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彼女とお菓子と不機嫌な彼2

グエンダルがでてきません汗;



「な、何故だ…!」




グエンダル大好き人間ことキーナは絶賛打ちひしがれ中であった。



焼いても焼いても…


出来上がるのは物体Xでなのだ。




キーナが作ったマーラの試食のせいで今や食堂に居るのは本人とシェリーだけである。



ちなみにドーハは物体Xにより医務室だ。




「もう無理ー!」


頭を押さえてブンブン振る。



「落ち着きなさい。ほら、唯一マーラの様な形のモノを包んであげたから。」


「う…ぐすっ、シェリーさんが味見して下さいよぅ。」


「…貴女私にこの生命を危険に晒す物体を食させる気?」

すぅ、とシェリーの目が細くなる。



「い、いえ!滅相もございません!!今日はありがとうごさまいましたッ!!!」


やっぱりグエンさん少し似てるよ…。



「大丈夫よ。練習すればちゃんとソレっぽいものが出来るわ。さ、もう遅いし宿舎に戻りましょう。」


「はい。」










宿舎に戻る途中、王宮と宿舎の渡り廊下をキーナは歩いていた。


シェリーとは棟が異なるため一人である。




あーぁ…。グエンさんにちゃんとあげられるかな。

ビックリするくらい美味いマーラを作れたら…。



『おぉ!なんて美味なマーラだ!!キーナ、貴様は家庭的な女性なんだな。毎日でもこのマーラを食べたい。…私と結婚しよう。』



なぁんてグヘヘ。



グエンダルがその場に居たら虫を見るような目付きで気色が悪いと言うだろう。



唯一グエンダルがキーナを貴様呼ばわりしている所は現実味がある。



妄想でニヤニヤしながら歩く自称乙女。





「何か良いことでもありました?」


「わっしょいッ!!!」



急に声を掛けられて驚きに体がジャンプする。




「ぷ、あはは!ごめん、そんなに驚かせるとは思わなくて。」


振り返った所に居たのは近衛兵である。



近衛兵は国家騎士団の騎士とは異なり、前者は門番や城の外の見回り。後者は王族護衛や城の中の見回りを行っている。




どちらも軍服の様な物を着ているが、国家騎士団は黒に近いな濃い青で、近衛兵は白である。




キーナの目の前に居る青年は白い軍服を着ている。






赤毛のツンツンした短い髪に、おなじ緑でもグエンダルよりも優しい萌木色の瞳


ふっくらとした唇に男らしい骨格


浅黒い肌が月に照らされた姿は美形慣れしたキーナには平凡に映った。(実はアレンもかなりのイケメンなのであった)




「あ、貴方は?」


まだ心臓がドクドク言っている。お菓子を落とさなくて良かった。




「俺は近衛兵のリムル・ダンシー。貴女はキーナ・スーミヤだろう。」


何で私の名前?



「貴女はこの王宮では有名だからね。それに黒髪黒目はここでは貴女だけだ。」




疑問が顔に出ていたのだろう。リムルは可笑しそうに笑っている。




「名前知ってるので、てっきり私のファンかと。」



「はは、ファンだよ。」


ニッコリ。






ぬ、わぁああ!どちらかと言えば平凡なんて思ってスミマセンンン!!


何て言うか、い、色気がっ!

たれ目から色気が出てる!



「この時間は一人で出歩くには遅すぎます。棟まで送りますよ。」


「い、いぇいぇ、お気になさらず!ばびゅんと言ってしゃかっと部屋に入りますんでそれじゃぁッ!」




なんか恥ずかしい!


本人は気づいていないが普段女性として扱ってもらえていないため、逆に女性扱いされると恥ずかしいのだ。



ビシッと敬礼し踵を返す。



「え、あ!ちょっとまっ「ひでぶっ!!」…………。」






コケた。

顔面から。



「ひ、ひたい…っ。」


タラリ。




「…ぷ、あははははッ!!!」


「へ?いや、え?笑うところでふか?」


「ごめ、…っさすが、あの死神を翻弄するだけある。」



死神?



「ああ、鼻血が出てるよ。このハンカチ使って。」


「いや大丈夫です!私なんかに勿体無い!!」


「はは、いいから。それとやっぱり送りますよ。」



転んだ所を見られて鼻血も垂れてハンカチ貸してもらって…


これ以上は今更ながら恥ずかしすぎる!



「いや、ほんとーにっ!大丈夫なんで。」


「なら、その持っているお菓子を僕に分けてくれないかな?」


「え、でもこれは私が作った物体Xで…。」


「手作りならなおの事。…お嬢さんを送り届けさせて下さい?」



それとも嫌かな…

呟き少し目を伏せる。



「う…ぉ、くっ、無駄な色気マシーンめ。」


「ん?」



キーナの独り言に小首を傾げる。その仕草も可愛い。




「いーぇ。ではお願いしてもいいですかね。」


「ふふ、喜んで。」







じゃぁ行こう、と言われ歩き出したはいいが気になる事が1つ。




……なんだこの手はよぉおお!!え、なんで繋いじゃってんの?ちょ。初対面。分かってんのこの人!…………て、ああ。きっとまだ成人していない子供だと思われるんだな。うん。なら仕方ない。




この国では成人は15歳だが、キーナはその年をとっくに過ぎているものの、童顔のせいか11、12歳よく見られるのだ。


いつものパターンと納得し、放っておこうと決意。



これを誰かに見られれば面倒だが周りは誰一人も居ないから大丈夫だろう。





「キーナちゃんはあのグエンダル・ハズウェル隊長と仲がいいらしいよね。」


「へへ、相思相愛なんで。」

嘘である。


そしていかにグエンダルが素敵であるか繋がれていない方の手を振りながら興奮気味に説明をしやる。






「ってな感じでホントは優しいんですぅ~!」


「はは。本当に好いてるんだね。……………でも気を付けた方がいい。」


「え?」


「入口に着いたよ、お嬢さん。」


「あ、本当だ。あの、じゃぁありがとうございました!」


「いえいえ、キーナちゃんと話が出来て楽しかったよ。」


「私もです!これ、物体Xですがどうぞお受け取りくだせぇ。」


「ふ、くだせぇって。ありがとう。機会があればまたお菓子でも恵んでよ。甘党だからさ。」


「りょーかいです。」



…そうだ。シェリーはもちろん、厨房の人も侍女の皆も既に物体Xの餌食になったから明日からは試食してくれないだろう。ならば。




「あの!明日と明後日もマーラ作りの練習するんです!…良ければ試食して貰えませんか?」


「あ、これマーラだったんd…ごほっ。うん、僕で良かったら。」


「おい。そこまで言ったら何言おうとしたかバレバレだわ。どーせ料理下手ですよーッ!」


「ごめんごめん、でも本当楽しみにしてるよ。…じゃ、もう行かなくちゃ。」


「むー。絶対美味しく作れるようなりますから。」


「ふふ、頑張って。おやすみ。」




サラリ。

キーナの髪に指を通し耳を掠めて離れる。



「おぉ、…やすみなさい…。」




うわ、ちょっとドキッとしたぞ。



いやいや!ほぉーりんらぶはグエンさんだけども!やっぱり年頃なんで私もね!



2日。あと2日我慢すればグエンダルに会える。




それを考えるとさっきのドキドキなど彼方に忘れてしまう。




「そう言えば、気を付けろとか言ってたっけ…?何なんだろ。」




リムルさん…不思議な人だな。




なんて考えていた為また顔面から転んだキーナを見ていたのは


空に浮かぶ月だけ。



話が進まないー


グエンダルがまだ帰って来ないー


わーん

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