絶望の刻
ー少し時は遡ってー
「はぁ〜、なんか思ったほどの強さじゃないわね〜」
私、ネリア・クリウスは、5人の仲間たちと試験に挑んでいた。
メンバーは、まず、闇魔法を主に使う
ジョイント・クラウス、次に主に剣を使った近接戦闘を得意としているグレーナ・ブレイブ、次に炎魔法を主に使うドラーズ・バーン、次に、サポート特化型の魔法使いであるクレア・シュトレウス、次に主に回復魔法を使うカレラ・ナーシェ、そして最後に、光魔法を使う私、ネリア・クリウスである。
即席のパーティーとしてはなかなかの強さであると自負しているが、もちろん油断はしていない。
「それじゃあここらへんで交互に見張りをしながら休憩にしましょう」
私がそう言うと、まっさきに反応してきたのはカレラ・ナーシェだった。
「はぁ〜やっと休める〜。ほんと人使いが荒いなぁネリアは」
「悪かったわね」
そういうふうにカレラは文句を言いながらも、しっかりとパーティーのために働いてくれていた。
なので、私は少し申し訳なく思ったのだった。
それから一時間ほど休んでから出発することになった。
「そろそろ出発するから荷物をまとめてね〜」
私がそう呼びかけると、
「あぁ、十分休めたしそろそろ行くか」
と、ジョイント・クラウスが、そして、それに続くようにみんなも出発するのに肯定的な意見を出していたが、約一名納得せずに駄々をこねたことはご愛嬌だろう。
そして、一悶着あったがとりあえず出発するのに成功した。
「あと二日耐えればいいけど油断せずに頑張ろうね!」
私がそういうと、
「あぁ」「うん」「はーい」
と、各々が返事をしていた。
そして、しばらくは出てくる雑魚モンスターを狩るだけだったのだが、異変は突然起きた。
「なんかさっきよりモンスターが強くない?」
「そうだな、まぁいい腕試しの相手になるだろ」
とある場所を境に出てくるモンスターが強くなった。
しかも、進んでいくにつれて灰色の霧も濃くなってゆく。
しまいには、ほぼ黒に近い霧に阻まれ、視界が奪われていった。
「みんな、はぐれないように気をつけてね」
そして、みんなで固まりながら進んでいくと、これまでとは違う緊張感の籠ったモンスターの鳴き声が聞こえてきた。
「はっ、モンスターが居るみてぇだから俺が狩ってきてやるよ」
「あ、ちょっと待って、はぐれちゃうかもしれないし一人で勝手に進まないでよ」
私の声も聞かずジョイント・クラウスが勝手に鳴き声のした方に走っていった。
そして、魔法の放つ音が聞こえたかと思ったら次の瞬間には "ドチャッ" という大きな音と衝撃が伝わってきた。
「クラウス大丈夫?」
私がそう言いながら音のした方に進んでいくと、そこには上半身が吹き飛ばされ、倒れているジョイント・クラウスがいた。
「キャアアァァァァァーーーー」
思わず叫んでしまった。
実際に人の死に関わるのがはじめてであり、しかもさっきまで一緒に仲良く話していた人が死んでしまっているという恐怖で足も動かなくなってしまっていた。
そして、ドシンドシンと音を立てながら近づいてくる黒いドラゴンを目視した。
黒い霧が辺りに立ち込めるなかその黒いドラゴン、ブラックドラゴンの全身がはっきりとネリアの目には写っていた。
溢れ出る黒いオーラ、そして、鈍く輝いている黒い鱗、そして何よりもその大きさにより恐怖が倍増していた。
「ネリア逃げて!」
クレアに体当りされ、ギリギリでブラックドラゴンの攻撃を回避できた。
「いてて…クレアは大丈夫?」
「うぅ…なんとか…ね」
しかし、クレアの背中は大きく裂け、血が吹き出していた。
「あっ…か、カレラ、回復魔法を」
なんとか声に出せたが、声は恐怖で震えていた。
そして、クレアの傷はすぐには治らなかったがなんとか物陰まで移動することには成功し、回復をさせることに成功した。
そして、
(私達だけではこのブラックドラゴンには勝てない)
と、悟っていたが戦うしかなかった。
そこでネリアは、なけなしの勇気を振り絞り、言葉を放った。
「私がブラックドラゴンの足止めをする。その間にみんなは逃げて!」
みんなは戸惑ったように「で、でも…」といっていたが私が「早く!」と、急かすと、みんなは逃げていった。
あぁ、私はここで死ぬんだな。
ブラックドラゴンに勝てないことははじめからわかってる。
でも、私の命と引換えに他の四人を救えると考えるとこれで良かったのかもと、思えた。
そして、私は、最後の時を待っていた。




