30.ガレンの頼み
「それが、去年の風霊祭。
ーー結局俺はフレミアを見つけることができなかった。ジークが国に要請したフレミアの捜索は受理されなかった。」
「ガレン…。」
「俺はフレミアを救えなかった。そんな俺が英雄を名乗る資格は…ねぇ。」
「だから最初に会った時に、英雄って名乗らなかったんすね。」
「ああ。しかもな…ウェルさんはこの事故の被害者として扱われた。
ーーだが、真相は違う。俺は見た。黒装束の男たちが、騒動のどさくさに紛れて、ウェルさんを巨人の真横に横たわらせたのを。」
一同が息を呑む。
「この国は…、フレミアが死んだ騒動さえも、異端者の処理に使ったんだ。
ーーだから俺は、この国を変えたい。」
先日、ラティエルに見せた目とは違う。ガレンの目には光が宿っていた。
「悩んだ。悩みに悩んだ末、この結果だ。国の内側からはジークが。外側からは俺が変えようと話をした。」
「ジークが…。」
ラティエルは呟いた。
「だが、外側からの力はもっと強大じゃないとこの国は変わらねえ。いや、変われねえんだ。」
ガレンは頭を下げた。
「お願いだ。どうかこの国を…止まった“風“を、俺と一緒に変えてくれ!」
ラティエルたちは目を見合わせ、微笑んだ。
「そんな顔で頼まれちゃな。
ーーやろう。」
「僕も微力ながら助太刀させてもらおう。」
「うちは、できることを頑張るっす!」
「私はみなさんのサポートを!」
「ーーありがとう!」
ガレンは少し、涙を流した。
「まずは、この国の冒険者から。俺がギルマスになる。」
「そんなことができるのか?」
「本来なら急にはできない…が、俺には特権がある。」
「1級か!」
「ああ、その特権を使ってあのカスを引き摺り下ろす。」
ガレンが拳を強く握った。
「じゃあ俺たちは?」
「二手に分かれてもらいたい。1組は迷宮の偵察。もう1組は王城でジークとの情報共有。」
「なら、俺らはジークと知り合ってるし、王城へ行こうか?」
「じゃあ、僕らは迷宮だね。」
ラティエルはミストを、ライムはリヴィウスを見た。
「ああ。それで問題ないと思うぜ。俺が女王サマに謁見するついでにラティエルとミストの嬢ちゃんはジークと会ってきてくれ。」
「ライムとリヴィウスの嬢ちゃんは迷宮の下層に、奴らが数を増やしているかどうかを。」
「おう。」
「了解したよ。」
「それじゃあ、各々最善を尽くしてくれ。
ーー俺1人じゃ成し遂げられねえ。悪ぃが、俺に力を貸してくれ。」
「ああ!」
こうして、一国を変えるラティエルたちの作戦が始まった。




