善戦
キターシャとブラックドラゴンの戦いは、キターシャが押しているように思えたが、突然ブラックドラゴンの魔力が増幅し、あたり一面を再び、いや、これまでとは比べられないほどの闇が溢れだした。
普通はこのようなことはありえない。
しかも、ブラックドラゴンとは、前に戦っていたがこんな姿になるような気配はなかった。
姿は、首が二本になっており、闇の魔鉱石が体の至るところから生えてきており、より禍々しさが増していた。
そして、キターシャが唖然としているところにブラックドラゴンの必殺の攻撃が降りかかろうとしていた。
ブラックドラゴンの攻撃がキターシャに直撃しようとしていた。
ブリードが動くよりも先にブラックドラゴンが闇魔法の中でもトップレベルの魔法、ニュークリアシャドウカノンを放ち、その魔法がそのままキターシャに直撃した。
その光景を目にしたブリードとネリアは思わず絶句してしまった。
ブリードでさえあの魔法の直撃を食らえばただでは済まない。
まぁ死ぬことはないだろうがそれなりのダメージを食らうのは確実だろう。
そして、そんな魔法の直撃を食らったキターシャがただではすまないというのは目に見えていた。
仮にもキターシャとは短い間だが冒険をともにしていた。
そのため、少しは彼女に興味が湧いてきていたのだが…
そして、さきほどの魔法でかかっていたモヤが晴れていき、そこにはボロボロになったキターシャが立っていた。
「ふぅ〜、今のは危なかった〜」
そう言いつつ、キターシャは、自分の体を見下ろしていた。
よく見ると、キターシャの周りから黄色い光が舞っていた。
そして、体の至るところから血が流れ、今にも倒れてしまいそうな状況だったのが嘘のようにすぐに傷口が塞がってきた。
「なんかコツを掴んだかも!」
どうやら本人は身体強化魔法のコツをつかんだと考えているようだったが実際は違っていた。
「光魔法…か」
キターシャは、直撃を食らう直前で、本能的に何かを掴み、無意識のうちに光魔法である程度相殺したようだ。
そして、完治したキターシャは、再びブラックドラゴンと対峙した。
ブラックドラゴンとしても、今の一撃で仕留めたと思っていたらしく、少しの隙ができてしまっていた。
そんな隙を見逃すキターシャではなく、身体強化魔法に加えて光魔法をも体にまとい、ブラックドラゴンに殴りかかっていた。
「はあああぁぁ」
キターシャの咆哮が響く。
それと同時にブラックドラゴンの鱗が砕ける音が響く。
さらに、キターシャの攻撃によってブラックドラゴンの胴体が吹き飛び、ドンドンと木をなぎ倒していった。
ブラックドラゴンがなんとか体勢を立て直すが、もうすでにキターシャは懐まで迫っていた。
それから、2、3発ブラックドラゴンの核のある心臓のあたりを殴り、核をさらけ出すことに成功した。
しかし、ブラックドラゴンの再生速度がキターシャの攻撃速度を上回っており、とどめを刺すことができないでいた。
そして、キターシャがとどめを刺す前に、限界を迎えてしまった。
やはり先程の一撃がこたえてしまったのだろう。
「うっ…」
突然キターシャの体から力が抜け、仰向けに倒れてしまったのだ。
まぁ無理もないだろう。
2つの魔法を体にかけるだけでもかなりの負担があり、それをずっと行使し続けていて、今の今までもっていたことが奇跡のようなことだった。
そして、力尽きたキターシャを、優しく抱えながらブリードは、
「お疲れ様、あとは任せてくれ」
そう言い、ブラックドラゴンの核をめがけて魔法を放った。




