第六十六話「辺境の少年」
大陸の中央に広がる中央平原。ここには最大の人口を有する中央市街がある。
現在は、ドレッド・ノートの壊滅作戦により多少の混乱を見せているが、それもじきに終息するだろう。
そこから北へ行くと、王都グラン・アビィリアがある。
今の時代、この世界は王都が中心となっているといっても過言ではない。
中央市街から東には広大な面積を持つ大国『ワイルクレセント国』があるが、こちらは複数の国からなる連合国であり、それぞれの国力が少ないため統合することとなった経緯がある。
つまり、王都を凌ぐほどの力を持っていない。
ワイルクレセント国は、王都と古都ノーティスとの大戦に参加し、その後は王都と同盟を結んでいる。同盟国として王都からは食糧支援などを受け、ワイルクレセント側からは兵役として人員を提供するという条件になっている。
ワイルクレセントには貧しい街や地区もある。
それに加えて、戦争で親を失った孤児も多い。
何かと不安定な地域があるというのが現状である。
そのワイルクレセント国の東の先、海に面する港町ハーバーサイドもまた、貧しい町だ。
毎日、王都からワイルクレセント国に送られた食糧支援物資が貨物車に載せられてハーバーサイドに届けられる。
馬が引く貨物車は、荷台いっぱいに果物や加工肉が載せられ、それらは各家庭に支給されることになっている。
ワイルクレセント地方特有の、背の低い草がまばらに生える平原を抜けて山がそびえる地域を抜けると、ようやくハーバーサイドにたどり着く。
ここはかつて漁業で栄えた町で、昔は豊富な水産資源があったが、今は不漁に悩み、漁師の人口も減りどこか寂れた雰囲気が漂っていた。
貨物車は海風で錆びついた家々の間を抜けて、中心部にある町役場に貨物を届ける。
「おー。お疲れ様でした」
貨物車から降りた配送の兵士を労ったのは、ハーバーサイドの町役場に務める見回り兵のダンだ。
初老の兵は茶色の鎧に日焼けした顔で、貨物を受け取った。
荷をおろした、馬車を従えた貨物車の兵士が帰ると、ダンは早速役場から他の兵士を呼んで荷物を配りに行く準備を始める。
その頭上、街路樹の幹の上に、一人の青年が腰掛けていた。
「へーぇ、今日はりんごか……」
頭に青いバンダナを巻いた青年は、下の兵士達に気付かれないように木から飛び降りると、足音を立てずに荷物の影に隠れた。
頭を下げたまま手探りで荷物をあさる。
まん丸でハリのある果物をひとつかみし取り出す。
赤く輝くりんごをそのままひとかじりし味を確かめると、荷物を箱ごと持ち上げ、そそくさとその場を退散した。
誰にも気付かれずに立ち去ろうとした時、
「まーた貴様か! シャンクス・ロッド!」
見回り兵のダンが、仇敵のようにその名を叫ぶ。
見つかったバンダナの青年は、しかし余裕の笑みを浮かべて、「はははっ、今日こそは捕まえてみな!」と挑発すると、一目散に逃げ出した。
その後ろを猛牛のように追いかけるダン。
けれど他の兵士たちは苦笑しながら荷捌きを始める。
***
「さーて、どうすっかな」
シャンクスは両手でりんごの箱を抱え、足だけを使って器用に民家の屋根の上に上がり、後ろからダンが追いかけてくるのを見ながら走った。
港町ハーバーサイドは灯台以外に背の高い建物はなく、屋根も平べったいのでシャンクスは悠々と駆け抜ける。
その後ろを必死の形相でよじあがってきたダンが大騒ぎしながら追いかける。
「今日こそはこの手でひっ捕まえて、お仕置き部屋にぶち込んでやる!」
お仕置き部屋とはいわゆる牢屋なのだが、リンゴ泥棒程度では、ただのコソドロなので反省文を一晩中書くと出してくれる。
しかし、ダンはこれまで一度もシャンクスを捕まえたことはなかった。
「おっちゃんももう歳なんだからよー。体に気を付けてお嫁さんでももらったらどうなんだー?」
シャンクスは冗談交じりに言うと、「実家の両親と同じことをいうなー!」と、更に沸点を上げてダンは追いすがる。
シャンクスは身を宙に投げだし、華麗にジャンプすると、屋根の上から降りた。
その後を転がり落ちるようにダンが続く。シャンクスは民家の間を走りぬけ、角を曲がった。
その角にダンも飛び込む。
しかし、ダンの額に強い衝撃が走り、視界が暗転し気を失うように倒れた。
「あららー……痛そう」
シャンクスは民家から横の通路に張り出した煙突の下にしゃがみこんで、意識を失ったダンを眺めた。彼は頭からこの煙突に激突してしまったのだった。
「じゃ、俺はこれで。さようなら~」
シャンクスは気を失っているダンにそう言い残すと、ゆったりと歩いてその場を後にした。
***
港の横には、高くそびえる灯台がある。
もう漁に出る船はいないというのに、夜になると決まって明かりを灯す。
その足元に、白色の一軒家がある。
他の家々と比べるとやや大きいこの一軒家は、ただの民家ではない。
軒先の看板に『あいのいえ』と書かれており、中からは子どもたちの賑やかな声が聞こえる。
この『あいのいえ』は、このハーバーサイド唯一の孤児を預かる施設である。
初めは老夫婦が個人的に始めたものを、後に町で支援する形になった。
貧しいこの町には十分な支援を出すことが出来ないが、周囲の厚意などもあり、なんとかやりくりしていた。
「おーい、今日のお手柄はりんごだぞー」
シャンクスは足で乱暴にドアを開けると、中の子どもたちは大歓声で迎え入れた。
じゃれつくような子どもたちに苦笑しながらも、シャンクスは盗んできたりんごを配り始める。
子供達はだいたい十歳前後で、両親をなくしている子もいれば、親が働きに出ている間だけお世話になっているものもいた。
「おかえりー。大丈夫だった?」
エプロンをした、子どもたちよりも少し年上の少女がシャンクスを出迎えた。
「おう、エリッサ。ダンのおっちゃん頭打ってたけど平気かなぁ」
シャンクスは箱を子どもたちに明け渡すと、リビングを横切ってテラスのドアを開けて外に出た。エプロンの少女もその後に続き、二人並んで海が見えるテラスに腰掛けた。
この少女、エリッサはシャンクスの幼なじみで、この『あいのいえ』で知り合った。
当時、両親を失い身寄りがなかったシャンクスはここに預けられ、孤独に暮らしていた。
その一方エリッサは王都に本社を構える商社の娘で、裕福なお嬢様だった。
彼女は父の故郷であるこのハーバーサイドでのんびりと暮らしていた。
エリッサは昔からこの孤児院に出入りしていた。
自分の恵まれた境遇を逆に負い目に感じ、何か手助けをしたいと思ったことがきっかけだ。
今でもボランティアスタッフとして無償で働いている。
シャンクスは昔から人の物を盗み、町全体から嫌われたはじき者だった。
だが、エリッサに説教をされ、今では孤児のためにしか盗まなくなった。
「まったく……配給がもっとあればこんなことしなくてもいいんだけどね」
エリッサは頭を抱えるようにぼやいた。
この町の主な食料は王都からの配給なのだが、それは戸数に応じてしか配られない。
つまり家の数ごとにカウントされるため、ここのように一つの家に沢山の人間が住んでいると食料が足りなくなってしまう。
そのことは町長も頭を悩ませていたが、とはいえ町長が勝手に配給を変えるわけにもいかなかった。
シャンクスが盗むようになってからは、減った荷物を”仕方なく”という体でほかの荷物から少しずつ分けてもらい補っている。
しかし、このことに不平を言う町民はほとんどいない。
「俺もいつまでもここでコソドロやってるわけにもいかないしなぁ」
シャンクスはやや日が傾き始めた海に浮かぶ太陽を眺めていった。
その横顔はどこか切ない、哀愁を含むものだった。
仕事がないこの田舎町では、若者が稼ぐ場所などない。
若い人たちはすべて王都やワイルクレセントの本国へ行ってしまった。
エリッサはその横顔をちらりと盗み見て、唇を尖らせた。
「じゃあさ、うちのパパの会社で働けばいいじゃん」
もう何度も提案したが、彼は首を縦に振ろうとしなかった。
「バーカ、盗人なんて商人の敵だろ。そんな奴雇ってるってわかったら信用ガタ落ちだっつーの」
「でもアンタはもう盗人じゃなくても……」
正直、もうシャンクスのことを悪く言う町人はいない。
あの見回り兵のダンでさえも、盗みという行為をとがめようとするものの、彼自身の人間性はあまり気にしていない。
「俺は昔から盗むことしか能がなかったしさ。あんまりエリッサの親父さんにも迷惑かけられないしな」
そう言って聞かないシャンクスに対し、エリッサは目をそらしてぼそぼそとつぶやく。
夕焼けのせいか、頬が赤く見える。
「そ、それじゃあ、アタシがパパの会社で働くからさ、あ、アンタが家を……その……」
最後の方はシャンクスに何も聞こえず、「ん?」と首をかしげた時、二人の後ろに誰かが立つ気配がした。
振り返ると、そこには乳白色の薄手の鎧を身にまとった騎士姿の女性が立っていた。
「ゲッ、ベアトリクス……お仕置き部屋はこの間入ったばっかだろ……」
ベアトリクスと呼ばれた女性は、背の高い美人で、つややかな髪は腰に届くほど長く、鋭い眼つきをしていた。
しかし今は苦笑交じりで「お邪魔でしたかな?」といった。
「今日はお仕置き部屋に連れていくために来たわけではない」
ベアトリクスは、この町で唯一シャンクスをとらえることができる人物だ。たとえ、その盗みが黙認されているとしても、何の罰則も与えないわけにはいかない。
そのために、定期的に彼女がシャンクスをひっとらえてお仕置きさせるのだ。
ベアトリクスはこの町の兵士長である。
数年前、どこからかふらりとこのハーバーサイドを訪れて、雇われ働くようになった。
以来、その能力の高さからみんなから信頼され、今では兵士達を束ねる存在となっている。
その過去の経歴等は話そうとしないが、気にするものは誰もいなかった。
「えっと、何か御用件でしょうか」
やや棘を含む言い方でエリッサが問うた。
ベアトリクスは申し訳なさそうに眉を下げて、しかし、シャンクスに対しては真面目に話を続ける。
「……君に召集がかかりました」
「ほう、町長が俺になんか用か?」
シャンクスは時々町長から仕事を押し付けられる。
手の空いている若い人間というだけで、町中様々な仕事の手伝いをお願いされるのだった。
だが、ベアトリクスはそういう依頼をしてくる時とは、別のトーンで内容を告げる。
「いや、今回は町長ではない。ワイルクレセントの国直々だ。これは極秘任務だ。任務内容は……王都の魔術兵器の強奪」
平凡な田舎町の、のどかなテラスにその言葉は響いた。
お久しぶりです。
約八年間もの間、放置してしまった物語を、今更になって更新しました。
もはや、投稿当時に読んでくださった方も、記憶の彼方でしょう。
まずは、続きを楽しみにしてくださっていたという方がもし居るのであれば、大変申し訳ございませんでした。
更新が止まった背景に、特別な理由などは無く、単に自分自身の環境の変化やモチベーションの問題など、私が至らないことが原因でした。
しかし、それ以降もこの物語はいずれ、完結させたいと思い続けていたのは事実です。
そうしてようやく重い腰を上げ、あの頃に置き忘れてきたものを清算するような気持ちで、続きをかき始めました。
「そんなこといって、どうせすぐに投げ出すんだろ」と思われるかもしれません。
しかし、そこはご安心ください。
すでに、完結までを書き上げたのちに、この部から投稿を行っています。
なので、最終話までを予約投稿を済ませています。
否が応でも、完結はすることを約束します。
また、プロットとしても、当時考えていた物からはほぼ変わりないです。
細部は今回の再始動において作りましたが、お話の大筋は変わりません。
なので、当時の自分には、「完結させてやったぞ」と言ってやりたい気持ちです。
また、定期的に投稿がされていく傍ら、過去の投稿済みの部分においても、誤字脱字、明らかに描写が足りていない部分の補完、読みやすいための改行の変更などを行っていくつもりです。
こちらは、特に目標もなく、ぼちぼちと行っていく予定ですが、変更前の物は特に残しませんのであしからず。(なるべく当時の雰囲気はそのままにしておきたいと思います)
また、エピソードの追加やシナリオの変更などは行いませんので、物語には影響ありません。
至らないところは多々ありますが、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。
以下、以前投稿されていた「第六十六話 これまでのあらすじと人物紹介」になります。
本編の流れでは不要になる部なので削除しましたが、内容はここに残しておきます。
**こちらはこれまでのあらすじと人物紹介になります。本編とは関係なく、内容を忘れた人へ向けての補完となりますので、ネタバレを含みますことをご了承ください**
~主な人物紹介~
雛沢 紅 【ひなさわこう】
ある日突然、謎の女性からペンダントを受け取った瞬間、異世界に転移してしまう。そこで出会ったのは犯罪者としてとらわれていたシリウスだった。紅は元の世界へ戻るため、二人は王都へ向けての冒険を共にする。
炎の魔術を自在に操ることができ、常人よりもはるかに強い魔力をもつ。また、体に魔力抗体があり、その力は謎に包まれ未知数である。
シリウス・グランジ
誰も知らない野山に捕らえられていた青年。実は王都の王子、ヴァ―リス・ミッシェルであり、血のつながらない妹を守るために父親を殺した罪でとらえられていた。一人、王都に残した妹を心配し、帰還する冒険をするが、果たして犯罪者の自分が帰るべきなのか、葛藤を続ける。
しかし、その経歴とは裏腹に物知りで世話焼きな一面もあり、紅を無事王都まで送り届けるために様々な敵と道中で戦うことになる。
マナ・フォンレーゼ
姉を尋ねたところ、悪の組織に狙われることになった少女。王都で有名な占い師の孫であり、タロットカードや水晶で呪文を使うことができる。
結局姉と会えず、王都へ帰る道中で紅達と出会い、行動を共にする。
ダルク・ハット
王都直属諜報機関、グリフォン・クローに所属するハンサムな男。軽薄な態度とは裏腹に、組織ドレッド・ノートにスパイとして潜り込んだり、食えない発言をしたりする。
魔導銃の使い手でもあり武器の造形に詳しかったり、作戦を考えたりと頭が切れる一面もある。
イース
ダルクに手を貸す寡黙な青年。大きな槍を背負い、素早い動きで戦闘をこなす。
古都ノーティス人の生き残りで、王都と古都の大戦の裏に潜む、歴史には残されていない真実を追い続けている。
アイリーン・フォンレーゼ
マナの姉で、ダルクと同じグリフォン・クローに所属する。
悪い人を見るとほっとけない性質で、王都を守るためにドレッド・ノートの動向を探っていた。その道中、大戦で生み出された悪魔、ゲヘナと出会い、戦いの最中、彼との邂逅をはかる。
人形師であり、担いだ大きな棺から現れる人形を自在に操り、大の男性をも蹴散らすパワーを持っている。
ゲヘナ
古都ノーティスの王子であり、大戦時、不利になった祖国を守るために、禁術である人体に魔術刻印を施し、無双の力を得る。これにより戦況は一変したが、北の聖地から現れた真白な騎士団の魔術によって敗北。以後、大陸の南東にある孤島に監禁されていた。
終戦二十周年式典の際に処刑されることになり、輸送中に脱走。騎士団や彼の力を利用する者達から逃れながら、自分の存在やこれからどうするのかを思い悩む。
アルタイル
騎士団の十三番目であり、騎士団長を務める男。魔術の開発にも長けており、大戦では彼の生み出した天罰術式がゲヘナを打ち破った。
また、ゲヘナを処刑する魔術の開発も担当しており、大教皇からは全幅の信頼を得る。
裏で様々な計画を画策しており、その全容はまだ闇に包まれたままである。
エリオーネ・ミッシェル
シリウスの妹であり、一人王都で孤独に暮らしていた。
ある日、アルタイルによって部屋から連れ出される。また、その近辺から魔術兵器の開発実験場で、彼女が目撃されるようになり、現在は消息不明である。
~これまでのあらすじ~
異世界に転移した紅は、シリウスと出会い元の世界へ帰るための冒険に旅立つことになる。王都では転移魔術の研究がされており、帰る手がかりがつかめるかもしれないので、王都を目指す。
シリウスは犯罪者であるというが、彼のことがどうしても悪人には見えず、行動を共にする。
初めにたどり着いたのはローアン・バザーで、ここは、かつて商人が一人で始めた店がきっかけとなって生まれた、商業が発達した都市である。
ここで当面の資金を稼ぐためにトレジャーハントを行うが、盗賊団と激突する。
同じころ、街では、入院する彼のために働く女性、リリィと出会い、異世界で初めての友達ができる。
しかし、そのリリィの彼が誘拐され、リリィもとらえられてしまう。紅とシリウスは盗賊団と力を合わせ、犯人である医師ヴェッセルを追い詰める。リリィとその彼、ジンを助けることはできたが、ヴェッセルは白色の騎士達にさらわれ、逃してしまう。
ローアン・バザーを後にした二人は道中でマナと出会う。
鉱山都市で親切な人たちにお世話になるが、実は彼らはドレッド・ノートという闇組織の一員であり、マナを狙っていた。なんとか逃げ出し山に入るも、恐ろしい自然生物と衝突する。
その危機を、通りすがったダルクとイースの協力を得て脱する。
紅は元の世界へ思いをはせながらも、旅の仲間たちとの絆を確信する。
一行は中央市街にたどり着き、ダルクとイースとはここで別れる。三人は街で装備を整えるも、シリウスは謎の男に捕らえられてしまう。シリウスをとらえたのはドレッド・ノートで、彼の過去を知っていた。
ドレッド・ノートの目的は王都から騎士団を排除することで、そのために新たな王としてシリウスを据えようとしていた。しかし、交渉は決裂。騎士団がドレッド・ノートのアジトに攻め入り、組織は崩壊。シリウスは何とか逃げるも、紅はドレッド・ノートのボス、バルジに謎の薬を打たれ、ダウンしてしまう。
紅を休ませるため、魔術学院へ一旦向かうことになった。その間、シリウスは橙国で修業を行い、紅は魔術の勉強をすることになった。三日後、王都で集合する約束を交わし、それぞれは己の強化に励む。
その一方、騎士団の手から逃れたゲヘナは窮地に陥ったところをアイリーンに救われる。ゲヘナは彼の力を利用しようとするドレッド・ノートや、追いかけ続ける騎士団などと戦い、アイリーンから王都を救うヒーローになれと言われる。
彼はその身に宿した力を、どうすればよいのか思い悩んだ。
その裏で、騎士団長アルタイルは様々な計画を立てる。
シリウスの妹エリオーネを呼び出したり、遠くの地へ逃げた医師ヴェッセルを呼び戻して地下で研究をさせる。すべては『天罰神』といわれる特別な魔術のために。
舞台は王都。終戦二十周年記念式典にて、それぞれの決意や思いをのせて、一同は会する。




