胸はA<AAが小さいのだ。
ユウチュウブもよろしくね^^
それから僕達は着替えて、咲さんは白のワンピースに僕はこのまえ、咲さんが急に買ってきた無地のTシャツに半ズボンとすごくラフな格好で家から電車で一時間かけてでっかいデパートへと来ていた。
こういう時に田舎というのは困るものである。近くの店はお昼だっていうのにシャッターが閉まっているから、入れないし、入れても品ぞろえが悪い。でも、僕としては初めての電車は楽しかったです。
「えーとなになに、ららぽーと?」
僕は大空に大きく掲げてある緑の英語を読み上げる。
「そうよ、ららぽーとなら大抵の物は揃っているでしょう。それじゃあ人が多いから離れないで歩くのよ?」
と言われても、咲さんがべったりくっついているから歩きづらいんですが……。
やっぱりここはさすがに行き慣れていない場所だったか、咲さんは僕にすがるようにくっついて家で買う物でもメモっといたのであろう。小さな紙に細々と書かれた字を見ながら決して離れないように、でも前に進めるスピードで店内へと入って行く。
「うおぉぉぉぉぉぉ! すげぇぇぇぇぇぇ!」
一歩店内に入った瞬間、歓喜の声を上げてしまった。
よく考えたら僕、お店に来ること自体そうそうなくて、お店というものをあまりしっかりと把握していなかった。
僕から見える範囲だけで、靴屋、本屋、CDショップ、中華料理店、寿司屋、クレープ屋、下着屋、服屋と他にも色とりどりの看板が見え、僕の好奇心をくすぐる。
その中でも一番の好奇心をくすぐったのは入り口から入ってすぐ右のガラスで店内が造られている石屋さんだった。
「うぉー! なにこれ、すごいピカピカに光ってる! ツルツルもしているし、ああ、感動しました。咲さんこれ見てくださーい。って咲さん?」
後ろを振り向くとなぜか咲さんは通路の真ん中で固まっていた。もしかしてここでも恥ずかしがり屋がでてしまったのだろうか? だとしたら普段どうやって道中を歩いているんだ? 田舎で人少ないから大丈夫なのか?
一気にたくさんの疑問が浮かんできたが、とりあえず青いつるピカリとした石を置いて、通行人の邪魔にならないうちに咲さんの回収へ向かう。
咲さんの前までくると、まるでS極に引き寄せられるМ極かのように僕に引き寄せられ、これでもかってぐらいに腕にしがみついてきた。
「朝顔のバカ……、すごく怖かったんだからね……」
咲さんは上目づかいで眼を閏わせながら言う。
どうやらやっぱり恥ずかしがり屋が表にでてきてしまったらしい。まさか、ここまでとは思ってもみなかった。これからはもう少し注意しなくては。
「ごめんなさい、それじゃああの石を見に行きましょうよ」
なんだ、なんだといった感じで周りの人が通り際に見てくるので、とりあえず咲さんの頭を撫でて落ち着いたところで石屋さんに足を運ぼうとするが、
「石なんてオフ会に必要ないわよ、それよりまずは新しい下着買いに行きましょう」
と、止められてここから見える二階の下着屋さんに行くはめになった。
ああ、僕の石……きっとあの石を裏庭いっぱいに敷き詰めたらお昼、太陽の光とかが反射して綺麗なんだろうな……それにしても咲さん泣き止むの早いし。
そんなこんなで、二階へやってくると一階からでは見えなかった、赤ちゃんの洋服店やペットショップが眼に入った。
正直言うが、僕はペット関係全般的に苦手だ。昔、笹木さんが怖い話をしてくれたのだがその時よく、犬がお花を食べちゃう話をしてきて、それ以降動物ってのが全般的に怖くなってしまった。
「ねえねえ、朝顔。これなんてどうかしら?」
下着店の前までくると咲さんは手を離し、通路側に並べられていた白の下着を手に持って胸の前に当ててきた。
「うーん、どうもこうも、別にお泊りじゃないから新しい下着必要ないんじゃないですか? それに周りにお客さんいるんですから、あまりそういの男の僕に聞かないで下さいよ」
周りの女性は軽蔑するような視線、男性は羨ましそうな視線が僕のことをズキズキとさしていた。
咲さんもそのことに気付いたのか、少し声を控えて僕に反抗してくる。
「なにいってんのよー、初めてのオフ会且つ友達ができるかもしれないのよ? 新しい下着を買っていて損はないの」
「はぁーそうですか、勝負下着ってやつですか?」
「まあ、そんなもんね」
そう言うと咲さんは白の下着を元に戻して、僕を引っ張りながら店内へと入って行く。
店内は、思った以上に広く、色とりどりのバリエーションが備わっており、上下セットのやつ、単体のやつ、緑と白の縞々のやつなどが置いてあった。
僕はなんとなく『店長のお気におススメコーナー』とポップな文字で書かれた場所から緑と白の上下セットストライプを手にとりそっぽを向いている咲さんに合わせる。
うん、これ咲さんにすごく似合っている。よく深夜アニメとかで出てくるあれだな。咲さんにも萌えを感じるぞ。
次にストライプを元に戻して、黒のブラに黒アゲハ蝶がデザインされたちょっと悪い大人ですよ、的な下着を咲さんに合わせてみる。
う~ん、これはイマイチ……、どっちかって言うと咲さんは黒より白って感じだもんな。
「朝顔、一体あなた何やってんのよ? さっきから」
と、白の下着を持った瞬間、咲さんがジトーッとした眼で僕のことを見つめているのに気づいた。
「あ、いや、えーと、店長のおススメって書いてあるからどれほどのものかなーって」
「それ、わたしに当てる必要ある?」
「……ないです」
「……そう」
「……でも可愛かったですよ?」
「……そう?」
咲さんほんと表情に出やすいなぁ。
そう言うと咲さんは僕がさっきまで持っていたストライプ型の下着を手に持ち自分に当てる。
「どう? 似合ってる?」
「似合ってますよ。それさっき僕も持ったんですけど一番咲さんにお似合いでした」
「そう? それじゃあ下着はこれにしよう」
そう言うと何故か咲さんは僕に緑と白のストライプを渡してほほ笑む。
うん? どういうことだ? これを僕に一体どうしようと言うのだ?
「ほら、早くお会計行きましょう」
「え、ああ、はい」
わけもわからないまま、お会計コーナーに向かわせられると、例の如く咲さんは僕の背中に隠れて店員さんからはまるで、僕が女性物の下着を買うかのようになった。
(さ、咲さん、なんですかこれ! どんな羞恥プレイですか!)
眼の前のポニーテールをした女性店員の顔が引きつっているのが見てわかる。
僕はなるべく怪しまれないように声を小さくして背後に隠れる咲さんを怒鳴り散らす。
(……なにって、わたし慣れてないところじゃ、買えないもの……)
そんな咲さんの声が後ろから微かにだが聞こえる。
(なら、近場で買えばよかったじゃないですか、これじゃ僕が変態みたいです)
(近場可愛いのないし……、いいから買ってよ!)
なんて理不尽な……。
「お、お客様? えーと、か、彼女へのプレゼントですか?」
店員さんの眼だけが笑って、僕に訊いてくる。
(違いますって言いなさい! きっとラッピングとかされちゃうから、あれ、かえってゴミになるのよ)
またもや後ろからなにか言いだしてくる咲。
(無理ですよ! それじゃあまるで僕が着用するみたいじゃないですか!)
(いいから言いいなさいっ!)
とその声と同時に僕肩甲骨に強烈な一発が叩きこまれた。
「そ、その僕のです」
「あ、はいぃ! そ、それじゃあ二千九百円になりますっ」
そう言うと店員さんは驚いたかのように目を丸くして、急いで下着を『М・R・Y』と書かれた袋に入れだした。
(な、なに、自分のとか言ってるのよ! それじゃあ本当の変態さんじゃない!)
(さ、咲さんが急に殴るから、テンパちゃって……)
背後からシャッと三千が出てきて、銀色のお皿の上に置かれる。それを店員さんは震えながら取ると、
「え、えと、三千円からですね? お、お釣りのひ、百円でございますっ」
と言って五百円玉と下着の入った袋を僕に渡した。
ああ、もう二度とここへは来れないだろう。最悪だ……。
お店を出る前に店員さんの姿を最後に見てみると、鼻を赤くして涙眼ながら接客をしていた。きっと彼女にもトラウマとなったことだろう。
「うん、よくやったわ、朝顔。それじゃあ、次行くわよ」
お店を出ると、咲さんは僕の後ろから現れ、何事もなかったかのように腕を組んでニッコニコしなが
ら先導しだす。
人事だと思って……だから買い物に誘ってきたのか……。
もう僕の精神力は一に近かった。