表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

パンツは苺派? 縞々派?


「うにゃぁあああああああああああ」


 僕は甲高い叫び声で目が覚めた。

窓の外を見てみると綺麗な夕焼け色をしている。この光景だけでだいぶ寝てしまったことは感じられた。

僕は外の景色から目を離し別の方向を見る。すると、玄関の入り口で朝の少女が尻もちをつきながら目を丸くしていた。

 うん? どうしたんだろう?

 少女は体育座りの足をちょっと崩したような態勢で、細い指をプルプル震えさせながらテーブルの方を指さした。


「だっ、誰なのっ!」


「…………?」


 少女はテーブルを指して叫ぶ。


「だっ、誰なのよ!」


 うん? もしかして後ろに誰かいるのだろうか?

 僕はあまりの彼女に態度に後ろを確認した。


「そ、そ、そ、そこのテーブルの上に乗っているあなたよ! なな、なんで後ろ振り向くの!」


 が、僕の後ろには誰もいなかった。


「なっ、なにか言いなさいよ!」


「…………?」


 本当にどうしたのどろうか? あ、もしかして僕の後ろのテレビと会話をしているのかもしれない。と思ったがテレビは点いていないし、そんなテレビと会話する様な変な子には思えない。

 なんだかずっと黙って見ているのもアホらしく思えてきたので茶化し半分にさっきから思っていたことをつぶやいてみた。


「純白白にリボン……王道か……僕は苺派だけどね」


「え?」


 少女は顔を赤くする。


「きゃぁああああああああ変態ぃい!」


 とたん、少女はあの座った状態から後ずさりをし、手当たり次第僕に物を投げつけてきた。


「ちょっ、危なっ」


 だが、幸運にも僕には一個も当たらず、全て後ろの壁に当たって落ちる。

 い、いきなりどうしたんだ? 何もない所に叫んだと思ったら急に物を投げ出して、もしかしたらそういう感じの痛い子だったのか? いや、でも今朝の感じからそんな子だとは感じられなかった。


「いやっ、いやっ、いやっ!」


少女はどんどん玄関の方へと勝手に追い詰められ、投げる物もなくなって、玄関に置いてあった先の鋭いヒールを手に取った。


「うおおぉぉぉ! それは無理だってええぇぇ!」


 僕は大声で叫び阻止しようとしたが少女はそんなのお構いなく涙目で、全力で踵の部分をフルスイングをした。

 ヒールはヒールの形だと思えないような回転をして、僕に飛んでくる。

 くそっ、やばい。あんなのが僕に当たったたら死んでしまう。絶対に茎が折れて死んでしまう。

 僕は無理だと頭で理解していても反射的に首を曲げて避ける動作をとった。

 すると僕の耳元でシュンッと風を切るような音がして、次の瞬間パコン! と調子のいい音が部屋中に響いた。

僕は恐る恐る後ろを振り向くと壁にヒールの踵の部分が突き刺ささり小さな穴をあけていた。

きっとあと数センチずれていたら僕があんな風になっていたのだろう。

 そう思うと冷や汗が止まらない。そして何よりもあの攻撃を避けたことに驚いた。


「よ……避けた? そ、それともワープ? アサガオの自分が?」


 まだ自分の身に起きた事が信用できず何度も壁を確認してしまう。

 少女を見てみると少女は避けられたことにショックなのか、なにか口をパクパクとさせて言っていた。とにかく物を投げる嵐が止んだので、少女が言っていることに耳を傾ける。


「い、いま、……あなた……なんて……言った?」


 うん? これは僕に言っているのだろうか? いや、でも僕はアサガオのはずだから僕に話しているはずがない。仮に僕だとしても、それこそこの少女は頭の中がお花畑でできている子になってしまう。


「い、いまなんていったのよ!」


 なにを思ったのか、突然少女は尻もちをついた体を持ち上げ、靴箱から新しいヒールを取り出して僕に近寄ってきた。


「うっ……」


 僕は彼女の顔をまじかで見てしまい動揺する。

 少女の顔は、きめ細かく掘られた顔にビー玉見たいな大きな目。そして大人っぽい顔なんだけど少し幼さの残っているあどけない表情。

そう、彼女はいわゆる美少女と呼ばれる属性の女の子だった。

 そんな少女が僕の顔、わずか数センチというところにある。これはこれで、さっきとまた違う汗が出てしまった。


「な、なにか言いなさいよ! もう一度投げるわよ!」


 少女は手に持ったヒールをかかげ僕のことを脅迫してきた。この距離なら絶対に外すことはないだろう。というよりも殴った方が早い気がする。

 僕は無理だとわかっていたが、自分の命が欲しいので必死に言い訳をした。そして最後に、


「な、なにも言っていません!」


 と言った。


「言ったわ! 言わなきゃ本当に刺すわよ?」


 少女は持っていたヒールをさらに大きく振りかぶり、脅迫をしてきた。でも、そんなことをされたって逆に焦ってしまって何一つ思い出せない。ここは一つ深く息を吐いて、冷静に考えてみる。


「あ、わかりました」


「さあ、なに、言ってみなさい!」


 少女はヒールを握ったまま迫ってくる。僕は命が欲しいがためにその時の状況を限りなく表現して言った。


「白にリボン……王道……私はい――たたたたあああああぁぁぁぁいっ!」


 なっ、なんて人だ! 頑張って思い出し、再現までしたのにヒールの踵を僕に押しつけてくるとは。


「違うわ! もっと前! もっと前に言った言葉よ!」


 少女は僕に押しつけたヒールを再度構えて訊いてきた。

 もっと前? 僕はこれと今繰り返した言葉しか言ってないはずだぞ? ってことはもっと前に言った言葉とは今言った言葉を言えばいいのだろうか? きっと聞き取れなかったのかな?

 僕はそう思い、改めて再現して言う。


「白にリボ――ぁぁぁぁああああああああ!」


「もうそれは聞いたわよ! そうじゃなくて、あなたは何者だって訊いているの!」


 なっ、なんて人だ! またヒールを僕に刺してくるとは。しかも同じ場所を強く。

僕の周りを見てみると蛍光色をした緑の液体が流れていた。

そんな理不尽な少女に対して当たり前の様な答えを叫ぶ。


「見てわかるでしょ! 僕はアサガオですよ! アサガオなんだからもっと大事に扱ってください!」


「ちょっとなに怒ってんのよ! 私の知っているアサガオはこんなんじゃない!」


「そりゃ怒りますよ! 二度もヒールで刺されたんだから。それになに言っているんですか! どっからどう見ても朝顔でしょう! 見てくださいよ、あなたに刺されたせいで葉緑体が出ているでしょう」


 そう、この蛍光色をした緑色の液体は僕から出た葉緑体だ。葉緑体からは昔懐かしい原っぱの匂いがしてくる。


「うわ、気持ちわるい。何それ。じゃあなぜあなたは人間の私と今こうやって会話できているのよ」


 気持ちが悪いって……加害者側がよくそんなことを言えたもんだ。人に怪我を負わせといて心配するどころか罵倒するなんてこんなに可愛い顔をしていて意外と悪い人なんじゃないのだろうか。

だが言われて見るとそうだ。さっきから僕は彼女としっかり会話をしている。けれど、しつこいだろうが僕はアサガオだ。しかもそれは今朝も確認した。だからこうやって会話ができているとしたら理由は一つ。


「それは、あなたが植物と同じレベルだからじゃな――ああぁぁいいぃ!」


 本日三度目のヒールの刑。もう右の太ももからは葉緑体がどくどくと出ていた。こんなに葉緑体がなくなってしまうと先光合成ができなくなってしまう。


ゆうちゅうぶの方もよろしくね^^

今日も動画更新したから^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ