動き出す悪
あれから1週間が過ぎた頃、ブリードのもとに一通の手紙が届いた。
それは、試験合格を示すものだった。
そして、手紙を受け取ったあと、いつものようにギルドで待ち合わせをしているキターシャと合流すると、キターシャは、すぐに、
「ブリード君は試験の結果どうだった?」
と、嬉しそうに聞いてきた。
その様子から見るにどうやらキターシャも合格したらしい。
それに微笑ましく思いつつも
「あぁ、合格だった」
と、返事を返したのだった。
ーとある屋敷にてー
薄暗い部屋の中に、フードを深く被った5人が椅子に腰掛けていた。
「バルトハルトのやつは愚かなものよ」
男は実に不快そうにそう呟いた。
「あぁ、あいつがブラックドラゴンを倒せるようなやつに勝てるわけがないだろうに」
「違いねぇ、あいつは自信過剰なところがあるからな。自分の力を過信しすぎたから死んだんだ」
とある組織、デビルエンドは、今後の方針について話し合っていた。
「しっかしバルトハルトの出した損害が大きすぎやしないか?」
「確かに…ブラックドラゴンと引き換えに得た生贄はバルトハルトを含めても5、6人といったところか」
「やはりバルトハルトごときにブラックドラゴンを託したのは間違いだったのう」
「そうだな。まぁあいつは自信過剰なところがあるからな。自分の力を過信しすぎたから死んだんだ」
実際に、バルトハルトの実力はそこら辺の冒険者とは比べ物にならないくらい強いはずなのだ。
しかし、ブラックドラゴンや、他の幹部と比べると特に秀でているものもなく、幹部の中では最弱クラスだった。
そもそも、この中にバルトハルトに期待していたものは誰一人としていなかった。
みんなが、ブラックドラゴンを使い、数十人もの生贄を出せば良いだろうと考えていたのだ。
しかし、それはブリードとキターシャの二人によって阻止されてしまった。
それどころか、ブラックドラゴンまで倒されてしまい大損害が出てしまっていた。
「はぁ〜、また連れてこないとだめなのかよ」
「まぁそう言うな。報酬はしっかりと出してやろう」
「はぁ〜仕方ないやるか〜」
そう、ブラックドラゴンはダンジョンの下層部から連れてきた個体に魔道具を使い従えていたのだ。
それに、バレないように連れ出すのは困難に近いため、それなりのリスクがあるのだ。
秘密の通路を使い、連れ出してきていたが、それでも最強格であるブラックドラゴンを連れてこられるレベルの人は幹部くらいしかいない。
そのため、デビルエンドとしてもブラックドラゴンを失ったのは痛手になったのである。
「そういやバルトハルトを殺した男はブラックドラゴンをも容易く倒すようなバケモンだったな。そいつは俺が殺しても問題ないか?」
「あぁ、ただしバルトハルトの二の舞いにはなるなよ」
「当たり前だろ。俺がそんなヘマをするはずがない」
男は自信を持ち、そのように発した。
「じゃぁ仕掛けに行くか~」
「油断するなよ」
「わかってるっての」
それだけ話すと男は出ていってしまった。
デビルエンドの魔の手が着実にブリードたちに近づいて来ていた。




