彼女とお菓子と不機嫌な彼1
ぶ、文章力が…orz
「グエンさん好きッ!!!」
「きゃ!どうしたのよキーナ。私はハズウェル様ではないわよ。」
「ぅう…グエンさん不足なんだよぅ…ぬぁーあの冷めた瞳で見つめられたいーそんでウハウハゲヘへしたいぃー。」
「…まぁ、視察に行っているんだもの。それにあと3日でしょ。」
「そうだけど。と言うかボケをスルーされると寂しいんですけど…。」
「あぁ、キーナはいつも気持ち悪いから本気で言っているのかと思ったわ。」
「シェリーさん酷い!!本気で言った事だけども!」
王宮の数えきれない程の窓を侍女仲間と拭きつつ、キーナはグエンダル不足に悶えていた。
グエンダルとアレンが隣国であるカルト国に視察に行ったのは5日前。
隣であるからそこまで長い間居ないと言う訳ではないが…
離れて1分でグエンダルに再び会いに行くキーナにとって8日とは地獄の様なものだった。
「しかもしかも!その国のお姫様って凄くお綺麗なんでしょ?うぅ…お姫様が綺麗さを武器にグエンさんに迫ったりしたらどうしよ…。」
「別にあの方は顔の良し悪しで人は選ばないわよ。」
「くっ、美人には私の気持ちは分かりませんーだ!」
キーナが言う通りシェリーは美しい娘であった。
輝くブロンドの髪、海のような青い大きな瞳、白い頬はうすピンクに色づき長い睫毛はそこに影を落としている。
唇は瑞々しく潤っており、メイド服に包まれている豊満な胸は女のキーナでさえ目のやり処に困る程である。
「せめて私の胸がもう少し大きければなぁ…。」
「あら、こんな物あっても何の役にも立たないわよ。キーナくらいスッキリしていると華奢に見えていいと思うけど。」
「ありがとうござい…あれ?」
「でも心配は無用よ。隣国の姫様はハズウェル様の名前を聞くだけで気絶してしまうらしいから。」
「………なぜ。」
グエンダルの名前を聞くだけで気絶してしまう美姫…
未だにトラウマは健在だ。
「さ!そろそろ昼の時間ね。食堂に行きましょう。」
食事の後は階段掃除よ、
そう言う侍女先輩をどことなくグエンさんに似てるなぁと思いつつシェリーの後を追う。
「はぁ…グエンさんに会いたいな。」
キーナの呟きは空気へと消えていった。
++++++
「ご馳走沙汰です!ドーハさんのご飯は美味しすぎます~っ。」
「ガハハ!いやぁキーナちゃんくれぇ綺麗に食ってくれるとこっちも作り甲斐があるわ!」
離れにある食堂は下働きや国家騎士団ではない衛兵などが食事を取る場所であり、料理長のドーハは食いっぷりの良いキーナをとても気に入っている。
なにせ衛兵のメニューをペロリと平らげてしまうのだから見ていて気持ちが良い。
「そうだキーナ、これあげるわ。」
「?…あ!マーラだ!!!」
マーラとは子供や女性に人気のカステラの様な焼き菓子で、この国のお土産に良く買われている。
「私の手作りよ。今城下の女性の中で手作りのマーラをあげるのが流行っているの。」
「ありがとうございます~!城下はあまり行かないから疎いんですよね。」
「ラッピングのリボンが黄色でしょ?黄色は“友達”ピンクは“恋人”赤は“片想いの人”青は“知り合い”。」
「…あ、黄色のリボン。」
ちら、とシェリーを見ると優しく微笑んでいた。
「階段掃除も頑張りましょう。」
「へへ、…はいっ!」
嬉い!シェリーさん可愛すぎる。お嫁に欲しいなぁ…あぁ、グエンさんに会いたい。…あ、
「シェリーさん、あの、マーラの作り方…教えて下さい!」
「いいけど…ハズウェル様に渡すのね?」
「そうですけどニヤニヤしないで下さいよぅ。」
「ふふ、いいわよ。」
と言っても料理が壊滅的な腕前であり食べる専門のキーナ。
以前のお茶会で陛下とグエンダルに紅茶を入れ、それを飲んだ二人は口を押さえて青くなっていた。
ただお湯を入れるだけなんだけどなぁ…何でだろ。
紅茶すら物体Xにしてしまうキーナ。
グエンダルが帰って来るまで後3日。何とか物体Xでなく完成形マーラとしてグエンダルにあげたい。
「ドーハさんに食堂を借りて、仕事終わったら早速今日から練習しましょう。」
「はいっ。」
グエンさん、上手くできたら食べてくれるかな?
会いたいな、グエンさん。
私、物体Xにしないよう頑張りますから!
グエンダルに渡した時の想像をしつつ、残りの仕事に取りかかるのであった。
ブルッ!
「…っ?!」
「どうしたグエン?」
「…いや、何か良くない気配が…。」
「風邪か~?ま、あと3日だからな。」
「…(なぜか帰りたくないぞ。)」