9.イノシシとぶつかるのは当たり前?
少し前、夫の妹から連絡がありました。
「車を運転して仕事から帰る途中、飛び出してきたイノシシにぶつかった」
という、私個人的にはものすごくビックリするものです。
「怪我はしなかった? イノシシがこの辺に出るの?」
「妹に怪我はないらしいよ。車も傷つかなかったって。うちの実家の方はイノシシが出ることもあるかも?」
夫の答えで怪我がないことに安堵したものの、イノシシが出没する可能性があるという事実に衝撃を受けました。
私は野生のイノシシを生まれてこの方見たことがありません。
イノシシに驚いたことを話したら、ご近所さんや岡山の知り合いは
「え、普通にイノシシ出るよ。他の動物もいろいろ」
と言うので、都内でカラスやスズメしか見ていなかった私にはカルチャーショックです。
でも危なくないところから、ちょっとだけイノシシは見てみたいかも……。
そんなことを思っていたある日の夜、自宅の窓の外から盛んに犬の鳴き声が聞こえてきました。
そっと窓から外をうかがうと、首輪をつけていない大型犬が五頭もうろついている!
「野犬! 野犬がいるよ!」
初めて野犬を目にした私は興奮して夫に伝えました。
あんな大きい野犬が都内でうろうろしていたら、すぐに保健所などに連絡が行くのでは?
しかし、近所や職場の方々に「野犬を見た!」と言っても
「野犬? その辺にいるのは当たり前だよ」
ええー! イノシシも野犬も当たり前なんだ!
私は五頭の大きい野犬と、外で出くわしたらどうしようと内心おろおろしてしまいます。
数日後、車で近くの道路を走っていたら、道の真ん中に野犬が立ち塞がっていたので、大きく回避して帰宅しました。
もし外で出くわしたら……と考えていたので、驚いたけれど冷静に対処できてよかったです。
都内以外だと、イノシシや野犬が出没するのは普通なのか、全国のみなさんに伺いたい気持ちになりました。
鹿マークの標識もたまに見かけるので、きっと鹿も出没するのでしょう。
ただ、これだけ野生の動物が当たり前のように人間と共存している環境は、驚きとともに新鮮な感情もあります。
それだけ空気が清々しく、野生動物が暮らしていけるほど自然の恵みが豊かな土地という実感が湧きました。
東京の実家近くでは、大きな国道の交差点や首都高で多くの車が走っていて、大気の汚染が激しかったのです。排気ガスや地上のいろんな光のせいで、夜でもあまり星が見えない空でした。
岡山では空気が澄んでいて、とても美しい降るような星空を眺めることができます。こんなに綺麗な星空を見られるのは非常に贅沢な気分になるのですけれども。
「夜空が綺麗? え、普通の空だよね」
と、岡山在住の方々には綺麗な星空が当たり前の風景で、なかなか同意を得られないことが少々残念なのです。
もし都内から岡山へお越しの際は、ぜひ星空の美しさも堪能してくださいね。