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闇の独白
泣いている。
小さな声で、ただ堪える様に。
身も裂けるような叫びの様に。
ああ、嗚呼
憐れなヒト。
ああ、嗚呼
あれはあの子だ。
あの子は夜寝られない程に怖くて、吐いてる嘘の罪悪感で息も出来ないんだ。
僕は憎しみで夜寝られなくて、怒りで息も出来ないんだ。
僕には憎しみや怒りしかなくて、あの子には悲しみや恐れしかない。
だからこそあの子はあの子で僕は僕。
嘘つきで臆病者なあの子
だけど、そう、決めたんだ。
『私は貴様を信用などしない。何かすれば斬り捨てる。』
ありがとう。
あの子を信じてくれなくてありがとう。
それがあの子の救いだから。
あの子に居場所をくれた彼等のために、騙し続けている彼等のために。
だからもう一度
それで最後
狡くて汚い僕
さぁ、共に手を伸ばそう。
(だって僕は…だから)