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彼女とは

会話文はほぼありません!



ルディースル国



強大な軍事力・多彩なる文化・豊富な資源・巨大な国庫を兼ね備えるこの国はゼラウム大陸の約半分を有し


他国から恐れられ、崇められている大国である。




そのような大国の王宮に出入りできると言うのは例え洗濯娘としてでも名誉な事。




この王宮で働く為に必要なものは家柄などではない。全てはその者自身の能力次第。




その為、例え貴族の娘であろうとも能力が無ければ庶民の娘を王宮侍女として仕えさせる。





自分と言う人間に莫大な箔が付き、まして国家騎士団のエリートや王族に見初められればそれこそこの国の要に近づいたと言うもの。



ある者は自らが王宮に近付くため、またある者は親族を近付けさせるため。


どんな手段を使うを事も厭わない。



そんな人間達の策略や欲望が汚く渦巻く場所……





…なぁんて事は我関せず。


今日も今日とてグエンダルに愛を叫ぶのは、王宮侍女見習いのキーナ・スーミヤである。




「グエンさん大好き!!」ってあれ、もう既に口癖じゃね?と周りが思うほどグエンダルに付きまとう彼女は、



肩辺りで揃えられた黒い髪、大きな黒い瞳、小さな鼻と象牙色の肌。


特別美人と言う容姿な訳ではないがコロコロ変わる表情や仕草は小動物のような可愛らしさを持っている。



そんな彼女がこの王宮にやって来たのは約1年前。


当時、ある他国で巨大な魔力が感知された為、国王陛下であるギルヘルム・リーグル・サン・ルディースルが自ら他国に視察へと行った際そこで保護したのが彼女だった。




なんでも、視察から帰る途中に盗賊に襲われている所をギルヘルムが助け、名前以外を覚えていないキーナを捨て置けず、共に連れてきたらしい。




巨大な魔力の原因は不明であったが、代わりに陛下と城に戻って来たキーナに臣下達は当然の如く困惑を示した。


何処の誰かも素性も知れぬ娘を城に置く事を「だってもう拾ってきちゃったもん」で済ませる国王陛下(御歳56才)




当時は戸惑い怪しんでいた城の者も顔や身体中に大きな痣を付け、怯えているキーナに同情し侍女の作法と仕事を教えたのであった。





ずっと彼女を警戒していた国家騎士団も間者にしては間抜け過ぎるキーナに警戒を解いた。



例え間者であったとしてもただ小娘一人。


物騒であるが、いつでも消せるであろう。


と、今では逆に癒し的存在にもなっている。(グエンダルとのやり取りや元気さが。)





彼らの中では彼女がグエンダルに惚れた事とグエンダルの絶対零度の(寧ろマイナス)視線を受けても失神する所か頬を染めるキーナの反応は国家騎士団七不思議となっている。





また、城の侍女達も貶されても貶されてもグエンダルに尻尾を振り続けるキーナにいじらしさを感じ、実は密かに、キーナを応援し隊が作られていることを本人は知らない。


ちなみに隊長は侍女長である。





拾い主である国王陛下には月に一度茶会へ呼ばれ、孫の如く可愛がられているキーナ。付き合わされるグエンダル。




意図せず外堀から埋めていくと言う天然悪女である。





今や皆から好かれるキーナ。(キーナを利用しようとする者が次々消えているのを彼女は知らない)




彼女は今日も青空の下グエンダルに愛を叫ぶのであった。




「グエンさん大す…アベシッ!!!」


「寄るな。転けるな。息をするな。」




……顔面スライディングと愛しい人の毒舌と共に。






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