7.最強同士の激突
最強格同士の対決が今ここに!
「こんにちは、ミストさん。」
「げっ、フローさんなんでここにいるんすか?」
嫌そうな表情でミストが言う。
「ははっ、そんな嫌そうな表情をしないでくださいよ。」
「というか、フローさん泡沫の力使ったんすか?」
心配そうな表情でミストが聞く。
「そんな心配しないでいいですよ。ちょっと使っただけです。」
「紋章の力は身を削るんっすから、危ないっすよ。」
「そうですね。心配してくれてありがとうございます。」
「別に、フローさんが消えるとウチも退屈っすからね。」
「久しぶりに、模擬戦でもしましょうか?」
「いいっすね。ちょうどいいっす。ラティエルさん、見とくっすよ。対人戦のプロ同士の戦いを。」
冒険者は職業柄、魔物だけでなく、人。盗賊や、賞金首と戦う時もあるのである。
「ていうか、紋章って何?」
「は?」
ここに来て、ラティエルの無知がまた光る。
「え、君、紋章を知らないのかい?」
「ああ。そんなの聞いたこともないな!」
自信満々、という表情でラティエルが無知を披露する。
「あはははっ、本当に君は面白いね!」
面白くて仕方がないというふうに腹を抱えて笑う、フローリア。
「まあいいや、とりあえずやるっすよ。説明は後でしてあげるっす。」
「了解、ありがとな。」
「どういたしましてっすよ〜。」
「それじゃあやろうか。」
「面白くなってきたので審判は私がしますね。」
と、受付嬢のリヴィウスが言う。
「いや、普通は止めるべきじゃないか?」
と、案外まともなザコモーノ。
「それでは始めます!」
「いや、無視しないで」
「始め!」
「おい!」
と、コントのような2人だが、皆気づいている。この模擬戦が、最強同士の激突であることを。気づいていないのは、どこかの無知な主人公だけだろう。
片や、風魔術を極め、神から『天風』の称号を下賜された最強格のエルフ冒険者。
片や、呪われた紋章に発現し、神から『蒼魔』の称号を下賜された最強格の冒険者。
2人の最強格が、今、激突する。
「それじゃあ、こっちからいくっすよ!吹き荒れろ。『天翔ル翔風』。』
空を駆け巡る、風の嵐が、フローリアを襲う。
「それじゃあ、仕返しだ。飲み込め、流せ。『蒼之激流』。
濃い青色、否、蒼色の激しい水流がミストを襲う。
空中で、水の激流と、風の嵐がぶつかり合い、消える。
「ちっ、相殺されたっすか。」
「相殺したね。」
「それじゃ、ウォーミングアップはここまでっすよ。『森林の魔法』。消しとばすっすよ。』
魔法。それは、魔術を超越し、魔術を極めた者だけが使える、無から何かを生み出し、何かを無に還す。それが魔法。『森林の魔法』とは、エルフであること。風魔術に一番適性があること。そして、魔術を極めること。魔法がある理由。それは、魔術をねじ伏せるためなのである。魔法の本質は、自分の領域に引き込み、自分の有利な勝負をさせることにある。それは、人によって違い、考えによって違うのだ。複数の魔法を発現することもある。脳内によって、魔法は構成される。魔法とは、魔術師の、切り札なのである。
「へえ、やっぱりすごいですね。ならこちらも…。行かせていただきます!」
なんか新要素出てきましたが、一章終わったら、説明しますんで、よろしくお願いいたします。どうか評価お願いします。いつも読んでくれる方ありがとうございます。コメントや評価が励みになります。