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第五章3 『崩壊の始まり③』

「あの人たちを止めたいんでしょう?」


葵は詩に迫る。


「私が戦士の力をあげる。私の言うことを聞けとは言わない。見返りはなにも求めない。あなたの自由に使えばいいわ。」


そう言うと葵は携帯電話を取りだし、画面を見せる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


孝樹は飛行で真上に飛ぶ。少し体が痺れて来ているのを感じた。下で体が動かなくなったらそれこそ袋のネズミだ。この戦いは詩のためにも負けるわけにもいかなかった。


「くそっ!」


孝樹はケルベロスや大蛇が届かないくらい高く飛んだあと、砲撃を下に向かって乱射した。ケルベロスの口からも同様に炎弾が出され、空中でぶつかり爆発する。それでも孝樹は攻撃をやめない。大蛇は攻撃を防ぎながら、一方でその尾で地面を鋭く叩きそこを大きく穿つ。その際に生じた破片が孝樹に襲いかかる。反応が遅れた孝樹はその衝撃をもろに受けて、壁に叩きつけられる。そのまま重力に身を任せて落下を始める。


大蛇はそれを逃さずに大きく口を開けて、孝樹を飲み込もうとする。そのとき


「やめてっ!!」


声が響き、突如地面から生えるように現れた巨大な鎖が、大蛇とケルベロスの体に絡み付き、そのまま地面に張り付けられた状態になる。大蛇は恨めしそうに暴れるが、鎖は全くちぎれる様子は見せなかった。そのまま孝樹は地面にぶつかり、変身は解除された。


「誰だ!?」


光流は姿の見えないその人物を探す。部屋の中に足音が響き、その人物は孝樹の側に姿を見せた。江崎詩だった。


「詩、お前どうして?」

「ごめんなさい。でも私にはどうしてもこれが正しいことだとは思えないの。まず力を解除して。話はそれから。」


光流は詩の言ったことに素直に従い、召喚したモンスターを全てもとに戻した。それと同時に鎖も消える。ひとまず安心したような表情を見せる詩。光流の方に一歩ずつ近づいてきた。


「一体どういうこ…」


光流の言葉はそこで途切れる。光流が目を向けた先、そこには銃があった。詩が光流に銃を向けていたのだ。詩もできればこんなことはしたくなかった、そんなことがその震える手から伝わってきた。


「お願い。力関係を対等にして。みんなに女神の力を渡して。」

「落ち着け。銃を下ろせ。」

「言うことを聞くまで下ろさない。」


詩が本当は撃つつもりなどないことは彼女の性格からわかることだった。けれども恐ろしかったのは彼女が誤って撃つ可能性があることだった。下手に刺激したら撃ってしまうかもしれない。かといってこのままの状態を維持しても、同様のことが起こらないとは言い切れない。よって光流のとれる行動はひとつだった。


「わかったよ。言う通りにする。」


光流は詩に銃を突きつけられながら、携帯電話を操作する。しばらくすると、周りの人の携帯電話に女神が転送され、それぞれから声が聞こえてきた。はじめて聞く声に驚く人もいれば、無表情の人もいた。それを確認すると詩は銃を下ろす。


「詩、お前にも転送した方がいいか?」

「私は…いい。もう別の力を持っているから。」


詩はようやく終わったと、ひとつため息をつくと今度は孝樹のところへ戻り、介抱を始める。孝樹も今までの時間である程度回復しており、普通に詩と話をしていた。その様子を見ていられなくなった光流は一人外に出ていくのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「みんな、何もわかっちゃいない!」


光流は一人叫ぶ。光流にしてみれば間違っているのは周りの人間の方だった。けれども理解はされない、そんな辛さを味わっていた。光流はだんだんと孤独になっていった。


「大変だねえ、お兄さん。」


上の方から声がする。見上げるとそこには私服の若者がいた。今風の格好をした、チャラい雰囲気の男。


「何だ。」

「実はお兄さんに耳寄りな情報がありまして。実は僕悪魔なんですよ。」


その言葉を聞き、光流は携帯電話を出し、身構える。しかし男はそれを待っていたかのように左手を上げると、手の先から糸が飛び出す。その糸は、光流の携帯電話を絡めとると、男の手の動きに合わせるように光流の手から離れていった。携帯電話を奪い取られた光流。召喚の装置を失ったため召喚できない。しかしそれだけでは終わらなかった。


「ダメだよ。お兄さんは僕の実験道具になるんだから。」


その悪魔は今度は右手から再び糸を出すと、逃げようとする光流の体へとくっつく。突然動きがとれなくなった自分の体に焦る光流。操り糸、それが悪魔の固有スキル。しかし、そんなことは光流は知らない。悪魔は光流に向かって携帯電話を投げて渡す。光流はそれをキャッチする。けれどもそれは光流が動かして取ったわけではなかった。勝手に体が動いたのだった。


「ぐ…あ…」


光流は必死に体を動かそうとする。けれども体は言うことをきかない。


「イッツ、ショータイム!!」


勝手に操作される携帯電話。そして次々と現れる、モンスター。ドラゴンにヒッポグリフ、大蛇にケルベロス。それも禍々しい姿で、以前よりも巨大で狂暴で何体も。


そして悪夢が、始まった。

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