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第五章2 『崩壊の始まり②』

詩は力を失った携帯電話を見ながら町をぶらぶらと歩いていた。


「私はただみんなと仲良くしたかっただけなのに。」


詩の思いは届かなかった。詩は昔から友達が楽しそうに遊んでいる光景を見るのが好きだった。だから守護神というグループにはいって、他の七人が毎日面白おかしく楽しそうにしているのを見るのが本当に好きだった。もともと詩をメンバーに誘ったのは孝樹だった。それまで一度も話したことがなかったのに、ある日孝樹は一人で遊んでいる詩に声をかけたのだ。正直、詩は嬉しかった。ほかのメンバーも優しくしてくれた。でもそんな日々は長くは続かなかったのだ。


「光流くん、昔はあんなじゃなかったのに…」


詩は呟いた。しばらく歩くと、向こうからある人物が歩いてくる。孝樹だった。孝樹は詩を見ると、近づいて話しかけてきた。


「どうした?元気ないぞ?」


二人はそれから場所を近くのベンチに移して、今までのことを話した。詩の方からは最初の集まりで一人抜けたことや浅海葵という人物のことを、孝樹の方からはお菓子を配ったことや大吾の襲撃でかなりの被害を受けたことを話した。そしてもちろん詩が力を失ったことや光流が作ったシステムのことも。


「そうか…色々話してくれてありがとな。ちょっと俺は行く所があるから、これで。」


話を聞き終えた孝樹はベンチを立ってそう言った。顔は見れなかったからわからなかったが、詩には何だか怒っているように見えた。詩はそのまま孝樹を見送ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「リアライズ!」


部屋の中に声が響く。部屋には光流を中心に数人が、召喚の練習をしていた。もちろん遊びではなく実践に備えてである。


「召喚したモンスターの強さは本人の想像力によって決まる。こうやって事前に練習しておけば、本番では十二分に力を発揮できるようになる。この力の応用の幅は広い。できれば特定のモンスターに偏らずに、色んなものに挑戦することをすすめる。」


光流は全体を見ながら指導をする。その中である一人の小学生に目がついた。他の人が色んなモンスターを召喚しているなかで、一人だけ同じロボットを何度も召喚していた。しかもそれに話しかけたりしている。


「弥彦。お前はさっきから何をしている?」


少年の名前は前島弥彦まえしまやひこと言った。唯一の小学生である。


「へへ、かっこいいだろ。最強武神ギガレイヤーだ。俺はこれを育ててナンバーワンを目指すんだ。だからこうやって名前もつけて、話しかけてるんだ。」

「お前はバカか…」


光流はあきれた。これはただの道具なのだ。操作をしない限り動くことはないし、心を持つこともない。それでも小学生だから、という単純な理由で光流は特に咎めることはしないことにした。


「せいぜい頑張れよ。」


光流はそれだけ言うと、別の場所に移動する。すると入り口付近にいる人が騒がしいことに気付いた。何やら窓から外を見ている。


「おい、人が飛んでるぞ!こっちに向かってくる!」


光流は嫌な予感が頭をよぎった。


「敵襲か!?」


そうこうしているうちに、入り口で爆発がおき、扉が壊される。逃げ惑う部屋の中の人たち。敵のシルエットが見えてくる。そいつは叫んだ。


「天野光流ーッ!!!」


光流はその声に聞き覚えがあった。


「孝樹か!?どうしたんだ、いきなり。何かあった…」

「お前、向いてないからとか言って、詩から力を奪ったそうだな!今から俺と勝負しろ!今度は俺がお前が戦闘に向いてるかどうか判断してやる!勝てなかったらお前も力を捨てろよ!」


孝樹の気迫を感じとり、光流はすこしあとずさる。


「何を言っている?今ここで俺たちが争う意味はない!」

「ある!!負けるのが怖いのか?」


孝樹は一歩ずつ光流の方に近づいてくる。


「おい、お前ら!こいつを止めろ!」


光流の呼び掛けに応じ、周りの人間は、携帯電話をかざす。しかし、次の瞬間その人たちの手から携帯電話が急になくなり、モンスターも消えていく。そしてそれらの携帯電話はすでに孝樹の手の中にあった。高速移動で奪い取ったのだ。


「はやい…」


光流は思わず漏らす。どうすべきか考えている間にも孝樹との距離は少しずつ縮まっていく。覚悟を決めるしかなかった。


「くそっ!リアライズ!!」


光流は二匹のモンスターを召喚する。孝樹の後ろに大蛇、そして前にケルベロス。以前召喚したものよりも、しっかりとしており、一層恐ろしさを感じさせた。


「ヤァーッ!!」


孝樹は飛行を発動させたまま、斬撃を使い、前方のケルベロスを斬り上げる。衝撃で真ん中の頭が後ろがわに反る。そのまま砲撃に切り替えて、左右の頭を攻撃する。この間たったの一秒。孝樹はそのままケルベロスの首を踏み台にして大きく後ろに飛ぶ。そのまま攻撃体制に移るが、ここで大蛇は大きくその口を開き、エネルギー弾を連射してきた。予想外の攻撃に孝樹は防御にうつる。しかし、視界が悪くなったところで、大蛇の尾が後ろから忍び寄る。


「ぐわぁっ!」


締め上げられる孝樹。そのまま地面に、壁に叩きつけられる。何度も、何度も、何度も。ダメージから回復したケルベロスも参戦して、孝樹はケルベロスの放った紫色の炎に包まれる。しかし、燃えているのは大蛇の尾だけでそこにはすでに孝樹の姿はなかった。


孝樹はケルベロスの真下に再び姿を現す。真上のケルベロスの体に右手を挙げて叫ぶ。


砲撃ゼブル!砲撃ゼブル!!砲撃ゼブルーッ!!!」


そのまま攻撃箇所を再び斬撃で斬りつけ、体内に侵入する。ケルベロスの体を突き破り、孝樹が姿を現したときは、すでにケルベロスは力なく倒れこんでいた。孝樹はそれを掴むと今度は大蛇に向かって思いっきり投げつける。大蛇はケルベロスに押し潰される。


これで終わりかと思われたが、そうではなかった。孝樹は左足にチクリと痛みを感じた。左足を見ると、小さな蛇が噛みついていた。毒蛇。そんな単語が孝樹の頭の中をよぎる。斬撃でその蛇を払い除ける。速効性ではなかったが、無害なはずもなかった。


気が付くとケルベロスも大蛇も回復して、起き上がってきている。孝樹は光流の持つ力と戦うのは初めてだったが、想像力で戦える力は厄介だとこのときやっと実感した。


ケルベロスが近づいてくる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


詩は孝樹のあとをつけてきていた。いきなり始まった光流と孝樹の戦闘に驚く詩。けれども無力な詩にできることはなかった。悔しい思いをしながら眺めるしかなかった。その時


「新しい力がほしい?」


あらわれたのは浅海葵だった。

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