第六章2 『孝樹vs大蛇』
地上ではそれぞれがモンスターと戦って、何とか場を収めようとしていた。
「うわぁーーッ!!」
また一つ召喚された二次元モンスターが消えていく。しかし、消えたのは敵の方ではない。孝樹と詩、そしてその他の女神の力を与えられた者の連合で結成されたチーム、その味方のモンスターである。
「クソッ!!」
孝樹も何とか飛行を発動しながら手助けしようとするが、固い鱗の大蛇には攻撃が通らなかった。そうしている内に大蛇に巻きつけられて力尽きたり、牙に貫かれて叫び声をあげながら消滅したりする味方モンスターが増えていく。
「防御力高いな、こいつ。」
孝樹は思わず呟く。斬撃でも線一つ入らない、砲撃でも傷一つつかない。このままではらちが明かないと、孝樹は詩に相談しようと地上へと降りた。
「詩、何とかあいつの口をこじ開けられないか?外は固くても中ならダメージも相当だろ。開いた口から俺が砲撃をぶちこむ。」
「うん、やってみる。」
孝樹は再び空を飛ぶ。詩は携帯をかざして叫ぶ。
「リアライズ!」
詩の想像した世界が再現される。幾ばくものロープが何重にも束ねられ、大蛇の頭部を中心に展開される。一部は地面に、また一部は建物の窓や屋上に端を固定されており、大蛇は嫌がおうでも口を開かねばならなかった。そしてその開かれた口に孝樹は攻撃を叩き込む。
「砲撃ーッ!!」
攻撃は命中した。けれども別の問題も起きた。ロープも切れたのだ。固定の状態からそのまま解放された大蛇は目の前にいる対象物にその大きな口を開いた状態で倒れ込む。そして孝樹は飲み込まれた。
「孝樹くん!!」
詩は叫んだ。しかし、近づこうにも孝樹を飲み込んだ大蛇は再びその体を動かすのであった。唸り声を上げる大蛇、なにか様子がおかしい。姿がはっきり見えるようになるとそこに見えたのは孝樹だった。大蛇の口が閉じないように体を張ってこらえていた。
「うおお、誰か…」
孝樹は叫んだ。その声に反応したのは小学生の男の子だった。
「よし!兄ちゃん今助けてやる。最強武神ギガレイヤー、再召喚!!」
神々しい光を放ちながら現れたギガレイヤーは大蛇にまたがると、首を締めて、口をこじ開ける。口の中の空間が広がり、自由になった孝樹は再び砲撃を何度も叩き込んだ。何度も響く爆発音。遂に大蛇は力なく倒れ込むとその姿を跡形もなく消した。
嬉しい顔をする孝樹。しかしこの勝利を一番喜んだのは弥彦だった。
「やった、やった。ギガレイヤーは最強だ!」
思わず前線へと出る弥彦。しかし、忘れてはいけなかったのはもう一体大蛇がいることだった。ギガレイヤーの後ろにいた大蛇は静かに尾を伸ばすと、弥彦へと迫る。気づいたときには遅かった。そのまま弾き飛ばされた弥彦は放物線を描きながら、建物の陰へと姿を消した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「先輩!こっちです!」
真美は先行して光流を探す。真美に当てがあるわけではなかった。しかし、モンスターの攻撃の被害が少ない道を選んで走っている内に手がかりらしきものは見つけた。白い糸と言うか繭のようなものが所々に目がついたのだ。
進めば進むほどその数は増えていく。正体はわからないが中心地に近付いている。そんな緊張を感じながら二人は速度を緩めることなく走り抜けた。足音が建物に反射して響き渡る。
白い糸が地面にまで張り付いている場所に来たとき、そこにある光景は二人の驚きに値するものだった。光流が蜘蛛の巣に引っ掛かった獲物のように繭の中心に貼り付けられていた。光流はぐったりしてピクリとも動かない。
「なにこれ…」
ほのかが漏らした言葉に、真美も思わず唾をのみ込む。しかしそこにいたのは光流だけではなかった。
「よお、人間。こういう予想外の出来事って刺激的だよね。そう思わない?」
悪魔の一人シャドウと一般人が初めて会った瞬間だった。




