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第五章4 『崩壊の始まり④』

町中に響く雄叫びに、異変に気づく人が続々と現れる。


「た、大変だよ!!」


和音は神箜第二学園の生徒会室へとすぐに駆け込んだ。そこにいた純たちも何事かと、やっていた作業を中断して、和音の話へと耳を傾ける。


「町に大きな怪物がたくさん現れたんだよ!」


その様子を見て純は焦った。大きな怪物、という単語から連想できる原因は二次元生物もしくは悪魔の固有スキルによる効果の二つだった。しかし前者にしてはたくさんという単語が引っ掛かる。光流でも二体召喚が限界と言っていたことを考えると、複数犯の可能性が考えられた。逆に後者だとするとすんなり納得もいくが、今のタイミングで行動を起こす目的がわからなかった。どちらにしても純にとっては予定外のイベントである。


「まずい、このままじゃ取り返しのつかないことになる。」


純はすぐに生徒会室を飛び出す。あとからほのかや真美たちも追いかけてきた。純が力の拡散を提案したときにこういうリスクを考えなかった訳ではない。けれども例えイレギュラーな出来事が起きてもこちらの持っている戦力なら対応できると考えたのだ。しかしそれは相手が一人でなおかつ人間だった場合。今回のように相手が多数もしくは力が未知数の悪魔だった場合は別である。純は自分の甘さを痛感した。


「光流はどこにいる?」


純は携帯電話で光流に連絡を取ったが繋がらなかった。不安を残しながら純は急いだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


現場に最初に到着したのは、詩と孝樹だった。後ろには女神の力を持った人たちが並ぶ。


「これって…」


目の前の光景に呆然とする詩。孝樹は状況を瞬時に理解すると、先程戦闘したにも関わらず、再びボーンの力を発動させた。詩もそれをみて先程のように巨大な鎖でモンスターたちを地上に縛り付ける。しかし、上空に舞っているヒッポグリフには届かなかった。少しずつ距離が離れていくヒッポグリフ。


「どうしよう…」


詩の言葉に反応して、飛行でヒッポグリフを追いかける孝樹。しかし、その隣を別の人物が追い越していった。


「僕に任せてよ。あいつらまとめて僕が潰すから。」


大吾だった。大吾は空に放たれたヒッポグリフ三体を追いかけていく。大吾の加勢に少し気が楽になる。しかし、安心してはいられなかった。地上には孝樹たちの近くに大蛇が二体、少し離れたところにケルベロス三体、そしてその向こうにはドラゴンが二体まだ残っていた。しかも先程とは違い、今度は鎖がすぐに壊れそうな様子だった。孝樹は後ろの人たちに、女神の力を発動させるように指示する。それぞれがロボットや動物を模したモンスターなど強そうな物を召喚した。


そして間もなくモンスターを縛っていた鎖は破壊された。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


純たちが現場に到着すると同時に、目の前のドラゴンが縛っていた鎖を壊したところだった。その数二体。その向こうにはまた別のモンスターが見えた。


純は目の前の光景を見て確信した。これらのモンスターは全て光流が以前召喚したもの、つまりこれには光流が絡んでいるのだと。


「連城たちは天野を探してくれ。近くにいるはずだ。」


ほのかと真美は純の指示にしたがって、すぐに動き出した。


「灯月は仲間を呼んでここに集めてくれ。戦闘準備だ!」


和音はボーンを使って仲間に連絡を取る。これだけの騒ぎだったので、既にすぐ近くまで来ている仲間もいた。奏楽もそんな一人だった。そのあとは和音たちは目の前のドラゴンに総攻撃をかけた。


しかし、ドラゴンに手一杯で他のモンスターには手が回らない。そのうちケルベロス三体が別の方向に走り出した。このまま放っておくと、被害が更に大きくなる。ところが、どういうわけかケルベロスは動きを止める。


よく見るとケルベロスの足に植物が絡み付いていた。その植物は段々と伸びていき、ケルベロスの体を包み込む。


「また会うことになるとはな。」


純にそんな声が聞こえた。振り向くとそこには以前会った少年が立っていた。ほのかたちの幼馴染みで守護神の一人、火渡刻である。彼は火の元素融合体でもあった。もちろん彼が現れた意味を純は理解した。


「元素融合体の登場とは、これは頼もしい。」

「勘違いするな。たまたま利害が一致しただけだ。」


彼はそれだけを言うと再び姿を消す。次の瞬間にはケルベロスは炎に包まれていた。


こうして十体のモンスターと、力を持つものたちの戦いが始まった。

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