あなたがリーダーだっていうんなら従う。ただ今の段階では僕たちのリーダーと言うかまとめ役は灯月和音、彼女なんでね。」


その青年に純は初めて会った。もちろん彼もそうだろう。このことはその青年にとっては純がまだ信用できない人物であるという考えを拭いきれない条件にしかならないであろうが、逆に純にとっては青年がまだ純のスキルの影響を受けていないという一種の不安を想起させるものであった。純はいつも通りの表情で返す。


「すみません。はじめまして、かな。私は神箜第二学園の生徒会長の真島純と言います。一応二つ目のチェーンメールを送るように指示した本人で、灯月さんたちをまとめる立場でもあるのかな。私自身は何の力も持ってないけれど。」


青年は怪しむ様子も見せず、純の顔を見ると名前を言った。


「僕の名前は石河奏楽。まあ、よろしく。」


そこで一端、言葉を切ってしばらく空白を置いた後、彼は言った。


「ところで、あなたたちはいったい何のために戦っている?世間的には悪のレッテルを張られ、元素融合体からは敵対視され、別に世の中のためになるようなことをしているわけでもない。現に話を聞いているとこの騒ぎの元となっているのはあなたの知り合いでしょう?僕から見ればかっこいいヒーローどころかただの害悪でしかない。それでも戦う理由がある?」


純は驚いた顔をする。和音たちには純たちが力を捨てない理由は元素融合体の力を信用できないからということにしてあるが、それだけでは正直理由としては弱いということはわかっていた。そもそも純たちがいなければ元素融合体もいらないのだから。それでも純のスキルを使うことで疑われずに今までやってこれた。しかし目の前の男に、奏楽に見抜かれた。別に目的があるのではないかということを。純が悪魔だということはわからなくても純が正義のためにこのようなことをしているのではないということは薄々わかっているのかもしれなかった。それでも純は焦る様子を見せず不敵に笑う。


(おもしろい。でもこの男も俺の力にはあらがえないはずだ。)


「疑いたくなる気持ちもわかりますが、僕も悪い方に持っていこうなんて考えてません。信じてください。みんなの協力が必要なんです。もう一度言います。信じてください。」


その瞬間奏楽は純から顔をそらす。一瞬何か勘づかれたかと思った。しかし


「わかりました。そういうことなら協力しましょう。」


奏楽はそれだけ告げるとあっさりと純のところから去って行った。その直後あたりに大きな音が響き渡った。純はしまったと感じながらその方向を見る。だが遅かった。翼を広げて飛行を始めた一体のドラゴンが低空飛行のまま突っ込んできた。

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